全日本2日目レポート

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 2009年1月1日からオリンピック・ロンドン大会に向けてスタートした新しいルールによる全日本選手権が終了。個人総合日本一を決めるだけでなく、各種日本代表選考会も兼ねていたことから一部、表彰式で順位を間違えて公表するなど混乱もあったが、選手たちの演技は非常に熱のこもった戦いとなった。
 さて、レポートに入る前に、ここで改めて全日本分離開催の理由を簡単に述べると、ルール改正に伴う「選手の保護」「日本の戦略」という視点にほぼ集約される。「選手の保護」とは青天井となったルールは想像以上に選手へ負荷をかけていて3日連続の競技は避ける必要があること、そして「日本の戦略」とは、6-3-3制(ロンドンでは5-3-3制に)の団体決勝競技方式を国内でも経験させたいということである。ようするに上記2つを達成するために分離したということである。その他もろもろ理由はあるが、ここらで大会レポートに。
 男女とも優勝候補は前回優勝の内村航平選手(日本体育大学)、鶴見虹子選手(朝日生命体操クラブ)だったが、それぞれ平行棒、段違い平行棒で過失を犯し、ある意味、試合展開としてはワクワクさせるものとなった。
 内村選手は、初日にも平行棒でミスを出しており、この日も逆上がりひねりで倒立から大きく外れ、チッペルトでも停滞。平行棒に課題を残したが、最後の鉄棒ではそのミスのイメージを引きずることなく最高の演技で締めくくり連覇を決めた。新ルール、シーズン初めの大会、冨田洋之選手引退を受けて、次代のエースとしての注目など、彼にとってまた新しい経験の待つ2009年。その経験が彼の素晴らしい成長につながることを期待している。
 5種目めで首位に立った田中和仁選手(徳洲会体操クラブ)は難しい技を姿勢欠点なく丁寧に実施する演技が特徴。最後に逆転を許したが、日本チームとして頼れる存在へと着実に成長している。2007年、内村、坂本両選手という北京五輪銀メダリストと共にユニバーシアード団体金メダルを獲得したメンバー。国際大会チーム優勝の味を知る選手として、飛躍の期待できる年になりそうだ。
 初日2位につけていた関口栄一選手(KONAMI)は、鉄棒のシュタルダー1回半ひねりで落下など2日目はミスが目立ち個人総合8位となったが、オリンピック・アテネ大会金メダリストの水鳥寿思選手(徳洲会体操クラブ)が個人総合3位に入るなど、引退した冨田・鹿島の同じ歳のベテランが健在ぶりをアピールした。
一方、女子は、鶴見選手が跳馬の2本目で「ユルチェンコとび2回ひねり」の着地でミス。段違い平行棒でも後方車輪ひねり大逆手で回転不足になり触れもどる過失を出したが、平均台、ゆかで持ち直し、4連覇を達成した。
 個人総合2位は田中理恵選手(日本体育大学)。男子2位の田中選手とは兄妹。これまでミスが多く、実力と結果が結びついていなかったが、大学生となり安定性が身についてきた。
 オリンピック・北京大会団体5位に貢献した新竹優子選手(羽衣学園高校)は、平均台で時折ふらつく場面があるなど、持ち前の安定感を表現できなかったが、個人総合3位、そして2日間合計の個人総合も田中選手と同点の2位につけた。
 各結果は下記の通り。
■全日本個人総合順位(2日目のみの合計得点)
男子
1位 内村 航平(日本体育大学)
2位 田中 和仁(徳洲会体操クラブ)
3位 水鳥 寿思(徳洲会体操クラブ)
4位 坂本 功貴(セントラルスポーツ)
4位 山室 光史(日本体育大学)
6位 渡辺 恭一(順天堂大学)
女子
1位 鶴見 虹子(朝日生命体操クラブ)
2位 田中 理恵(日本体育大学)
3位 新竹 優子(羽衣学園高等学校)
4位 美濃部ゆう(朝日生命体操クラブ)
5位 谷口 佳乃(戸田市スポーツセンター)
5位 大島 杏子(朝日生命体操クラブ)
■世界選手権・NHK杯個人総合順位(2日間の合計得点)
男子
1位 内村 航平(日本体育大学)
2位 田中 和仁(徳洲会体操クラブ)
3位 山室 光史(日本体育大学)
4位 関口 栄一(KONAMI)
5位 坂本 功貴(セントラルスポーツ)
6位 水鳥 寿思(徳洲会体操クラブ)
女子
1位 鶴見 虹子(朝日生命体操クラブ)
2位 田中 理恵(日本体育大学)
3位 新竹 優子(羽衣学園高等学校)
4位 上村 美揮(朝日生命体操クラブ)
5位 大島 杏子(朝日生命体操クラブ)
6位 美濃部ゆう(朝日生命体操クラブ)
【日本代表】
■男子JAPAN CUP
内村 航平(日本体育大学)
田中 和仁(徳洲会体操クラブ)
山室 光史(日本体育大学)
関口 栄一(KONAMI)
坂本 功貴(セントラルスポーツ)
■男子ユニバーシアード
中瀬 卓也(徳洲会体操クラブ)
渡辺 恭一(順天堂大学)
沖口  誠(KONAMI)
星  陽輔(セントラルスポーツ)
新島 卓矢(セントラルスポーツ)
■女子ユニバーシアード
田中 理恵(日本体育大学)
椋本 啓子(大阪体育大学大学院)
竹内世梨奈(日本体育大学)
古川 晶子(順天堂大学)
岡部紗季子(明治大学)
※世界選手権男女、JAPAN CUP女子日本代表は6月6~7日、同じ代々木第一体育館で開催されるNHK杯で決まる。