FIGは、男女の体操演技、新体操、一般体操の国際的な行事のすべてを統括している。その行事の中でも、FIGの一般体操専門委員会は、 ワールド・ジムナエストラーダ(世界体操祭)の開催を大きな事業の一つとしている。
FIGは、ピラミッドの上部の競技選手のみならず、競技をしない一般体操愛好家たちの発展にも力を入れている。このことは、他の国際スポーツ 連盟が、競技選手を中心にしているのに対して、FIGが、生涯スポーツの底辺の層にも目を向けていることを大変誇りに思っているところである。
ワールド・ジムナエストラーダは、健康や楽しみのため、あるいは動きの工夫や組合せの可能性などを追求する。また、民族やそれぞれのグループの特徴を 表すなど、さまざまな体操を供覧する場としての国際的な祭典である。

ジムナエストラーダ(Gymnaestrada)の意味は、ジムナがGymnastic「体操」であり、エストラーダがEstrada「道」とか「舞台」という意味があり、 この合成語のジムナストラーダは、「体操への道」と訳すことができる。 いろいろな体操を目指して日常的に活動している世界の体操愛好家たちが一堂に会し、それぞれの体操を披露して、体操のさまざまな価値と その多様性を世に知らせ、一般体操の世界的な普及を計ることが、FIGの主催するワールド・ジムナエストラーダの大きな目的である。
このワールド・ジムナエストラーダは、「身体を動かす喜びと感動を呼び起こし、自ら活動する関心を呼び覚ますこと」、「表出(心からの動き)の可能性を示し、 理念を伝えること」、「体操の最近の認識と可能性を示すこと」、「関心を持つ指導者の再教育に寄与すること」、「民族間の相互理解と友好関係に貢献すること」、それに「各国が自国の体操の特徴や体操に関する考え方を披露すること」など、体操の多面性に取り組み、それぞれのねら いに貢献することを目指しているところの国際的な体操の大会といえるだろう。

FIGの組織の中で、一般体操専門委員会は一つの大きな柱となっていて、「競技をしないすべての体操」すなわち「万人のための体操」としての世界的な普及活動に努めていて、その事業の一つとして、4年に1回のワールド・ジムナエストラーダを開催している。

Gym for Life Challenge 2017 ノルウェー

この他、平成21年(2009年)より国際体操連盟(FIG)によって企画されたコンテスト形式の世界大会を開催している.コンテストは3つのグループ(16歳以下,17歳以上 ,年齢混在)を更に2つ(20名以下,それ以上)に分類した6部門から成り立ち,独創性や技術,革新性等が評価される.第1回大会( 1st. Gym for Life World Challenge)が2009年,オーストリア(ドーンビルン)において開催された.この大会には27カ国約2,000名が参加,日本からはドイツのデュッセルドルフにあるライン幼稚園Genki Gymnastics Clubが出場し,銀メダルを獲得した.2013年には,南アフリカ(ケープタウン)で開催された.2017年には,ノルウェーで開催され,日本からは筑波大学体操部が出場し、世界選抜チームによるFIG GALAのショーでも演技を披露した.

(公財)日本体操協会 一般体操委員会 委員長 荒木 達雄

スウェーデン体操連盟は、スウェーデン体操の創始者であるP.H.リングを記念して昭和14年(1939年)に、第1回リンギアドを開催した。第2回 大会は、世界大戦のため中断され、昭和24年(1949年)になり、第2回リンギアドが国際大会として再開された。

この大会の成果は大きく、各国から集まった多くの体操家が深い感銘を受けたことを重視したフランソワ・ソマー(オランダ)が、世界体操祭の開催 のための青写真を考えた。ソマーは、昭和25年(1950年)のFIG総会で、世界体操祭(ワールド・ジムナエストラーダ)開催の案を提出し、投票の結果満場 一致で可決され、ここにFIG主催による世界体操祭の開催が誕生することになった。

そこで、第1回世界体操祭が、1953年に、オランダのロッテルダムにおいて開催されることになり、この大会には世界から14カ国、約5,000人 の体操家たちが参集し、2万人の観客が見守る中で盛大に開催された。

世界体操祭の開催地と日本からの参加チームの状況は、次の通りである。

第1回(1953) オランダ・Rotterdam 不参加
第2回(1957) ユーゴスラビア・Zagreb 不参加
第3回(1961) 西ドイツ・Stuttgart 視察
第4回(1965) オーストリア・Vienne 視察
第5回(1969) スイス・Basel 視察
第6回(1975) 西ドイツ・Berlin 初参加  筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,
第7回(1982) スイス・Zuerich 筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,リズム体操研究会(現在のMGLA),日本ジャズ体操指導者連盟

第8回(1987) デンマーク・Herning
筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,MGLA,日本ジャズ体操指導者連盟,日本体育大学体操部,H.G.G.(Haruyama Gymnastik Gruppe)

第9回(1991) オランダ・Amsterdam
筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,MGLA,日本ジャズ体操指導者連盟,日本体育大学体操部,中京大学新体操競技部, H.G.G.,町田市リズム運動サークル,アート体操研究会,新潟大学リズム体操部, 全日本自然運動連盟

第10回(1995) ドイツ・Berlin
筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,日本体育大学体操部,新潟大学リズム体操部,MGLA,H.G.G.,日本ジャズ体操指導者連盟, 町田市リズム運動サークル,アート体操研究会, 全日本自然運動連盟,湯澤きよみ音楽体操グループ,真美フレッシュ体操,川元健康づくりグループ&サンヘルスクラブ,T.G.S.(津村体操教室)

第11回(1999)スウェーデン・Gotehenburg
筑波大学体操部,国士舘大学新体操競技部,日本体育大学体操部,新潟大学リズム体操部,MGLA,日本ジャズ体操指導者連盟,町田市リズム運動サークル,アート体操研究会,全日本自然運動連盟, 湯澤きよみ音楽体操グループ,真美フレッシュ体操,川元健康づくりグループ&サンヘルスクラブ,GYMUNITY,森本ジャズ体操教室,モダントレーニング研究会、 ナチュラルギムナスティックグループ,田畑隆子ジャズ体操教室,一般体操委員会グループ

第12回(2003)ポルトガル・Lisbon
筑波大学体操部,国士舘大学新体操部,日本体育大学体操部,新潟大学リズム体操部,新潟県体操研究会,日本ジャズ体操指導者連盟,MGLA(体操リ一ダー連絡協議会) ,湯澤きよみ音楽体操グループ,サンフェローズ,森本美恵子ジャズ体操教室,町田市リズム運動サークル,真美フレッシュ体操,モダントレーニング研究会,MEGU MOVEMENT

第13回(2007)オーストリア・Dornbirn
新潟大学リズム体操部,MGLA(体操リ一ダー連絡協議会) , モダントレーニング研究会, サンフェローズ,山形県体操グループ、T.S.L、南体操クラブ、真美フレッシュ体操 , 森本美恵子ジャズ体操教室、町田市リズム運動サークル、Gymunity、田畑隆子ジャズ体操教室、JJGTO(日本ジャズ体操指導者連盟)、全日本自然運動連盟、湯澤きよみ音楽体操グループ アート体操研究会, 日本体育大学体操部、Internationalお〜るど・ボーイズ 、東京女子体育大学 新体操部,ドイツ・ライン幼稚園 元気クラブ

第14回(2011)スイス・Lousanne
アート体操研究会, NPO法人 MGLA,サン・フェローズ,真美フレッシュ体操,JJGTO(日本ジャズ体操指導者連盟),Gymunity,筑波大学体操部,東京女子体育大学 新体操部,新潟県体操研究会 新潟大学リズム体操部,日本体育大学体操部,Internationalお〜るど・ボーイズ,町田市リズム運動サークル,モダントレーニング研究会,Morimoto J.G.C,T.S.L,南体操クラブ,湯澤きよみ音楽体操グループ,公益財団法人日本体操協会体操スクール, ドイツ・ライン幼稚園 元気クラブ

第15回(2015)フィンランド・Helsinki
町田市リズム運動サークル, NPO法人 MGLA, 真美フレッシュ体操, JJGTO(日本ジャズ体操指導者連盟), 新潟県体操研究会, Gymunity, モダントレーニング研究会, HPKさくら, T・G・S(TAKAKO体操スクエア), 健康体操教室ハローフレンズイノア, T.S.L 南体操クラブ, 全日本自然運動連盟, Internationalお〜るど・ボーイズ, 日本体育大学体操部, 筑波大学体操部, 国士舘大学男子新体操部, 自由学園, 公益財団法人日本体操協会体操スクール, ドイツ・ライン幼稚園 元気クラブ

※世界体操祭(ジムナエストラーダ)は、第9回のアムステルダム大会からワールド・ジムナエストラーダ と呼ぶ正式名称になった。

(公財)日本体操協会 一般体操委員会 委員長 荒木 達雄

2015年 世界体操祭(フィンランド)