平成20年度男子ジュニア強化海外合宿(イギリス)報告
<期日>2009年1月21日~2月2日
<場所>イギリス・ナショナルトレーニングセンター(リリショウ)
<選手団:監督・コーチ>吉田和史、藤原佳市、山崎隆之、田野辺満、三宅裕二、滑川利美、福本浩二、古市正樹
<選手団:選手>青山政高、藤川和馬、今井裕之、城間東昇、福尾誠、佐藤宏太、石川大貴、横山聖、谷田部梢平、市瀬達貴、岡準平、長谷川智将
<目的>
ここ数年、目を見張る進歩をとげ、その成果も顕著である英国のナショナルトレーニングセンターにおいて、ロンドンオリンピックに向けて強化中のイギリスジュニアナショナル及びシニアナショナル選手との合同練習により、イギリスのロンドンオリンピックへ向けての取り組みを研究し、日本の世界選手権東京大会、さらには、2012年以降のオリンピックに向けての強化の参考とする。さらに、日本ジュニアのトップとして、いかに世界と戦うかを熟考し、練習の動機付けとする。また、基本技術を改めて、徹底して反復練習することで、これまで以上に基本技術の重要性を認識し、Eスコアの向上につなげる努力を選手・コーチともに自覚すること。
<総括>
今回の合宿では、イギリスのシニア・ジュニア・エリートと3グループの選手たちと一緒に練習することができた。選手たちのレベルは、それぞれ日本と比較してやや劣るようには思えたが、3グループ互いに、つながりを持って継続的に強化練習会が行われていることは、すばらしかった。
特にシニア・ジュニアの選手たちは、合同でおよそ月に1回合宿をナショナルスポーツセンターで行っており、その都度ナショナルコーチから一貫した指導を受けるとともに、次回までの課題を与えられ各所属に帰って行くと言う、理想的なシステムの中で選手強化が行われているのが窺えた。
さらに、ナショナルコーチ3名の研究熱心さには、目を見張るものがあった。自分たちの練習時間はもとよりそれ以外の時間帯にも日本選手の練習1回1回に注目し、ビデオを撮りながら熱心に観察していた。そして、取り入れるべき技術に関しては、すぐに取り入れ、選手指導に生かしていた。(特に鉄棒は、我々が居る間に明らかに上達していくのが見られた。)
また、シニアの選手に対しても基本技術の徹底練習・体幹のトレーニングをナショナルコーチから一斉にかつ強制的に行わせており、ウォーミングアップから一貫してナショナルコーチが、選手を管理し指導していく姿が窺えた。その成果の一つとして、ゆかのタンブリングに関しては、非常にレベルが高く、タントラにおいて前方伸身宙返り3回連続から前方伸身2回宙返りをほぼすべての選手が実施していた。さらにタンブリング板では、一人の選手が、後方かかえ込み3回宙返りをピットではなくエバーマット上に着地していた。
このようなイギリスの強化システムが、昨年のヨーロッパ選手権ジュニアの団体・個人総合優勝につながったことはあきらかである。今後は、その選手たちがこれから先4年間強化され、ロンドンオリンピックに向かっていくものと思われる。(すでに昨年のジュニア団体メンバーは、シニアとして強化がスタートしていた。)
上記のような状況を鑑みて、我々日本も組織変更が行われる来春4月から、新たな気持ちでロンドンオリンピックさらには、その先に続くオリンピックを目指し、ジュニアからシニアへの一貫したシステムや各所属に任せた強化ではなく、国を挙げての強化体制の一本化をナショナルコーチ指導のもとに進めていければと考えるのは、私だけではないだろう。
日本選手団の練習は、今回非常によく、各自がそれぞれ何がしかの成果を掴むとともに、選手だけでなくコーチ陣も世界に向けての広い視野で目標設定ができるようになったことは大変喜ばしいことである。
最後にこのような機会を与えていただいた、日本体操協会に対して選手・コーチを代表して感謝の意を表すとともに、来年以降も今回のような充実した合宿をもてるよう、国内でのジュニア強化から、選手一人ひとりに日本代表としての誇りを持って、意識の高い選手を目指すよう導いていければと祈りながら報告を終わります。