第64回全日本体操競技選手権大会男子団体レポート

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○第1ローテーションを終わっての暫定順位
1位:日本体育大学(45.700)、2位:KONAMI(45.450)、3位:相好体操クラブ(45.200)、4位:朝日生命(43.750)、5位:順天堂大学(43.400)、6位:徳洲会体操クラブ(43.050)、
日本体育大学(ゆか)は、佐藤巧が入りの後ろとびひねり前方屈身2回宙返りで低い着地となり後ろに1歩動いたが、その後は順調に演技を続け最後の後方宙返り3回ひねりもうまくまとめ15点を獲得し、続く瀬島龍三、内村航平も素晴らしい演技で得点を重ね上々のスタートを切り暫定トップ。
KONAMI(ゆか)は、中島立貴、植松鉱治が順調に演技をこなし、特に植松が最後のかかえこみ月面を止めると観衆が沸いた。さらに、沖口が前日に続き入りのロウウン1回ひねりを成功、最後のかかえこみ月面を後ろに1歩でまとめ順調なスタートを切ったが、わずかな差で暫定2位。
相好体操クラブ(跳馬)、3選手とも大きなミス無くまとめ、暫定3位につけた。
つり輪スタートの順天堂大学・朝日生命はともに大きなミス無く、良いスタートを切った。
徳洲会体操クラブ(あん馬)は、2番手水鳥寿思の終末技がC難度だったが大きなミスは無く、前後に演技した寺尾尚之、田中和仁も手堅くまとめ順調なスタートを切った。
仙台大学(あん馬)は、佐藤亘が逆交差倒立から入る演技構成で順調に演技を進めたが、終末技で大きくバランスを崩しまさかの転倒。さらに宗像陸もマジャールとシバドでそれぞれ落下。亀山耕平は終末技をC難度にして無難にまとめたが、2人の落下により大きく出遅れることとなった。
○第2ローテーションを終わっての暫定順位
1位:日本体育大学(92.150)、2位:順天堂大学(89.850)、3位:朝日生命(88.250)、4位:KONAMI(88.100)、5位:相好体操クラブ(87.500)、6位:徳洲会体操クラブ(86.700)
日本体育大学(あん馬)は、山室光史、内村航平、出口諒財がそれぞれほぼ完璧に演技をこなし、暫定トップの座をキープ。
KONAMI(あん馬)は、素晴らしい実施で演技を進めていた小林研也が終末技でまさかの大失敗。さらに続く上田和也もコンバインで落下。中島立貴が素晴らしい演技で15点台を獲得したが、2人の失敗が響き4位に後退。
北條陽大、北垣大二郎、田中佑典の3選手がドリッグッスを成功させた順天堂大学(跳馬)が2位に、同じく跳馬で得点を稼いだ朝日生命が3位に浮上。
相好体操クラブは、浅田憲徹、齋藤俊はうまくまとめたが、外村和才に棒下宙返り1回ひねり倒立で落下するミスが出て、5位に後退。
徳洲会体操クラブ(つり輪)は、中瀬卓也がまずまずの実施、続く寺尾尚之が着地で腰砕け状態になりかけたがなんとか踏ん張り、田中和仁選手が精確な演技実施を見せたが順位は変わらず。
○第3ローテーションを終わっての暫定順位
1位:日本体育大学(135.200)、2位:徳洲会体操クラブ(133.650)、3位:順天堂大学(133.200)、4位:朝日生命(132.550)、5位:KONAMI(130.850)、6位:相好体操クラブ(130.250)
日本体育大学(つり輪)は稲寺拓哉が無難にまとめると、続く内村航平が正確で力強い実施で新月面の着地まで止め、さらに山室光史がさらに力強い演技実から伸身月面の着地を止め15点台を連発。
徳洲会体操クラブ(跳馬)は、中瀬卓也がローチェでしりもちをついてしまったが、水鳥寿思と西峯賢二がともにドリッグスを素晴らしい実施で成功させ2位に浮上。
順天堂大学(平行棒)は、最終演技者の田中佑典が入りのホンマで肘が屈がってしまい倒立にかつぎ上げる大きなミスを犯すなど、北條陽大(棒下宙返り1回ひねりで大きくぶれる)、今井裕之(着地で大きく前に動いてしまう)にもミスが出て3位に後退。
朝日生命(平行棒)は、中野大輔がバブサー、チッペルト倒立を極限の捌きで演じ着地も見事に止め、さらに塚原直也もほぼ素晴らしい演技を見せたが、1番手吉田昌弘に着地ミスが響き4位に後退。
相好体操クラブ(鉄棒)は、古賀裕将、齋藤俊、外村和才がそれぞれ無難に演技をまとめたが6位に後退。
○第4ローテーションを終わっての暫定順位
1位:日本体育大学(184.600)、2位:徳洲会体操クラブ(179.800)、3位:KONAMI(178.600)、4位:順天堂大学(176.950)、5位:朝日生命(174.550)、6位:相好体操クラブ(173.650)
日本体育大学(跳馬)は、一番手に内村航平を起用、いつもどおりの伸身ユルチェンコ2回半ひねりで16点台に乗せる。続く佐藤巧はドラギュレスクを成功、かろうじて立った感はあったが16.800の高評価。さらに山室光史がロペスをうまくまとめ、2位との差を大きく広げて1位をキープ。
徳洲会体操クラブ(平行棒)は、桑原俊が演技価値点の高い構成を演じきり着地も止め15点台に乗せると、続く中瀬卓也、田中和仁が素晴らしい実施でそれぞれ15点台中盤の高得点を獲得。日本体育大学に差は広げられたものの2位をキープ。
KONAMI(跳馬)は、植松鉱治がドリッグスで着地を1歩にまとめ、続く中島立貴はロペス、残念ながらひねり不足でラインオーバーする実施だったが、15点台後半を獲得。さらに沖口誠が、ロペスを余裕のある捌きで着地1歩にまとめ3位に浮上。
順天堂大学(鉄棒)は、北條陽大がコバチ、コールマンを成功、着地までまとめ、続く中出康平も1カ所軸がぶれる場面があったもののうまく演技をまとめ伸身月面の着地を止めた。しかし、田中佑典がコールマン~リバルコの連続に成功はしたものの大きくぶれてしまい、さらにアドラー1回ひねり逆手倒立でもぶれてしまい得点を伸ばせず4位に後退。
朝日生命(鉄棒)も、コバチ~コールマンに成功した中野大輔が屈身コバチで落下してしまうなどミスが出てしまい、得点を伸ばせず5位に後退。
○第5ローテーションを終わっての暫定順位
1位:日本体育大学(230.650)、2位:KONAMI(223.900)、3位:徳洲会体操クラブ(223.850)、4位:順天堂大学(219.200)、5位:朝日生命(216.500)、6位:相好体操クラブ(215.950)
日本体育大学(平行棒)は、山室光史が棒下宙返り系連続を切れ味鋭く捌き着地まで止め15点台に乗せると、種目別予選トップの瀬島龍三が着地こそ動いたが予選同様素晴らしい演技、さらに内村航平も着地こそ止まらなかったもののやはり素晴らしい演技実施で得点を伸ばし2位との差を約7点に広げ独走態勢に入った。
徳洲会体操クラブ(鉄棒)は、水鳥寿思がアドラー1回ひねり~ヤマワキを成功し、着地も1歩に押さえるまずまずの出来だったが、桑原俊がアドラーひねり~コバチで落下、寺尾尚之はうまくまとめたが、わずか0.100の差で3位に後退。
KONAMI(平行棒)は、植松鉱治がホンマから入り順調に演技を進めていたがヒーリーでダブルスウィング、さらに着地で膝をつきそうになり得点を伸ばせず。
しかし、続く上田和也と小林研也が2人とも着地までピタリと止める素晴らしい演技でカバー。わずか0.100の差ながら徳洲会体操クラブを抜き2位に浮上。
4~6位の順位は変わらず。
最終ローテーション
徳洲会体操クラブ(ゆか)は、中瀬卓也が新月面宙返り、宙返り連続など順調に演技を続けていったが最後の月面宙返りの着地ではじかれ前に倒れ手で支えてしまう大過失。
水鳥寿思はミスの無い演技で最後の後方宙返り3回ひねりの着地をうまくまとめたが、西峯賢二が演技終盤の宙返り連続で転倒。KONAMIを抜くことはできず3位で競技を終了。
KONAMI(鉄棒)は、森赳人がひねり大逆手系の技で多少あわただしい部分もあったが、伸身トカチェフ~トカチェフで観客を沸かせるとさらにリューキン(伸身トカチェフ1回ひねり)を成功、着地も1歩に押さえた。続く、上田和也も演技をまとめ、最終演技者は植松鉱治、伸身コールマンこそ実施しなかったが伸身新月面の着地までピタリと止める会心の出来で16点台の高得点を獲得。日本体育大学には及ばなかったが2位をキープして競技を終了。
日本体育大学(鉄棒)
山室光史がアドラー1回ひねり~ヤマワキを成功し伸身新月面をピタリと止めた。続く瀬島龍三はコバチで落下。内村航平は、前半の屈身コバチが近づき次の車輪でかつぎ上げてしまうミスが出たが、その後はほぼ完璧に演じ伸身新月面の着地をピタリと止めて有終の美を飾った。
最終結果
1位:日本体育大学(274.100)、2位:KONAMI(269.700)、3位:徳洲会体操クラブ(267.050)、4位:相好体操クラブ(259.550)、5位:順天堂大学(259.300)、6位:朝日生命(258.200)、7位:清風高校(257.750)、8位:仙台大学(257.300)、9位:鯖江高校(256.500)、10位:早稲田大学(256.000)、11位:日本大学(252.750)、12位:筑波大学(247.200)
日本体育大学が2位以下に4点以上の大差をつけての圧勝となった。また、高校生チームが健闘し7位、9位に入ったことは賞賛に値しよう。
チームによっては多くの失敗も見られたが、6-3-3方式による選手の緊張感が伝わってくる競技会だった。
○注目された技・組み合わせなど
ゆ か:タマヨ、伸身月面宙返り~前方かかえこみ宙返り正面臥(菊池收祐:仙台大学)
    ロウウン1回ひねり(沖口誠:KONAMI)
あん馬:特に目新しい技や組み合わせは見あたらなかったが、小林亮介(清風高校)をはじめとする高校生の
    質の高い演技実施が光った。
跳 馬:ドラギュレスク(佐藤巧:日本体育大学)
    ロペス(菊池收祐:仙台大学)、非常に雄大で完成度の高い実施だった。
平行棒:バブサー、チッペルト直接倒立(中野大輔:朝日生命)
鉄 棒:モズニク(横山聖:清風高校)
   伸身コールマン(古谷嘉章:清風高校、他数名)
   リューキン(森赳人:KONAMI)