ドイツ国際ジュニアチームカップ レポート

報告者:

期間:平成21年2月25日~3月2日(競技は2月28日)
場所:ベルリン(ドイツ)
■日本選手団
監督:松本忠親
コーチ:三宅裕二、福本浩二、梅本英貴
選手:横山聖、長谷川智将、星島裕樹、近藤宏紀
■大会参加国
14カ国(BEL / SUI / LTU / FRA / NEL / GER / GBR / ESP / ITA / AUT / NED / SLK / ISR ) 19チーム
参加人数81名
【91-92生まれ】34名【93-94生まれ】27名【95生まれ以下】21名
■大会レポート
 日本選手団の派遣も今回で4回目を迎え、過去3大会においてチーム優勝を果たしており、4連覇を目指しての大会参加となった。現地の気候は、日本とさほど変わりなく、コーチ陣を安心させた。現地のホテルに到着したのは、2/25(水)の午後10時近くで、NTCを出発してから20時間を超えており、軽めの夕食・ミーティングを行い早々に就寝した。
□2月26日 サブ会場練習(Sport Club Berlin)
 朝30分ほどのザリ(柔軟・体幹トレーニング)をホテルにて済ませ、徒歩(10分ほど)で練習会場入りをした。9:30~昼食をはさみ16:00まで2部練習を行った。各自ドイツの器具(Banfer)慣れ及び、通し練習を行い、調整にベストを尽くしたが、やはり、床フロアーの硬さにタンブリングが合わず、各選手苦労した。そんな中、カテゴリー2(93-94生まれ)に参加予定の長谷川選手が、20時間を超える移動により、腰椎分離を悪化させ、思うように練習ができず、軽めの調整となった。
□2月27日 サブ会場練習
 午前は10:00~サブ会場での調整練習を行い、15:00~の本会場練習に備えた。午後からの本会場練習では、参加者全員が1度に練習を行うことが予想されたため、早目に混み合う平行棒とあん馬の練習を済ませ、順調に器具練習を行うことができた。やはり、ここでも床の硬さに、タンブリングが合わず、各選手苦労させられた。
 腰痛により調整が遅れていた長谷川選手が、あん馬の練習で良い動きを見せたが、演技を通すまでに至らず、長谷川選手との話し合いの結果、試合欠場を決めた。
□2月28日 大会当日
 大会当日は、前日までの過密スケジュールによる疲労を抜くために午前練習を取りやめ、少し長めのザリで体を目覚めさせることだけに留めた。
 本会場練習では、3人演技3人の得点で戦うこともあり、選手たちに若干の緊張も見受けられたが、良い調整練習ができた。
第1ローテーション(つり輪)
第1演技者の近藤選手は、サルトの着地で大きく1歩踏み出すが、力技、振動倒立ともに良い、まずまずの出だしを切った。続く星島選手も、サルトの着地を小さく1歩にとどめ近藤選手に続いた。最終演技者の横山選手は、前半は、素晴らしい演技をしていたが、ヤマワキ連続からのホンマ支持で肘がぬけて、停滞する場面もあった。しかし、最後の下り技ルドルフを着地1歩に抑え会場を沸かせた。選手たちはいい雰囲気で跳馬に移動。
第2ローテーション(跳馬)
 第1演技者の近藤選手は、屈身ツカハラをいい跳躍で着地を決め、続く星島選手は、伸身カサマツで素晴らしい跳躍披露、小さく着地1歩にまとめた。横山選手も着地をしっかり確認できるほどの伸身カサマツを決め、チームが勢いづいた。
第3ローテーション(平行棒)
 第1演技者の近藤選手は、支持系のツイストにおいて多少のブレはあったが、しっかりと粘り着地までまとめた。続く星島選手は、素晴らしい演技で静と動がしっかりとした演技を実施した。横山選手は、演技全体のリズムが本来の出来とは少し違ったが、着地までしっかり粘りを見せた。緊張感のある平行棒を大過失なしで乗り切り、チームのムードが一気に盛り上がった。
第4ローテーション(鉄棒)
 第1演技者の近藤選手は、ここまでノーミスで来ており、その勢いに乗って、着地までパーフェクトの演技。続く星島選手は、内容としては非常に良い演技であったが、終末技のルドルフで、果敢に攻めたが、手をついてしまった。横山選手は、伸身トカチェフ・トカチェフと2回の手放し技に挑戦し、2回とも非常に雄大な実施であったが、エンドーで戻る失敗をした。鉄棒でのミスが続いたので今一度、床に入る前に気を引き締めなおして挑んだ。
第5ローテーション(ゆか)
 第1演技者の近藤選手は、前日の練習まで床の硬さに苦しんでいたが、本番はしっかりと蹴りも入り非常に良い演技であった。続く星島選手は、本来の演技構成を変更して臨み、それが功を奏し、素晴らしい演技だった。横山選手は、果敢に6節の演技構成で臨み、途中の十字倒立で静止時間が短かかったが、着地を順調に止める演技ができていた。しかし、タイムが気になり、最終節の2回半ひねりを行き急ぎ、尻もちをつく大過失を犯した。
第6ローテーション(あん馬) 
 この種目は直前合宿でもミスが続いており、不安があったが、チームとしてはここまでいい雰囲気できており、その勢いで臨んだ。第1演技者の近藤選手は、勢いのある演技を続けてきたが、終末技出足が乗っかる大過失を出してしまった。コーチ(松本)もまだしっかり新ルールを把握しておらず、終末技をやり直したが、得点に反映されることはなかった。続く星島選手は、サークルに勢いもあり途中まで良い出来だったが、縦向き2/3移動で足を当ててしまい落下、あとは無難にまとめた。最終演技者の横山選手は、前の2人がミスしている中、しっかりした演技で最終種目を締め括ってくれた。
【総括】
 今大会、ポイントゲッターの長谷川選手が腰痛のため棄権となり、かなり厳しい戦いになることが予想されたが、3人でもチーム戦を戦い抜くという気持ちで、選手、コーチ陣が一丸となり、終始いい雰囲気で試合を運ぶことができた。会場練習において、良い動きを見せていたスペイン、スイスといったヨーロッパ諸国は、部分的には良いのだが、続行力不足のため、自滅する形となり、結果、日本チームが4連覇を達成し、個人総合も各カテゴリー日本人3選手が優勝するという素晴らしい結果を収めることができた。新ルールとなり初めての大会を優勝で飾ることができ喜びも大きかった。これからも、今回参加した選手たちが日本の美しい体操を追求し、将来の日本代表選手として成長してくれることを願う。最後になるが、このような機会を提供していただいた日本体操協会並びに、関係者の皆様に心から感謝したい。