第49回NHK杯女子2日目レポート

報告者:

 6月13日、NHK杯2日目が行われ、女子は鶴見虹子(朝日生命体操クラブ)がNHK杯タイトル連覇で3度目の栄冠を手にした。また、関心の高い世界選手権、アジア大会、JAPAN CUPの代表は、個人総合によって鶴見、新竹優子(羽衣国際大学)、田中理恵(日本体育大学大学院)、山岸舞(羽衣体操クラブ)が選ばれ、種目別ポイントにより、4日間同一種目で1位を獲得した小沢茂々子(戸田市体操協会)、複数種目でポイントを獲得し、かつ1種目は1位を獲得していて合計ポイント数の高い大島杏子(朝日生命)が選ばれた。
 鶴見は、手首の再手術や肩痛の影響で、演技構成を高めることはできなかったが、その分、全種目に余裕が感じられ、実施減点の少なさという彼女本来の持ち味を十分に発揮した大会となった。本人も常に感じ取っているように、世界でメダルを獲得し続けるため、Dスコア(演技構成点)を上げていかなければならない。特に日本に限らず、世界中の若手は、すでに10点満点廃止のルールを早期から意識して育てられており、年齢制限の解けた選手が毎年のようにフレッシュなエネルギーを持って世界に出てくる。しかし、過酷なルールゆえ、改めて彼女本来の持ち味を失うことなく演技を続けてほしい。
 新竹は、春先の膝の故障を順調に回復させていることを思わせる大会だった。けがは練習のできない時間を作りだすため、どうしても競技力を向上させるためマイナスに作用する。今大会においても、絶対的な安定感を保っていた平均台で初日はミスを出した。最終日はその反省を生かし、いい演技を披露した。また、跳馬では1本目をユルチェンコ1回ひねりとしたが、2本目にはユルチェンコ1回半ひねりを成功させた。これら一つ一つの積み重ねが日本チームにおける彼女の存在感を増していく。
 田中は初代表となるが、全日本を含めて安定感ある実施でさらなる成長を示した。山岸は全日本14位からの大躍進。全日本での悔し涙が今回うれし涙にかわる2007年大会以来の再選出。小沢は全日本で膝を骨折しての出場だったが、全日本・NHK杯を通じて4日間跳馬で1位を獲得し、山岸同様、2007年大会以来の日本代表返り咲き。大島は、昨日の不調を払しょくする素晴らしい演技で7度目の代表入りを果たした。
 手の届くところにあり代表を逃した選手として佐藤亜希穂(朝日生命体操クラブ)、竹内世梨奈(日本体育大学)、椋本啓子(大阪体育大学)の演技も印象に残った。佐藤は22か月合宿のメンバーに入り成長。結果的にはNHK杯最終日での平均台での落下が影響したが、ゆかの演技の振り付けなど、初めての代表争いを経験し、今後の成長が期待される。竹内は、最初の段違い平行棒において伸身月面をまとめるなど幸先のいいスタートとなったが、やはり平均台での落下が響いた。椋本は最初の段違い平行棒での失敗、ゆかでのミスが響き追い上げならなかった。
 チームとしては世界大会を経験している選手の集まりとなり、まずは2011年の地元東京での世界選手権につながる演技を期待したい。