2010豊田国際体操競技大会・2日目記者会見(男女監督)

報告者:

立花泰則男子監督
 この大会だけではなく、今年の世界選手権を含めた話ですが、団体総合では追いかけても追いかけても縮まらなかった中国との差が縮んだというだけでなく、中国に対して日本選手が持っている実力をしっかりと発揮すれば団体優勝を果たすことが出来るんだという実感を掴みました。反省点としては、代表が選ばれてから、短期間の中でいかに練習を積み上げて、選手たちと共に本番に向けていかに挑むことが出来るかをもう一度スタッフの中で話し合って、選考会後の練習のあり方、試技会の形式のあり方をしっかりと来年に反映させ、東京の世界選手権では悲願の団体総合優勝を果たしたいと思います。
 個人総合では、内村が日本人選手で初めて2連覇を達成し、先週の全日本で、種目別決勝のゆか、跳馬、鉄棒と素晴らしい演技をして、我々の想像を超えるところで演技構成をしっかりと作り上げて、世界選手権でも短期間の中でしっかりと完成度の高い演技をしてくれました。美しさだけではなく、難しさもチャレンジしていくという、彼の体操に対する理想がすごく高いところにあることが分かりましたし、2連覇を達成したチャンピオンという称号だけではなくて、時代の節目節目で世界の体操、日本の体操界を切り開くチャンピオンが出てきていますが、伝説のチャンピオンへの領域に踏み入ったという感じです。
 あとは、表彰台の(1位の横に)もう一人の日本人を乗せて、日本が得意とする個人総合でしっかりと戦いたいなと思っています。種目別に関しても、個人総合の選手たちの武器になっている種目をしっかりと磨き上げて、世界と戦っていきたいです。中国は種目別からの強化、日本は個人総合からの強化を図っていますが、今年その結果が一つ出たので、この結果を踏まえて、来年、そしてロンドンに繋げていきたいと思います。
(田中選手の平行棒の金メダルについて)3月に左足首の靭帯損傷し、国内の選考会を乗り切って代表の座についた経緯があります。春先の怪我での躓きが、世界選手権で、最後の最後にミスに繋がったり、全日本でのミスに繋がっている部分があると思います。内村や他の選手は年度の後半はDスコアを上げてきながら演技構成を変えていったにも関わらず、そういう部分をやり切れなかった中で試合に臨みました。昨日までの練習では体の反応も悪く、今日どうなるかと思っていたが、昨年の世界選手権の銅メダリスト、そして今年の世界選手権代表という意地を見せて平行棒に挑んで、日本男子全体のテーマである着地をしっかりと決めてくれました。今年最後の大会で結果を残し、来年の試合に向けての足がかりになるのではないかと思います。
塚原千恵子女子監督
 世界選手権、アジア大会は同じメンバー、豊田国際はその中から選ばれた選手で臨んで、今シーズンを終了します。世界選手権では団体5位、そして個人総合では田中が17位、鶴見が21位。団体ではいい成績を取ったものの、昨年メダルを取った鶴見の活躍がなかなか出来なかったというのが大きかったと思います。アジア大会は世界選手権直後で競技力を発揮して、銀3つ、銅3つという成績を取り、団体も種目別もいい演技が出来たと思います。
 ただ、全体的に怪我の多い選手団で、不安を抱えながらここまで来たのですが、来年に向けては、幅の広い選手選考方法を考えていきたいと思っていますし、ベストの大会で東京大会に臨みたいと思っています。Dスコアが世界のトップクラスの選手たちよりも低いので、国内内規のDスコアの加点についても将来考えていかないといけないということで来年に課題になると思います。確実にDスコアが6点以上で14点以上を取れる選手を集めないと、おそらく来年の五輪予選の8位以内に入る戦いというのは厳しくなると思いますので、その辺りを強化して東京大会に臨みたいと思っています。