世界体操リバプール(男子団体決勝)レポート10
現地11月2日,イギリス・リバプールの世界選手権は男子団体決勝が行われた。
【第1ローテション】
ゆか最初の演技者谷川翔,要所のアクロバット技の着地を決めて好調をアピール。橋本,土井は予選ほど着地を決めきれなかったが,大過失なく乗り切る。イギリスも着地を止めきれずライン減点もあったが大過失なくまずまずのスタート。一方,その横では中国(SUN Wei)とアメリカ(MALONE)のスタート種目で落下が出て場内にため息が漏れる。つり輪から入ったイタリアとスペイン,跳馬から入ったブラジルと韓国に目立った大過失はなかったが,ドラグレスクの予定がローチェになってしまったブラジルのGUIMARAESのように団体戦の緊張が感じ取れた。
【第2ローテション】
先程の中国とアメリカと同じようにあん馬ではイギリスと日本に大過失が出た。日本は橋本が最初の演技者として会心の実施をみせたが,土井がショーンで,谷川翔は交差倒立で手を前に出し,ベルキ後の開脚旋回技のリズムを崩しながらも修正できず開脚マジャールで落下。すべての得点がチームに影響するため,マジャールをやり直したが,終末技でもバランスを崩し,2種目目でつまづいた。イギリスも最初の演技者HALL,最後の演技者FRASERに落下があり,日本同様,早くもその巻き返しの必要な状況となった。中国とアメリカはつり輪で,特に中国はこの種目で得点を伸ばした。跳馬のスペインはZAPATAがローチェの着地で大過失。イタリアはLEVANTESIがローチェ,CASALIがロペス,BARTOLINIがドリッグスをまとめる。
【第3ローテション】
つり輪では谷川航が堅実な演技で最後の着地をきれいに決め,あん馬の取りこぼしの挽回に名乗りを上げた。橋本は終末技を伸身新月面にランクを上げたが着地で少し乱れ得点を伸ばせず。神本もケーブルが揺れ,着地を止めきれず十分な追い上げはできなかった。イギリスもあん馬の失速を補うため,TULLOCHの14.666では後半種目の追い上げを期待するしかなかった。一方,アメリカのWALKERはヨー2をとぶも大きく数歩動きライン減点。ZHANG Bohengがロペスの着地をほぼ止めたが,SUN Weiのロペスは左にゆがみ,ライン減点となる。ブラジルの鉄棒はMARIANOがヴィンクラーで落下。韓国もLEE Junhoが得点を伸ばせず。イタリアは平行棒で着地こそ決められないが目立ったミスなく終える。スペインPLATAは棒下ひねりで動くが前方かかえ込み2回宙ひねりの着地を止めて14.266を獲得。
【第4ローテション】
日本跳馬。土井がシューフェルトの着地を止め,谷川航がブラニクの着地を止めて流れに乗る。しかし橋本はロペスの着地で前のめりになり横に大きくステップアウト。イギリスは
REGINI-MORANがロペスで着地を立つも止められず。JARMANはヨネクラの着地で手をつく大過失。TULLOCHはドラグレスクを着地1歩でまとめる。ここでも両者取りこぼしあり。平行棒の中国はZHANG Bohengが最初のシャルロ倒立で腰を一度曲げてしまうミスを出したが,ZOU Jing yuanがマクーツでバーに足をぶつけるものの乱れることなく演技し,15.766の驚異的な高得点で中国を押し上げる。アメリカはMALONEが途中,ディアミドフ?にいけずダブルスイングをしてしまう。スペインの鉄棒は着地を止めきれずにいる中,イタリアのMACCHINIがペガン,屈身コバチ,コールマン,伸身月面着地を止める。
【第5ローテション】
日本平行棒。谷川航が前方かかえ込み2回宙ひねりの着地を止めて流れをつかむ。神本も前半部分の倒立をしっかり狙いリチャード,前振りツイスト,棒下ひねりをまとめる。後方屈身2回宙は着地動く。谷川翔,ホンマ,ヒーリー,ツイスト,棒下ひねり,棒下,車輪ディアミと非常によいできばえで演技をこなしたが,最後の前方かかえ込み2回宙ひねりでバーに近づきすぎ,バーに大きくぶつかるも持ちこたえて大きな後ろへのステップでこらえる。イギリスの平行棒,HALLがマクーツで少し力を使う。REGINI-MORANリチャードを決めるも途中倒立で腰を少し曲げる。FRASERは前方かかえ込み2回宙ひねりの着地をほぼまとめて会場大歓声。中国の鉄棒はxSUN Weiが伸身新月面の着地を決め,ZHANG Bohengも大きなミスなく着地1歩に収めたものの,YANG Jiaxingがカッシーナ懸垂後,一度,片手を持ち損ねてしまうが立て直し,最後の伸身新月面の着地を止める。アメリカの鉄棒はWHITTENBURGがリューキンを回避し演技をまとめるが,WALKERがアドラー1回ひねりで停滞。イタリアとスペインのゆかはそれぞれ着地を止めきれず。スペインのZAPATAはライン減点あり。あん馬のブラジルと韓国は全選手が落下や体勢を崩す演技が相次ぐ。
【最終ローテション】
日本の鉄棒。土井がカッシーナ,シュタルダー1回半ひねり大逆手(難度をアップ),アドラー1回ひねり両逆手,アドラーひねり,コールマン,ホップターン,チェコ車輪,伸身新月面着地止める。神本はアドラーひねり~伸身トカチェフ,カッシーナ,コールマン,トカチェフ,閉脚シュタルダー,シュタルダー,閉脚エンドー,ホップターン,伸身新月面着地止めきれず。橋本はアドラーひねり~リューキンで痛恨の落下。天を仰いだ。その後カッシーナ,コールマン,伸身トカチェフ(連続できず),アドラー1回ひねり両逆手大きく流れる,シュタルダー,ホップターン,伸身新月面着地止める。残念ながら中国に追いつけず銀メダル獲得。イギリスの鉄棒,HALL アドラー1回ひねりが片逆手のDになるが最後まで大過失なく演技。FRASERもアドラー1回ひねりがD難度になるが最後まで通し切る。JARMANも辛うじて最後まで演じ切り団体3位に滑り込む。中国のゆかは完ぺきとはいかないものの,全選手が大崩れのない演技を堅実に実施し,団体優勝を手にした。アメリカはMALONEが後方宙2回半ひねりでけりが抜け,次の前宙でしりもちをつく。WHITTENBURGも前宙1回ひねり~前方屈身2回宙で転倒し,予選3位から5位に順位を下げた。あん馬で失速したブラジルと韓国は上位国との点差は大きいままで7位,8位で団体戦を終えた。