第72回全日本体操個人総合選手権女子予選
今年最初の国内大会は先日のワールドカップ東京大会で個人総合優勝を果たした村上茉愛選手(日本体育大学)がトップで予選を通過。
全体的に安定感のある演技を披露し、特にゆかでは伸身ダブルの後に鹿ジャンプを付けたし加点を取りにいく等、攻めた構成で臨んでいた。平均台で今年新しく入れた脚交差とび1/2ひねりで足を上げてしまうふらつきを見せ、ジャンプ自体の実施もあまり良くなかったのでおそらく今日の演技の中で一番大きな実施減点だったのではないか。
跳馬のユルチェンコ2回ひねりも余裕をもって着地、段違い平行棒もいつもより倒立角度もよく、非常に安定していた。ところどころに、もう貫禄さえ見てとれる。
2位で通過は寺本明日香選手(ミキハウス/レジックスポーツ)。
跳馬ではチュソビチナで攻めてきて今日3位タイの14.533。いつも通り安定の段違い平行棒。平均台は2回ターンを自信を持って決め、バク転+バク転+スワン(B+B+C)、前後開脚とび+脚交差とび+かかえ込み側宙(B+C+D)と、3つの技の組み合わせで加点をとる構成。下りは2回半ひねりでまとめあげた。ゆかは曲を変えて昨年までとは一味違う雰囲気。動き(踊り)の表現力も増したなぁという印象。今年公式戦は初戦だったが、試合のまとめ方はさすが。
3位に入ったのは畠田瞳選手(セントラル目黒/日体荏原)。
緊張の平均台スタートだったが、ふらつきがありながらもこらえ、通しきりる。昨年末の曲を新しく変えたゆかでは2回半ひねり+伸身前宙1回ひねり(D+C)の組み合わせの加点をとるところで着地が乱れてしまいラインオーバー。しかし、それ以外のかかえ込みムーンサルト、屈身ダブル、かかえ込みダブルや足持ちの2回ターンはしっかりと決め。演技をまとめた。跳馬はしっかりと14点台(14.266)に乗せ、得意の段違い平行棒ではベストな出来ではなかったものの今日2位の13.900を取って4種目大過失なくこなした。
4位の杉原愛子選手(朝日生命)は1種目めの跳馬でユルチェンコ1回半ひねりを力強く決めてスタートしたが、段違い平行棒のフット倒立のひねりで身体が早く開きすぎてしまい、まさかの落下。しかし、平均台はしっかりとこなし、ゆかは最初の3回ひねりからのジャンプでリバウンドしきれず、止まってしまった以外はまずまずの出来。
先日のワールドカップの時よりも調子自体は良さそうな印象なので、決勝に期待したい。
5位は宮川紗江選手(Enjoy Gymnasics Team)。段違い平行棒のパク宙返りでつまってしまったり、下りの伸身ダブルで、見ている側も跳び上がってしまうような「すっぽ抜け」方をしてしまう等、ひやっとさせるような失敗があったが、驚異の筋力と身体能力で大過失を防ぐ。平均台もDスコアはそんなに高くないが、なんとか落下せずに演技。段違い11.766、平均台11.533と、どうなる事かと思ったが、得意のゆか跳馬でしっかり点数を稼ぎ、5位に食い込んだ。 ゆかはクラブミュージックのようないわゆる‟ノリノリ”な曲に変わっており、宮川選手のパワフルさにぴったりな印象。伸身ムーンサルト、しゃがみ立ち2回ターン、伸身前宙+かかえ込み前宙ダブル、脚交差とび~ジョンソン1/2ひねり、シリバス、ポパ、伸身ダブル。跳馬はチュソビチナで今日女子唯一の15点台をマーク。
6位に食い込んだのは梶田凪選手(山梨ジュニア/甲斐清和高校)。
跳馬はユルチェンコ2回ひねり。着地少し乱れるが14.100。14点台でまとめる。しかし落とし穴は次の段違い平行棒に。フットからの伸身トカチェフ(G難度!)を決めたが、その直後のパク宙返りでまさかの落下。その後はなんとかリズムを取り戻しながらマロニーハーフ、屈身のイエガー、シュタルダー倒立1回ひねり、ムーンサルトを決めるが、現地入りしてから一度も失敗していなかったというぐらい調子がよかったっはずの種目でのまさかの失敗に本人も悔しそうな表情を浮かべた。平均台は無難に通し、新しく曲を変えたゆかでは笑顔で通し、足持ち3回ターンにも挑戦し、なんとか13点台をもぎ取って初日を終えた。
リオオリンピック代表の内山由綺選手(早稲田大学/スマイル体操クラブ)は得意の段違い平行棒で雄大な演技を披露し、7位通過。8位にゆかの曲を変えて印象がまた変わった畠田千愛選手(セントラル目黒)と続いた。