2011世界体操選手権男子予選第1班レポート

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日本とアメリカが各国の先陣をきって予選に登場。
つり輪スタートの日本は、田中和仁が1番手として登場。伸身月面の着地は惜しくもわずかに動いてしまったが、教科書を見るような完璧な演技実施で15.033。
続く田中佑典もけあがり脚上挙十字懸垂、伸身グチョギーなどをきめ、着地は小さく1歩動いたもののかかえこみ新月面の着地をまとめ、15.158とこれまた15点台を獲得。3番手小林研也は、非常に高度な演技構成の演技だったが、後半の振動倒立で若干乱れを見せてしまい、15.025と 得点を伸ばしきれなかった。
4番手内村航平はやはり高度な演技構成の演技をきっちりこなしたが、かかえこみ新月面の着地は惜しくも止まらず15.233。
最終演技者山室光史はF難度の後転中水平から入ると次々と高度な力技をほぼ完璧な実施でこなし、伸身月面の着地はわずかに動いたが15.533を獲得。種目別決勝への可能性を残した。
3番手、4番手で思うように得点を伸ばせなかったが、全員が15点台を獲得するさい先の良いスタートとなった。
跳馬では、1番手田中佑典がドリッグスを無難にまとめたが、2番手小林研也はヨーⅡで着地の受けが低くなってしまい、前に両手をついてしまう大きなミス。
3番手沖口誠、4番手山室光史はともにロペスを成功。16.260、16.400という高得点を獲得した。
しかし、最終演技者の内村航平がヨーⅡで失速してしまい、両手を前についてしまうまさかの失敗跳躍となってしまった。
高得点を積み上げて稼いでおきたかったこの種目で得点を伸ばしきれず。
平行棒は、1番手山室、2番手小林が中欠点程度のミスが重なり、14.066、14.566と得点を伸ばせず。
田中(佑)は屈身モリスエが低くなり一瞬ヒヤリとさせられたが、うまく前振り上がりにつなぎしのいだ、前後の実施はほぼ完璧に実施、屈身2回宙返りの着地ぴたりと止めて15.166と15点台に乗せてきた。
続く田中(和)も前半の棒下1回ひねりでぶれてしまったが、それ以外の部分は着地まで完璧な実施で15.366。
内村も前半の棒下系連続で若干いつもの切れが無く重い感じだったが、後半の車輪ライヘルト、開脚前宙などいつもの切れを出しており、屈身2回宙返りの着地を見事に止め15.391を獲得。
跳馬に続き高得点を稼いでおきたいこの種目でも得点を伸ばし切れなかった。
鉄棒は、1番手山室アドラー1回ひねり~ヤマワキを独特の表現で成功させ伸身ルドルフの着地も後ろ1歩にまとめ、14.533とまずまずの出来。
続く小林もアドラー1回ひねり~ヤマワキ、コールマンも成功し、伸身ルドルフの着地も両足で前に1歩にまとめたが得点は伸びず13.966。
ひねって大逆手になる技での角度減点がかなりきびしく取られているように見受けられた。
3番手田中(和)はこれまでの演技構成に新たに加えたコールマンを成功、アドラー1回ひねり~ヤマワキも成功させたが伸身ルドルフの着地で前に大きく1歩、思ったより得点を伸ばせず14.800。
4番手田中(佑)はコールマン、アドラーひねり~コバチ、シュタルダー1回半ひねり片大逆手、アドラー1回ひねり~ヤマワキをすべて成功させ、伸身ルドルフの着地も見事に止め15.600。
最終演技者内村も屈身コバチ、シュタルダー1回半ひねり片大逆手、アドラー1回ひねり~ヤマワキ、コバチ、コールマンといつもの切れのある実施で成功させ、伸身ルドルフの着地を止め15.533。
ゆか、この種目でまさかの事態がおきてしまった。
1番手山室が宙返り3連続で入り、後ろとびひねり前方屈身2回宙返り、前方宙返り2回半ひねりなどをきめ、終末の後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りもまとめ、14.533。
2番手田中(和)はかかえこみルドルフで入り、宙返り3連続、宙返り2連続など順調に演技を進めたが、終末の後方宙返り3回ひねりの着地で大きくはじかれ片手をついてしまう、さらにラインオーバーも加わり13.616と得点を伸ばせず。
3番手田中(佑)は入りの後方宙返り1回ひねり~バンローンで失速してしまい、ゆかに頭からつっこんでしまい脳しんとうを起こし演技を途中で断念、なんと1.466という得点に終わってしまった。
しかし、4番手沖口がロウウン~前方宙返り臥、前方宙返り2回半ひねり、かかえこみ新月面、宙返り2連続、宙返り2連続を豪快かつ丁寧に捌き、終末のかかえこみ月面もうまくまとめ14.966を出し、立て直した。
そして最終演技者内村も後方宙返り1回半ひねり~バンローン、宙返り2連続、後ろとびひねり前方屈身2回宙返りひねり、宙返り2連続、トーマス転をいつもどおり正確に捌き、わずかに動いたが終末の後方宙返り3回ひねりをまとめ、15.466を獲得。
あん馬では、ゆかで負傷した田中(佑)の代わりに沖口が急遽出場することとなった。
確実に演技し流れを引き戻したい1番手田中(和)だったが、コンバイン、フロップ、マジャール、シバドなど高難度技を完璧に実施したものの、ポメル旋回で体重が後ろにかかり落下、13.500と得点を伸ばせず。
続く沖口は急遽の演技となったが、フロップ、コンバイン、ウーグォニアン、フェドルチェンコ、シバドを安定した実施でこなし、逆リヤ倒立ひねり移動下りもうまくまとめ14.533を獲得、悪い流れを断ち切ってくれた。
3番手山室もフロップ、コンバイン、ウーグォニアン、マジャール、シバド、逆リヤ倒立ひねり移動下りの演技構成を安定した実施で演じきり14.700。
続く小林は、入りの逆リヤ倒立で片手を動かしてしまったが、あとは完璧にこなし15.100の高得点を獲得。
最終演技者内村もフロップ、コンバイン、ロス、ウーグォニアン、マジャール、シバド、シュテクリA倒立ひねり移動下りの演技構成を完璧にこなし15.433。高得点で予選の演技を締めくくった。
大きなアクシデント、いくつかのミスが出たが、なんとか踏ん張り364.291で暫定1位となった。この後、ドイツ、ロシア、中国が出てくるがこの得点がターゲットポイントとなることは間違いない。あとは日本の1位通過を願うのみである。
アメリカはゆかからのスタート。一人目の着地ミス以外、目立った減点がない好調な演技を続けた。一人目のOROZCOは終末技の後方2回半の着地を止めて14.300とまずまずのスタート。続くLEYVAは、伸身新月面はうまく決めたものの、終末技の伸身ダブルで後ろに3歩ほど動く中過失。HORTONは無難にまとめて、4人目のLEGENDRAが独特の高難度技を構成。一本目にかかえ込み後方2回宙2回半ひねり、2本目は伸身アラビアン2回宙1回ひねり(ヒポリト)、そして終末技は伸身アラビアン2回宙(タマヨ)で15.433(D6.8)をマーク。最後のDALTONは一本目に伸身アラビアン2回宙を実施、次に伸身トーマス、そして終末技の後方3回ひねりの着地を止めて15.366(D6.6)。
あん馬に入ると苦手種目の苦しみを感じさせ、二人目の正交差倒立上げのところで上り切らず、LEGENDRAは随所に足の乱れが出てしまった。しかし、4人目のOROZCOは正交差と逆交差の倒立上げを実施し、更にロスなど移動技でも特徴を出してDスコア6.0として15.000をマーク。最後のNADOURは片腕支持上向き全転向(メリーゴーランド)で場内を沸かせ、Eコンバイン、ロスも決めて15.233(Dスコア6.2)とした。後半の二人はよかったということで、決勝では最初に演技するであろう残る一人の選手の出来が鍵となる。
つり輪でもDALTON、LEGENDRA、LEYVAは振動系の実施で減点が目立ってしまい、更にLEGENDRAは中水平でかなり足が下がってしまうミスを出して得点が伸びなかったが、OROZCOからはけ上がり脚前挙十字~中水平といった力技、後ろ振り上がり中水平、後ろ振り上がり上水平といった振動からの静止技でもきれいにまとめて15.033をマーク。最後のHORTONも更に後転中水平、アザリアン、後ろ振り上がり十字、屈身ヤマワキ、後ろ振り上がり上水平と実施し、最後のかかえ込み新月面を見事に止めて15.366(D6.7)を出した。この種目でも3人目以降が弱いのが決勝でどう影響するかが気になるところだ。
跳馬は二人がドラグレスクを実施。HORTONは着地一歩に動きを留めてまずまずの実施で16.083であったが、LEGENDRAは手を着いてしまう大過失で点を伸ばせず。最後のDALTONはロペスを実施し16.233を出した。7.0が3人いる強さを発揮してこの種目では決勝での高得点が期待できるといえよう。
平行棒では、LEYVAが独特の構成を見せて、テンハイビン(棒下ディアミドフ)、棒下1回ひねり、車輪ディアミドフひねり、車輪ディアミドフと高難度技を連発。15.366(D6.4)をマークして点を稼いだ。その他、OROZCOも15点台であったが、HORTONはツイスト倒立で歪みが出て思うように点数を伸ばしきれなかった。
最後の鉄棒は、DALTONがウェラーで回り切らず停滞。しかし、OROZCOが伸身トカチュエフ1回ひねり(リューキン)を決め、最後の伸身月面の着地を決めて15.266(D6.4)を出した。HORTONも圧巻の演技で、伸身コールマン(カッシーナ)、伸身コバチ、コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキと決めて最後は伸身月面で15.066(D6.8)。そして最後のLEYVAはお馴染みの豪快な構成であったが、伸身コバチを決めた後、伸身トカチェフ1回ひねり(リューキン)で乱れて、その後アドラーひねりから伸身トカチェフが繋がらず、全体的にぶれている印象を受けた。Dスコアこそ6.9と高かったがEスコアが7点台に留まって14.466。これでアメリカは日本より2.708離されて361.583で演技を終了した。
また、ベトナムのHA THANHが跳馬の二本目に屈身メリサニデス(屈身ユルチェンコダブル)を決めて16.600とかなりの高得点をマーク。跳馬の種目別でも2位につけた。