第14回フューチャーカップ報告

報告者:日本体操協会

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<選手団>
監督 水口晴雄
コーチ 谷田治樹,大門裕,
選手 川上翔平,築山翔馬,谷田雅治,戎耀汰
<派遣先>オーストリア、リンツ
<成果>
【参加選手】18か国 29チーム 115名(GroupⅠ:16名 GroupⅡ:42名 GroupⅢ:57名)
日本、ハンガリー、スイス、オーストラリア、オランダ、ドイツ、イタリア,チェコスロバキア、ブルガリア、カナダ、フィンランド、スウェーデン,ベルギー、スロベニア、イギリス、セルビア、スペイン、オーストリア

【競技会の概要】
採点規則:Junior Code Of Point 2017を適用
使用器具:SPIETH製の器具を使用(跳馬はGroupⅢのみ125cm)平行棒についても着地マットの使用が可能
競技方法:団体総合(4-4-3制)どのグループにエントリーしてもよい。エントリーグループの最終決定及びオーダーは、前日の監督会議後に提出した。競技会は3班に分かれており、各種目2チームずつ編成された。日本は3班つり輪スタート。カナダと同組で日本が全種目前半に演技をした。

【現地でのトレーニング、コンディショニング】
<11/21(火)>事前練習
今回も事前練習を清風高校体育館にて行った。とても環境の整った体育館で、全員が続行練習や技の確認を行い、約4時間の練習を終えた。全日本団体選手権直前という時期にご協力いただいた清風高校各位に感謝したい。その後、出発する関西国際空港近くのホテルへ移動し宿泊した。
<11/22(水)>移動
今回の参加選手のうち2名は昨年度も参加している選手だったため、長時間の移動や手続き等で特に問題はなかった。昨年度はフライト変更やスーツケースが届かないというハプニングも起こったが、今回はスムーズにリンツ入りできた。
<11/23(木)>練習会場練習
午前中からTGW体操クラブの体育館にてトレーニングを行った。前日の移動疲れもあるので、コンディションを整えるストレッチやトレーニングを多く取り入れて、各自体調を整えるよう積極的に動けていた。競技会で使用する器具もセットされており、時間をかけて全習練習をするなど十分な調整ができた。
<11/24(金)>競技会場練習
この日は、午後から競技会場で練習を行った。各自、器具の対応をしながら、積極的に続行練習や確認練習ができた。今回は過去最多の参加人数だったため、時間が経つにつれて多くの選手が練習を始め、種目練習に長蛇の列ができる状態であった。日本国内と違い、並んでいても順番を守らない選手もいて、選手は海外独特の雰囲気を感じながら練習に取り組んだ。

【競技会の報告】
<11/25(土)>15:00-16:15競技前練習(フリー。跳馬のみ高さ調整のため時間配分あり。)
16:20-16:30オープニングセレモニー
16:30-競技開始(つり輪スタート)
※前後半に分かれて演技し、日本チームは全て前半のグループであった。※競技前アップは、全て2分アップ
◆第1種目:つり輪
トップバッターの戎選手、第2演技者の築山選手ともに国際大会初出場であったが、落ち着いた演技で予定の演技を実施。第3演技者の川上選手は振り上がり上水平の姿勢不良のため認定なし。第4演技者の谷田選手は、演技途中で手が滑り落下。前半の振動力技、振動倒立が良い出来だっただけに残念な結果となった。
◆第2種目:跳馬
トップバッターの戎選手は伸身ツカハラ、着地もまとめてチームに良い流れを作る。続く築山選手は伸身カサマツ、練習では調整に苦労していたが見事な実施。川上選手も伸身カサマツ、着地を止める。第4演技者の谷田選手は、伸身カサマツで姿勢の良い実施で着地も止めEスコア9点台に乗せる。
◆第3種目:平行棒
トップバッターの戎選手、予定していた演技を無難に実施したが、着地が乱れ惜しい内容となった。第2演技者の築山選手、高さのあるティッペルトや伸びのある倒立を見せ、Eスコア9点台に乗せる素晴らしい実施。第3演技者の川上選手は新しく取り入れたヒーリーを入れて成功。第4演技者の谷田選手は、キレのある演技であった。わずかな手ずらしがあったがEスコア9点に乗せる。
◆第4種目:鉄棒
トップバッターの戎選手、続く谷田選手ともにキレのある実施で高得点を獲得。第3演技者の川上選手、持ち味の倒立ひねり技を実施するも軸がぶれて危うい場面も、見事な修正力で乗り切る。第4演技者の築山選手は伸身ヤマワキを成功。その後のエンドーで戻ってしまったが、その後は立て直しEスコアも大きく落とすことはなかった。
◆第5種目:ゆか
各選手、フロアのバネの合わせ方に苦労していた種目であったが、何とか競技までに調整できたようであった。トップバッターの戎選手、高難度の技はなかったが着地まで意識できた素晴らしい実施でEスコア9点台に乗せた。続く川上選手もEスコア9.0。第3演技者の谷田選手は難度の高いシリーズを実施。キレのある演技でEスコア9.35を獲得し、最高のムードを作り最終演技者の築山選手へ。ゆかの得意な築山選手は、技術力の高いひねり技を繰り出し、かつ全ての着地をピタリと止め、会場からも満場の拍手をもらう実施であった。Eスコア9.50の完璧な実施。
◆第6種目:あん馬
最終種目、競技会のスタイルが前半チームと後半チームに分かれて競技をする変則的なスタイルからの長時間の競技時間ということもあり、疲れがピークのようであった。トップバッターの築山選手はスピードのある旋回で通したが、終末技の倒立下りで崩れ惜しくも成立ならず。第2演技者の戎選手は手首の痛みをこらえながらの演技であった。何とかこらえながら演技したが、終末技の倒立下りが成立せず悔しい実施。流れの悪い中、川上選手は突然歯車がおかしくなったような実施になり、数回の落下。最終演技者の谷田選手は、予定していた開脚旋回マジャール移動やスピードのある旋回技を繰り出し、Eスコア9.30の素晴らしい実施で今大会を締めくくった。

【成果と課題】
今大会は参加チーム・人数が過去最多であり、更に高いDスコアを持っている選手が参加していた。団体戦としてどのカテゴリーからエントリーしてもよいという競技方法であったため、団体戦上位チームの多くは年齢の高いカテゴリーにエントリーした選手たちで構成していた。日本チームは実際の年齢カテゴリーより上のグループにエントリーし、国際経験を積むことをねらいとした。昨年逃した団体優勝目指して、選手・コーチが一丸となったが、惜しくも3位という結果になってしまった。最終種目にミスが重なってしまったが、それまでは高校生主体のチーム相手に互角に優勝争いができたことは今後の糧になるだろうと確信している。ここ数年、大会の規模が大きくなっており、ヨーロッパ各国のジュニア育成の意識の高さを知ることができた。日本が重んじている美しく正確な体操については、Eスコアの高さで証明することができた。しかし、ヨーロッパ各国の演技内容で特筆すべきは、あん馬のレベルの高さであった。カテゴリーの低いクラスの選手も果敢にD以上の移動技を取り入れ、どの選手も倒立下りにチャレンジしていた。このような取り組みが、ヨーロッパ選手のあん馬の技のバリエーションの多さにつながっていると感じた。
今回は初めて国際経験を積むの選手もいた中で、様々な国内と違う場面にも落ち着いて行動できており、トレーニングに集中できていたことが3位入賞につながったのだと考える。このように若い世代の選手が海外での経験を積むことで、将来の体操ニッポンの底上げにつながることと確信している。
最後に本遠征にあたり、日本体操協会をはじめ、日本スポーツ振興センター、JOCといった関係者の皆様に心より感謝を申し上げたい。
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