第70回全日本体操競技選手権大会 男子予選第2班
第1ローテーション
加藤凌平(コナミスポーツクラブ)はゆかからスタート。最後の後方3回ひねりで着地がやや合わなかった以外は安定した演技を見せ15.450をマークしてこの班の中でトップに立った。山室(コナミスポーツクラブ)は逆上がり中水平~ナカヤマから始まる力強い構成をほぼミスなく決め、最後の伸身新月面も着地を止めて15.250とこちらも好スタートを切った。そのほか、田中佑典(コナミスポーツクラブ)は着地で大きく動く箇所が数か所あり、得点を伸ばせず。田中和仁(徳洲会体操クラブ)はあん馬に登場し正交差倒立で前に動いた以外は落ち着いた演技を見せたが、Dスコアが低く得点を伸ばせず。同じくあん馬からスタートの白井健三(日本体育大学)はシバド移動で足がポメルに当たった後落下。跳馬では神本雄也(日本体育大学)が美しいシューフェルトを見せ、野々村笙吾(セントラルスポーツ)もドリッグスで余裕のある、美しい演技で得点を伸ばした。萱(順天堂大学)は
棒下宙返系の連続でバランスを崩しひやりとする場面があったが、大きなミスにつなげることなく通し切った。鉄棒では長谷川(徳洲会体操クラブ)がエンドー1回ひねり大逆手~ポゴレロフ、リバルコ~バラバノフ、コールマンと見事に決め、早坂(順天堂大学)ヤマワキひねりで入り、安定した実施で後方伸身2回宙返り2回ひねりおりまでしっかりまとめた。
第2ローテーション
跳馬で山室がロペスを見事に決めて15.200を出して2種目連続で15点を出してトップに立った。加藤も安定したあん馬の演技でマジャールシュピンデル~マジャール移動~シバドなどを見せて高得点をマーク。田中佑典は正交差倒立で一歩前に動いたほか、全体的にやや重い演技となり得点を伸ばせず。山本雅賢が跳馬で高さのあるドリッグスを見せたが、白井健三はグチョギ~かかえ込み新月面という終末技のシリーズで非常に安定した捌きを見せて着地を止めた。野々村笙吾は平行棒に回り、棒下ひねりで少し手がずれるが全体としては正確で美しい実施を見せ、平行棒得意の神本雄也は後半の前振り上がりで足をあげすぎ後ろに倒れピンコにつなげる構成になり、着地も少し動き得意のこの種目で思っほど得点を伸ばせず。鉄棒では萱が途中アドラー1回ひねりが流れ、続くヤマワキが危なかったが落下等することなく通しった。ゆかでは長谷川がタンブリング系は大きなミスなくまとめたが、見せ場の開脚旋回系のエアーで転倒。早坂はDスコア7.0の構成、若干着地で動く場面が目立ったが大きなミスなく演技をまとめた。
第3ローテーション
つり輪の加藤、田中佑典は落ち着いてかかえ込み新月面で着地まで止める演技を見せ、跳馬でも白井健三がオリジナルのシライ/キムヒフンでしっかりと高さのある演技を見せ、谷川航も非常に安定したロペスで共に15.300をマーク。田中和仁は跳馬でドリッグスの着地を失敗して尻もち、また、トップの山室もオリジナルのヤマムロとヒーリーでミスをして得点を伸ばせず。野々村笙吾はアドラーひねりで若干反ったがうまく伸身トカチェフにつなげ、伸身ルドルの着地もほぼ止めた。野々村はこの時点で2班のトップに立った。神本雄也はアドラーひねり~伸身トカチェフ、リバルコで少しぶれたがうまくまとめたものの、あん馬の早坂は交差倒立、コンバイン、フロップと順調だったがロスで落下。そしてあん馬得意の長谷川は、移動を伴う開脚360度シュピンデル、開脚360度シュピンデルから入り途中ブスナリを入れる構成、得意のこの種目しっかりまとめ15.500の高得点をマークした。
第4ローテーション
跳馬では加藤凌平がドリッグスを着地一歩に留める余裕のある演技を見せたほか、田中佑典はアカピアンの着地を見事に止めた。そのほか跳馬では齋藤もヨーIIの着地を止め、山本雅賢もドリッグスで余裕のある実施を見せるなど、各選手の素晴らしいできであった。一方、平行棒では田中和仁が最後の後方屈身ダブルで後ろに3歩動くミスこそ出たものの、そのほかは丁寧な捌きで15.050をマークした。平行棒ではそのほか谷川航がノーミスの演技で15.300まで得点を伸ばし、白井健三も落ち着いた演技で最後の前方2回宙ひねりまでしっかりとまとめた。鉄棒の山室は最後の伸身新月面で宙返りが流れて前に大きく動いて手も着いてしまう大過失。亀山もアドラーひねりで戻ってしまうなど、得点を落としてしまった。野々村笙吾は新しく取り入れた後方宙返り3回半ひねりで着地を乱し、得点を伸ばせず。神本雄也安定感のある実施で演技を進め、最後の後方宙返り3回ひねりも止める。そして、昨年の世界選手権のあん馬の銅メダリストの萱は途中コンバインで大きくバランスを崩したがなんとかこらえDスコア7.0の構成を最後まで通し切り15.450をマーク。
つり輪では、スペシャリストの岡村康弘(朝日生命)が十字倒立など教科書に載せたいような実施で、高度な力技を力強く正確な実施で次々と捌いていったが、大きなミスがあり得意のこの種目で得点を伸ばせず。
第5ローテーション
加藤凌平が車輪ライヘルトや開脚前宙腕支持など、平行棒の演技をまとめて15.200としトップをキープ。田中佑典は得意の平行棒でヤマムロ、マクーツ、ヒーリーといた技をしっかりと決めて16.000という高得点をマークし2位にあがった。山室はゆかで最初の後方3回半ひねりでミスをしてしまい得点を落とした。あん馬では野々村笙吾が正交差倒立、逆交倒立で入り、フロップ、コンバイン、ロス、安定した実施で演技をまとめ、神本雄也も正交ひねり逆交入れで入り、二つの交差倒立を入れ、大きなミスなく通しきった。つり輪の萱もこの種目で最近力をつけている中、しっかりした技捌を見せ大きなミスなく演技をまとめた。一方、跳馬の早坂はロペスを実施したが若干低い着地となり、ねじこむように着地をまとめた。長谷川はアカピアンの着地で前に少し動く。
第6ローテーション
まずトップ争いをしている田中佑典と加藤凌平が最後に鉄棒の演技した。先に田中佑典がカッシーナと美しく決め、その後のひねり系の捌きも丁寧であったが、最後の伸身新月面も前に一歩出てしまう。しかし15.550と鉄棒の最高点をマーク。その田中を追って最後に演技をした加藤凌平が同じくカッシーナを含めたノーミスの演技で15.400をマークして、田中をかわして予選1位通過となった。ゆかの白井健三は、オリジナルのシライ3を実施せず、リジョンソンに留めたものの、Dスコアを7.6とし、16.200とこの日全体で最高得点を出した。亀山はEフロップ~ウゴーニャン、マジャール~シバド移動などぶれのない安定した実施でEスコアが他の選手を上回る8.900となり、15.700をマーク。長谷川を上回りこの種目トップとなった。つり輪では武田(徳洲会体操クラブ)がF難度の後転中水平で入り、正確で力強い実施を披露、かかえこみルドルフの着地もまとめた。神本雄也も振り上がり中水平、振り上がり上水平など正確で力強い実施、見せ場の伸身グチョギーからのほんてん中水平で若干足が下がってしまうが、着地までしっかりまとめた。野々村笙吾は振り上がり中水平~十字倒立から始まる新しい構成で、かかえこみルドルフは着地で若干腰くだけになりそうになり大きく動いてしまったが、まずまずの実施でまとめた。跳馬では萱がドリッグスで一瞬止まったかに見える着地だったが惜しくも動いた。
世界王者の内村航平(コナミスポーツクラブ)がすでにリオ五輪代表内定を決めているため、この日の上位35名が明日の決勝に進む。
■男子予選結果
1位 加藤凌平 90.150
2位 田中佑典 89.800
3位 野々村笙吾 89.100
4位 神本 雄也88.950
5位 谷川 航 88.850
6位 萱 和磨 88.500
7位 武田 一志 88.300
7位 山本 翔一 88.300
9位 白井 健三 87.850
10位 湯浅 賢哉 87.450