第45回世界体操競技選手権現地レポート1
現地9月29日、男子1~5班ポディウム練習レポート。
【1班】
大会開始を実感させられる本番の会場で同じ時間帯による練習(ポディウム練習)がスタート。審判員も全員が集合し、その基準作りのために意見交換を繰り返す。時には選手が手を挙げて実際に行う予定の演技を見せて評価をコーチが確認するなど、より公正でミスのない採点のため、そして運営スタッフも本番のリハーサルを兼ねての取り組みだ。1班には、先日開催されたアジア大会で香港史上初となるメダル、それも金メダルを男子跳馬で獲得したSHEK Wai Hung選手らも名を連ねる。ただ、大きな消耗があり、いかに大会出場の疲れを取るかが問題だとコーチが頭を悩ませていた。
【2班】
事前合宿を日本で行い、南寧入りしたブラジルが、チームとして充実した取り組みを披露した。これまで種目別に特化したイメージがあったが、今回は地元ブラジルの大会に、団体で出場しようという意気込みが感じられる。とりわけ好調を維持しているSASAKI選手、五輪金メダリストのZANETTI選手、久々に代表に加わったHYPOLITO選手など、ベテラン勢を中心とした真剣な取り組みが印象的だった。一方、ウクライナはVERNIAIEV選手がチームをけん引する風格を見せる。交差倒立1回ひねりをする選手、つり輪と跳馬で力を持つRADIVILOV選手らを擁するが、少しミスも目立った。
【3班】
優勝候補、地元中国が登場。鉄棒ではモズニク系の組合せ、伸身イエガーへの組合せを織り交ぜ、高いDスコアを目指している。中でもZHANG Chenglong選手がカッシーナ、コールマンを含めながら雄大で安定性のある演技を披露し、完成度の高さをアピールした。ゆかでは多くが後方宙3回半ひねりからの連続宙返りに取り組み、着地ミスしたところはやり直してその感覚をしっかり調整していた。あん馬では少し安定性を欠くものの、つり輪では積極的な取り組みで強さをアピール。平行棒ではDENG Shudi選手が屈身ドミトリエンコ、屈身モリスエ、屈身ベーレを成功させる演技を披露し、多くの注目を集めた。その他、やはり注目されたのがオランダZONDERLAND選手の鉄棒。相変わらず豪快な手放し技の連続や最後の着地まで決めてくる安定感は、感動を覚える。なお、跳馬で強さを見せるRI Se Gwang選手ら北朝鮮の選手もアジア大会での疲れが見られ、練習では抑えめの量にしている印象であった。
【4班】
韓国も連戦の疲れがみられる。跳馬の第一人者、YANG Hak Seon選手も跳馬は数本軽くとぶだけで少し足を引きずるそぶりを見せ、それ以降、練習をせずに休んでいた。その中にあって堅実な取り組みをしていたのがスペイン。エースのGONZALEZ選手をけがで欠きながら、事前にしっかりチーム作りに取り組んでいることが垣間見れた。ZAPATA選手はゆかで前方2回宙返りを含めた個性的な連続宙返りを2度構成して周囲を沸かせていた。その他の種目にもいいものを見せており、オールラウンダーとしての注目できそう。
【5班】
本日最終版の注目は、ロンドン五輪で銅メダルを獲得したイギリス。まだ出場メンバーを決めかねているようで、7名が練習に参加。チームの中心となったWHITLOCK選手がGコンバインを決めてくるが、バランスを崩す場面もあり、少し不安定な部分もあり。KEATINGS選手もデビュー当時の勢いは感じられず、少しミスが目立った。PURVIS選手はいつものように堅実な演技を披露。TULLOCH選手、WILSON選手ら伸びしろのある若手も力をつけているようで注目される。