第26回ユニバーシアード体操女子団体現地レポート

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地元中国が2名のみの参加で、団体戦不参加となった女子団体。4班に分かれた競技はロシア、ウクライナ、そして日本のいる第4班での激しい優勝争いとなった。
第1ローテーションでは日本が平均台、ロシアが跳馬、ウクライナが段違い平行棒。日本はトップの山岸が何とかふらつきを耐えた場面があったが、ノーミスで演技を終えた。しかし、大島が開脚前宙で落下してしまう痛恨のミス。しかし、美濃部がロンダード~後方伸身宙返りで冷やりとする場面もあったものの、その後は落ち着いて演技をして14点台をマーク。そして、最後の椋本も何箇所かふらつきを見せたものの、後方伸身宙返りがぴたりと決まるなど、大過失のない演技。これで大島の大過失が帳消しとなり、この時点で日本がロシア、ウクライナを抑えてトップに立った。
続く第2ローテーションはウクライナが平均台で強さを見せ、DEMYANCHUKが15点台を出して一気にトップに立った。日本はトップの山岸から全員に着地に乱れが見られ、全選手が本来の出来ではなかったものの、大過失はなく、減点を最小限に抑えた。
第3ローテーションは山岸、美濃部、大島とユルチェンコ1回ひねりでまとめて、最後の椋本は一本目にDスコアが高くない前転とび前方かかえこみ半ひねりを熟練度の高い実施で決めてEスコアで高い得点をマーク。更に椋本は種目別予選で伸身ツカハラを二本目に跳び、これもきれいに決めた。Dスコアの関係で日本はウクライナを逆転するまでにはいかず、更に平均台で追い上げるロシアと僅差。ウクライナはこの時点で2点以上日本をリード。しかし勝負は最後までわからない・・・。
最終ローテーション、全種目トップバッターであった山岸はシュタルダー1回ひねりで乱れ、倒立からかなり外れて冷やりとしたが、車輪に繋げてミスに見えない捌きでうまくカバーした。そして終末技のかかえ込み月面もぴたりと決めた。続いて今日最初の演技となった今西。閉脚シュタルダー半ひねりでやや停滞があり、その後のイエーガーで落下。このミスを引きずらない演技を期待された美濃部が今日最高の演技を見せた。各倒立が見事にはまり、まったくぶれがなく、さらに終末技の前宙ダブルをぴたりと決めて、チームに最高のガッツポーズと最高得点(14.950)をもたらした。この段階でロシアはゆかで着地で手を着くミスがあったり、ウクライナも跳馬で点が伸びず(Dスコアが低い跳躍)、美濃部の点が出た段階で優勝の可能性がかなり高くなり、最終演技者となる大島の演技となった。今日は平均台で落下があり、かなり緊張感の高まる中の演技であったが、不安であったであろう大逆手車輪のひねりの連続を決め、低棒とびこし半ひねり倒立も完璧にはまった。そして最後、前宙ダブルの終末技は大きく前に1歩出てしまったが、何とか踏みとどまった。演技後は安堵の笑顔と苦笑いが交錯していた。
そして、この時点でロシアはもはや3位をキープするのがやっとで、更にウクライナが最終演技者を終えているので、大島の得点が出た段階で優勝が決まるという中、14.100が表示され、見事に電光掲示板に日本1位の表示!!この瞬間、1967年以来、待ちに待った日本女子二度目のユニバーシアード制覇となった。
今回のメンバーは世界選手権や五輪に関してはそれぞれが過去に悔しい思いをしているメンバーばかりで、この優勝はその雪辱をも果たす勢いの結果となった。各選手の思い、意気込みがチーム全体の粘りを生んだに違いない。
地元東京の世界選手権を控えた体操ニッポンに大きな追い風となる金メダル。今度はロンドン五輪の団体出場権獲得が目標となるが、この結果は日本のみならず、世界にも大きなものであったことであろう。10月の日本女子の活躍がますます楽しみである。