2011世界体操選手権男子予選第5班レポート

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来年のオリンピックのホスト国イギリスはつり輪からスタート
OLDHAMは目立った力技はなかったが、伸身-かかえこみ-屈身のヤマワキ3連続を実施、終末は伸身月面の着地は止めたが、若干力強さに欠ける演技で13.933。
2009世界選手権個人総合銀メダリストのKEATINGSはピネダで入り、振り上がり開脚上水平、ホンマ十字懸垂、ヤマワキ連続を入れた構成で終末はかかえこみ2回宙返り1回半ひねりで間に大きく1歩。いささか寂しい演技構成で、得点は13.766。
THOMASは、振り上がり上水平、十字懸垂、屈身ヤマワキ、振り上がり開脚上水平、伸身ヤマワキ~ヤマワキ、伸身月面という演技構成で着地は少し後ろに動く。やはりDスコアが低く、得点は14.100。
PANTELEYMONOVは、けあがり中水平、アザリアン、振り上がり開脚上水平、ヤマワキ連続、伸身月面という演技構成で着地は後ろに1歩。若干力技を多く取り入れた演技構成だったが、得点を伸ばせず14.333。
PURVISは、ピネダ、アザリアン、振り上がり開脚上水平、伸身-かかえこみ-屈身のヤマワキ3連続、終末のかかえこみルドルフという構成でうまくまとめる。しかし、得点は14.100。
5選手ともミス無く演技を行ったが、最高がPANTELEYMONOVの14.333、この種目で得点を伸ばすことは出来なかった。
跳馬では、1番手OLDHAMはアカピアンで姿勢はきれいだったが、着地が少し詰まり両足で前に小さく1歩、15.433.
KIETINGSはドリッグスを両足で前に小さく1歩にまとめた。空中姿勢で脚のばらつきが見える実施だったが15.933の高得点。
PURVISはシューフェルトをきれいにまとめ、15.900。
THOMASもシューフェルト、着地は前に少し動いたがしっかり突き手が入り、非常に高く雄大な実施だったが、15.866。
種目別をねらい2本目にローチェを実施、腰高の着地だったが前に大きく1歩動き15.800。
PANTELEYMONOVも2本実施、1本目のドリッグスは雄大な実施で着地も両足で小さく1歩に押さえたが入りで脚割れが見え、15.866。2本目のローチェは非常に美しい余裕ある実施だったが、着地は両足で大きく1歩。15.766にとどまる。
16点台の演技は無かったが、全員うまくまとめしっかり得点を積み上げてきた。
平行棒は1番手THOMASが単棒逆上がり倒立というめずらしい技で入り、棒下宙返り、ホンマ、開脚前宙と順調に演技を進めていたが、ヒーリーで詰まりダブルスウィング、屈身2回宙返りの着地は小さく前に1歩。ミスが響き得点は14.366。
OLDHAMは、ホンマ、棒下宙返り、車輪、モイ、ヒーリー、棒上宙返り、ディアミドフ、ツイスト、屈身2回宙返りという演技構成で着地を止め、14.683。
PANTELEYMONOVは、棒端逆上がり、車輪、モイ、開脚前宙支持、ヒーリー、ディアミドフ、棒上宙返り、ほんてん倒立、屈身2回宙返りという演技構成で着地は後ろに1歩、得点は14.366。
KEATINGSは入りのホンマで片手をはずしてしまいダブルスウィング、棒下宙返り系の技も屈腕の捌き、後半は開脚前宙支持などうまくまとめ、屈身2回宙返りの着地も後ろに1歩におさえたが、ミスが響き13.408。
PURVISは逆上がり倒立で入り、続く棒下宙返りひねりは脚のばらつきが見えたが、棒下宙返り1回ひねりはうまくまとめ、車輪ディアミドフ、ディアミドフ、ホンマ、ヒーリー、屈身2回宙返りまではきれいにまとめ、15.133、この種目チーム唯一の15点台に乗せる。
鉄棒では1番手PANTELEYMONOVが伸身コスミックで入り、リバルコで落下、リバルコをやり直し成功したが、その後目立った技は無く、伸身ルドルフの着地は後ろに1歩。12.266と苦しいスタートとなる。
続くKEATINGSもアドラー1回ひねりからヤマワキにいこうとして手が離れ背中から落下、その後手放し技を行わず、アヂラーひねり、エンドー1回ひねり大逆手などを実施して、伸身月面の着地は止めるが、12.166と低得点。オリンピック出場枠獲得に暗雲がたれこめる。
PURVISはツォリミンで入り、アドラー1回ひねり~ヤマワキ、シュタルダー1回ひねり、ホップターンひねり、アドラーひねりなどを実施し、伸身月面の着地は止めたが、アドラー1回ひねりで姿勢欠点が目立ち14.233。ようやく14点台に乗せる。
OLDHAMは伸身トカチェフを成功し、ホップターンひねりまでは順調だったが、アドラーひねりで脚を開き戻ってしまいダブルスィング、その後アドラー1回ひねり~ヤマワキを成功させ、伸身ルドルフの着地は止めたが13.633と得点を伸ばせず。
THOMASはアドラーひねり~伸身トカチェフ、アドラー1回ひねり~ヤマワキの2つの組み合わせを予定していたようだが、いずれも戻ってしまい連続出来ず、ヤマワキは実施すらしなかった。開脚モズニクを実施し、伸身月面の着地は両足で前に1歩。得点は12.800。
この種目でミスが多発し、オリンピック出場権が確定する8位以内入賞が微妙になってきた。
ゆかでは、1番手PANTLEYMONOVが後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返り~前方伸身宙返りを非常に雄大に美しく捌き、さらに後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りひねり、3節目には伸身マリニチ(伸身転回転)という珍しい技を実施し、終末の後方宙返り2回半ひねりは両足で横に動く。Dスコア5.7の演技で14.500、まずは良いスタートを切った。
OLDHAMは、ツルバノフ、テンポひねり~前方宙返り2回ひねり、開脚旋回360度シュピンデル倒立、ゴゴラーゼ、十字倒立、伸身マリニチ、後方宙返り2回ひねり、後方宙返り2回半ひねりの演技構成だったが、十字倒立が止まらず13.866に終わる。
KEATINGSは、かかえこみルドルフ、後方宙返り2回半ひねり~前方宙返り1回ひねり、伸身ニシキイ、開脚旋回360度シュピンデル倒立~開脚旋回、フェドルチェンコ、十字倒立、伸身マリニチ~ロンダート~後転とび~後方宙返り2回ひねり、後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りの演技構成を無難にまとめ14.866。
THOMASは後方宙返り1回半ひねり~バンローンで入り、後ろとびひねり前方屈身2回宙返りを止め、その後の後方宙返り2回半ひねり~前方宙返り1回ひねり、フェドルチェンコ、十字倒立、テンポ~伸身ニシキイ、後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りまできれいに捌き15.133、15点台に乗せた。
ロッテルダムこの種目銅メダリストのPURVISは、後ろとびひねり前方屈身2回宙返り、後方宙返り1回半ひねり~前方宙返り2回ひねり、後方宙返り2回半ひねり~前方宙返り1回ひねり、テンポ~トーマス転、十字倒立、ツルバノフ、後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りという演技構成を安定感ある実施で捌ききり15.200を獲得した。
鉄棒で落とした得点をこの種目で若干取り戻した感があった。
最終種目あん馬では、1番手THOMASが馬端からとび正交差ひねり逆交差入れで入り、あん部馬背フェドルチェンコ、ウーグゥオニアン、フェドルチェンコ、シバド、トンフェイ、終末技の倒立に上げようとして停滞があり認定されなかった模様で、12.333。
OLDHAMは逆交差倒立、Dフロップ、Dコンバイン、マジャール、シバド、シュテクリA倒立ひねり移動下り(E)という演技構成になった。本来はEフロップ、Eコンバインを予定していたようであるがうまく遂行出来ず難度を下げたように見えた。得点は13.600。
PURVISは、フロップ、コンバイン、ウーグォニアン、フェドルチェンコ、マジャール、シバド、シュテクリA倒立ひねり移動下りというオーソドックスな演技構成だがきれいにまとめ14.566。
KIETINGSは正交差倒立、フロップと質の高い演技実施を見せていたが、あん馬背フェドルチェンコから次の技に移るとき手を滑らせ落下、その後マジャールシュピンデル、ウーグォニアン、フェドルチェンコ、マジャール、シバド、シュテクリA倒立ひねり移動下り(E)までなんとか通したが、落下が響き14.066。
最終演技者としてこの種目のみ出場のスペシャリストSMITHが登場、逆交差倒立、正交差倒立、Eフロップ、Eコンバイン、マジャールシュピンデル、マジャール、シバド、シュテクリA倒立ひねり移動(E)の演技構成でコンバインで脚を開く局面はあったが無難に演じきり15.600。
種目別決勝への出場をほぼ確実にした。今回は練習で見せたFコンバインまではやらなかったが、決勝ではやってくることを期待したい。
この班を終わってイギリスは団体総合暫定6位につけている、この後ロシア、中国、フランスが残っており、ロシア、中国は確実にイギリスを上回るものと予想される。8位以内入賞にはフランスの出来がかぎとなるといって良いであろう。
スペインはゆかからのスタート。一人目のMUNOZが二本目にラインオーバーとタイムオーバーで0.3の減点を受けたが、それ以外はノーミスの演技。BOTELLAは屈身アラビアン2回宙、後方2回半、伸身トーマスなどを構成して15.066と唯一の15点台。
あん馬はGONZALEZがマジャールのところで手を滑らせて落下。MARTINEZはロスのところで足が大きく乱れてしまうミスを出すも14.333。最後のMUNOZは馬背での下向き転向720度を実施。馬端でも下向き転向720度を行って、得意技をうまくいかした構成で14.333。MUNOZ、MARTINEZが14点台を出した以外は13点台で点数は伸びず。
つり輪では実施で大きな乱れはないものの、力技の静止で少し減点を受けたと思われ、Eスコアを8点台中盤で揃えてきたが、Dスコアが高くなく得点は伸びきれなかった。その中では最後のMUNOZがヤマワキ~十字倒立という難しい組み合わせを見せて14.466をマークし、チーム最高得点。
跳馬はドリッグスをMARTINEZ、GOMEZ、MUNOZが、シューフェルトをGONZALEZが、そして前転とび前方伸身2回ひねりをBOTELLAが行い、最初のMARTINEZ、3人目のGONZALEZ、4人目のMUNOZと着地を止める見事な演技。MARTINEZ、MUNOZが16点台をマークした。
跳馬の好調な演技の勢いを殺さずに平行棒でも全員ノーミスの演技。GOMEZはヒーリー~ツイスト~棒下ひねり~棒下~ベーレと続け、更にかなり雄大な実施のティッペルトを見せ、屈身ダブルの着地もほぼ止める演技で、チーム最高の14.633を出した。この段階でスペインはイギリスを上回り、4位ウクライナにも肉迫する勢いで5位。
鉄棒は一転してミスが出た。まず、LOPEZがコバチで落下。GONZALEZがコバチの後に直接続けたリバルコで回り切らず、1回ひねったところで戻ってしまうミス。しかし、MUNOZは新技申請が出たヤマワキひねり(腕を交差して懸垂)、ヤマワキ~リバルコを決め、最後のMARTINEZはアドラーひねり~伸身トカチェフ、伸身トカチェフひねり(腕を交差して懸垂)、アドラー1回ひねり~ヤマワキと次々に決め、14.500(D6.7)を出した。この鉄棒で得点が伸びきらずに、ウクライナに追いつかなかったばかりか、イギリスに僅かに0.017及ばず現時点で7位となり、ロシア、中国を残す中、今大会での五輪団体出場権は厳しくなった。
種目別予選としては、まずブルガリアのIOVCHEVが後ろ振り上がり中水平~上水平~アザリアン~十字倒立と続け、ヤマワキ連続、そしてホンマ十字から中水平と決め、最後は伸身月面。15.016(D6.6)は現在14位で種目別決勝進出はならず。また、モンゴルのGANBATは昨年のアジアジュニアでも優勝した得意の跳馬でドラグレスクとドリッグスを決めたものの、16点台が出せず、現時点で13位に留まり予選落ちとなった。