2011世界体操選手権コラム「美しい体操」

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昔は男子が美しい体操をして、女子が技を追い駆けている時代があり、男子の体操の方が美しさでは勝っていた時代があった。しかし、今は女子も再びきれいな体操に方向に向いている。
ルール改正の中、いち早く技へ追求よりも美しさ重視する原点に立ち戻れたのは日本だと思う。冨田洋之、鹿島丈博といった美しい演技をする日本男子が、アテネ五輪や世界選手権で金メダルを獲得して、「日本は美しい体操をする」というイメージが出来たことが、日本女子にも大きく影響したと思う。昔からも美しい体操を目指している選手がいたとは思うが、結局技を追い駆けていた時代の選手たちは、より高難度の技の習得に傾倒するだけであった。そんな中、冨田、鹿島といった選手たちの登場により、「私たちの考えは間違ってなかった」という思いになって、今の日本女子の活躍に繋がっているように思う。
昔、インタビューで「美しい体操をしたい」という発言をした日本女子はそんなにいなかったように記憶している。しかし、今は気が付かないうちに冨田、鹿島たちの流れを受け、思い描く体操の理想像が昔と違っているような気がする。
その中で、今の日本の二大エースとなる鶴見と田中は、美しさへの取り組み方も異なり、鶴見は姿勢の美しさや基本がしっかりとした、隙のない完璧な演技を目指し、体操そのものの美しさは今の日本ではトップといえよう。一方、田中はゆか以外で曲はないものの、本人が演技中に思い描くメロディが聞こえてきそうな表現力を各種目に感じさせ、「魅せる体操」としての美しさがある。それぞれが世界で評価を得て、日本のレベルアップを感じさせている。その二つの違う強さと美しさのある日本チームの演技に期待して見て頂きたい。