第63回全日本体操競技団体・種目別選手権大会 男子種目別予選レポート

報告者:

ゆ か
 1組目に登場した内村航選手(日本体育大学3年)は、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねりで入り、3節目に前方かかえこみ宙返り1回ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり転(バンローン)を取り入れた新しい演技構成を披露したが、終末の後方伸身宙返り3回ひねりを含めいくつかの着地が動き、得点は15.800。
 沖口誠選手(KONAMI)は2組目に登場、側方開脚2回宙返り3/4ひねり(ロウユン)~前方かかえこみ宙返り転を雄大にきめたが、2節目・4節目のひねり技連続、終末の後方かかえこみ2回宙返り1回ひねりの着地が乱れ、15.600。内村選手に及ばず暫定2位。
 3組目に登場した高校生の菊池収祐選手(関西高校3年生・きくちしゅうすけ)は、F難度技の後ろとびひねり前方伸身2回宙返り(タマヨ)、さらに後方伸身2回宙ねり~前方かかえこみ宙返り正面臥を雄大にきめ、途中のひねり技もうまくまとめ、終末技は後方伸身2回宙返返り。見事に着地を止め、内村選手を上回る16.000を獲得、見事トップ通過を果たした。第57回大会(2003)鉄棒優勝の星陽輔選手以来の高校生チャンピオン誕生なるか、ぜひご注目いただきたい。
あん馬
 加点対象となる6.30以上の演技構成が10演技見られた。日本の苦手種目とされるこの種目でハイレベルの決勝進出争いが行われた。
実際、落下・停止等も多く見られたが、最初の演技者小西康仁選手(順友クラブ)が、逆交差倒立で入り、フロップ、コンバイン、ウーグォニアンなどをそつなくまとめ、15.200を獲得。
 2組目登場の関東学生新人戦この種目優勝の中出康平選手(順天堂大学1年生)が逆交差倒立、メリーゴーランド、Eフロップ、Dコンバインを入れた演技構成をうまくまとめ15.250。小西選手を上回り暫定トップに立つ。
 4組目登場の後藤大輔選手(順友クラブ)がメリーゴーランドを入れ、終末技直前でEフロップを入れる演技構成で15.350を獲得。中出選手を上回り暫定トップに。
 順位がめまぐるしく変動する中、最終5組に登場の田窪啓太選手(筑波大学4年生)がマジャンール、Eコンバイン、Eフロップ、ウーグォニアン、シバドを取り入れた演技構成を雄大な旋回でやり遂げ15.550を獲得し、トップ通過を果たした。さらに最終演技者の高橋弘太郎選手も15.200を獲得。
 田窪選手を筆頭に5選手が15点台での決勝進出を果たした。決勝進出した選手には、日本のあん馬もまんざらでないことをアピールしてほしい。
つり輪
 1組目を終わって古賀裕将選手(日本大学4年生)が14.750を獲得し、暫定トップ。2組目に登場した高校生澤田和哉選手(大宮東高校3年生)が健闘し、Dスコアは低いもののEスコアトップの9.100を獲得し14.700で暫定2位につける。
 3組目で登場の内村航平選手(日本体育大学3年生)が後ろ振り上がり中水平、アザリアン、後ろ振り上がり十時倒立、屈身ヤマワキなどを取り入れた演技構成で終末の後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りは少し動いたものの15.050を獲得。暫定トップに立つ。
 しかし、3組目一番手の小林研也選手(KONAMI)が力強い演技で15.200を獲得。内村選手を上回り、暫定トップに立つ。
 さらに、4組目一番手の山室光史選手(日本体育大学3年生)が、後ろ振り上がり上水平、アザリアン~引き上げ十字倒立などを取り入れた、ただ一人内規加点を達成した演技構成を力強い実施でこなし15.550を獲得。指の開放脱臼というアクシデントを乗り越え堂々のトップ通過。
跳 馬
 ゆかトップ通過の菊池収祐選手(関西高校3年生)が1組に登場。1本目ロペスで惜しくも着地ミス。決勝進出に黄色信号が灯ったが7位でかろうじて決勝進出。
 同じく1組に登場の関口栄一選手(KONAMI)、1本目はヨーⅡの着地を止め16.850の高得点を獲得。2本目はドリッグス、着地で動き15.850。平均16.350で暫定トップに立つ。
 2組目登場の小林研也選手も1本目ヨーⅡ、2本目ドリッグス。いずれも着地でわずかに動き、16.650、15.750で平均16.200。関口選手にはとどかず暫定2位。3組目に、昨年のこの種目チャンピオンの田頭剛選手が登場。1本目ロペス、2本目ヨーⅡと高度な跳び方を2本そろえ、いずれも着地で動きライン減点があったものの16.450、16.500、平均16.475を獲得しトップ通過。22日に2連覇に挑む。
平行棒
 2組目で登場の馬場亮輔選手(KONAMI)が棒下宙返り系の連続など非常によい実施で15.750をを獲得。暫定トップに立つ。
 次の演技者田中和仁選手(徳洲会体操クラブ)は、棒下宙返り1回ひねり倒立を含む棒下系連続、屈身ベーレなど丁寧にこなしていったが着地が止まらず15.700、馬場選手に及ばず暫定2位。
 3組目に内村航平選手(日本体育大学3年生)が登場、棒下宙返り系連続からドミトリエンコ(アームモリスエ)、チッペルトなどを取り入れた演技構成でEスコアも9点台に乗せる素晴らしい演技実施で16.050を獲得。
 4組目に登場した小林選手が棒下宙返り系連続からドミトリエンコ(アームモリスエ)、屈身モリスエ、屈身ベーレを織り込んだ演技構成で、実施もまずまずで15.850を獲得。内村選手にはわずかに及ばず、2位通過。内村選手がトップ通過。
鉄 棒
 1組目の最終演技者として水鳥寿思選手(徳洲会体操クラブ)が登場、アドラー1回ひねり~伸身コスミック、伸身コールマン、コールマン、コバチ、リバルコと大技を無難に捌き、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地は動いたが16.000を獲得。
 2組目に植松鉱治選手(KONAMI)が登場、アドラーひねり~コバチ、リバルコ、アドラー1回ひねり~伸身コスミック、屈身コバチ、コールマンなどを取り入れた高度な演技構成で後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地で動いたが、高Dスコアにものを言わせ16.250を獲得。
 4組目には内村航平選手(日本体育大学3年生)が登場、屈身コバチ、シュタルダー1回半ひねり片大逆手、今回新たに取り入れたアドラー1回ひねり~伸身コスミック、コバチとほぼ完璧にきめ、コールマンで若干の姿勢欠点があったものの、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地も見事にきめ、Eスコアではこの種目最高の9.250を獲得。15.950で3位で決勝進出。Dスコア7.20(内規適用7.50)を達成した植松選手がトップ通過を果たした。
 各種目、落下等のミスがあったにもかかわらず決勝進出を果たした選手もいる。22日の決勝では持ち点無しの一発勝負で、各種目のチャンピオンが決定する。