2009香港国際報告
■競技日程 1月17日(土)~18日(日)
■場所 中国・香港
■選手団
【コーチ】坂本周次、三宅沙希、正木つや子
【審判】野田みき子、後藤こずえ
【選手】柴田莉歩(中2・アクバススポーツクラブ)、寺本明日香(中1・レジックスポーツ)、古西里咲(中2・OSTC大泉スワロー体育クラブ)、杉村美奈(中2・レジックスポーツ)
≪事前合宿 1月8~14日、NTC≫
1月8日より11日までNTC(ナショナルトレーニングセンター)においてジュニアナショナル強化合宿が行われ、香港国際に参加するコーチと選手は、全員参加。10日には、今回の帯同審判である野田みき子、後藤こずえ両審判を迎え、試技会を行った。今回の選手を把握する意味において大変意義ある試技会となった。みんなそれぞれにすばらしい才能を持った選手ばかりで今回の大会のみならず、今後の活躍も楽しみな選手である事が伺えた。
なお、強化合宿終了後、12日より14日までは、所属に戻らず、NTCに留まり、事前合宿をすることにした。
≪2009香港国際体操競技招待競技会遠征 1月15~20日≫
<1月15日 出発日>
NTCを午前6時に出発。成田空港で野田みき子・後藤こずえ両審判と合流して日本選手団は、日本を後にした。香港時間14:30(時差-1時間)香港国際空港到着、バス移動40分、宿泊先のホテルに到着した。最低気温10度、日中の最高気温15度、日本の春の気候だ。高層ビルが立ち並び一軒家は、ほとんど無い。人口350万人(10年前イギリスより中国に返還された時は、10万人足らず)。車の行列は、東京のようだ。ほとんどが日本車。バスはほとんどが、2階建てで街ゆく人も多かった。この日は練習がなく、近くの公園に出かけ一時間ほどの体操をした。みんな打ち解け仲良くなっていた。
<1月16日 練習会場での練習>
女子の練習は、午前中に行われた。バスで40分ほど移動、練習会場に着く。公園内の建物の中にある体操専用体操場だった。9:50より30分のローテ練習。器具は、アメリカのAAI。日本は、平均台から入る。開催側からの報告で、中国上海チームは、3人だが、一人は、11歳で年齢が足らない(大会は、13歳以上)が了解して下さいとの事だった。会場内には、段差が2メートルもあり、一階部分にゆかフロアと平均台2台、段違い平行棒がある。二階部分に跳馬、段違い平行棒、平均台があり、これらは、ピットが使えるような構造になっていた。日本選手は、いい状態で調整できていた。ゆかで寺本明日香選手のアップが遅かった。オーダーを変更しラストで通す。ラストの3回ひねりをした後、呼吸が苦しいと訴えた。緊張から来るものだった。少し休ませる。他の種目は、問題無かった。中国チームの2人は強かったが日本チームの方がチーム力は上。個人、種目別においてもメダルの可能性がある事が伺えた。19:30より、各国リーダー会議。20:30より審判会議が開かれた。22:00スタートリスト提出。
<1月17日 団体・個人総合決勝、種目別予選>
午前中にトレーニングに出かけ、12時にバスがホテルのある沙田(Shatin)を出発した。体育館のある九龍(Kowloon)に向かう道中、途中2車線の道に1台の車が故障で停車していたため大渋滞。ようやくそこを通り抜けたと思ったら、今度は、私たちの乗っていたバスに一台の車が突っ込んできた。「事故だ!」。一時騒然となったが乗客、選手団に怪我は、なかった。
時間がなくなり到着後すぐにUP開始、20分ローテ練習、開会式、試合開始と慌ただしかった。器具はJanssen.Fritsen。NTCで練習した器具と同じだった。日本チームは、香港チームと跳馬から開始。跳馬は、香港チームが先に演技し、日本チームは、その後に演技した。
1番古西選手、塚原伸身1回ひねりと前転とびかかえ込み前宙。2番寺本選手、ユルチェンコ2回ひねり。3番杉村選手、ユルチェンコ2回ひねり。4番柴田選手、かかえ込み塚原1回ひねり。日本チームはミス無く滑り出し好調。
2種目目段違い平行棒。1番杉村選手イエーガー宙返り、棒下2分の1ひねり倒立、前方2回宙返り下りの3Dの演技で、13.600。2番寺本選手、閉脚フット倒立、シュタルダー1回ひねり、イエーガー、棒下2分の1ひねり倒立、前方2回宙返り下り5Dの内容で、14.250。3番柴田選手、イエーガーで近づきすぎバーに腕を強打。演技は続行したが、13.700という得点に留まった。4番古西選手、演技よく、13.550。
3種目目、平均台。1番杉村選手13.800、2番寺本選手Aスコア6.3、Bスコア8.650、決定点14.950といい出来で、3番柴田選手、しんぴ倒立~伸身前宙~後転とび後方伸身開脚宙返り~羊とび~1回半ターン~側宙~前方かかえ込み宙返り~開脚とび~ウルフとびまですばらしい出来だったが、次のロンダートー後方伸身宙返りでまさかの落下。下りの後方かかえ込み2回宙返りは、高さのある実施で非常に良かったが残念だった。4番古西選手、入り前方かかえ込み宙返りよし。次の台上の前方かかえ込み宙返りを実施した時落下があった。その後はよく頑張り下りの前方伸身2回ひねりまで良くまとめた。そして最終種目のゆかに行こうとした時、いきなり「20分の休憩」という案内がありびっくり。実は、跳馬が一つしかセットされておらず男子の跳馬が終わらないと女子の最終種目に入れないという事だった。時計を見ると19:00になろうとしていた。13:30よりアップ。16:00より試合開始。動き始めてからすでに5時間半が経過していた。私は、立ち続けていた為、足が痛くなっていた。日本チームは、ここまでに中国上海・香港・台北チームにかなりリードをしていると思われた。
最終種目はゆか。日本が先に演技する、1番杉村選手、途中ラインオーバーがあったがまずまずの出来でスタート。2番柴田選手、すばらしく美しい表現力を発揮し、14.150をマーク。3番古西選手。最初のムーンサルトでラインオーバーがあったがラストの3回ひねりまでよくまとめ14.150とつなぎ、4番寺本選手。屈身ムーンサルト、後方2回半からの前宙、ラスト3回ひねりも決まり、14.000と日本チームは、すばらしい活躍ですべての演技を終了した。
この日は、表彰式等なく流れ解散のような終わり方で宿舎に戻った。正木、三宅両コーチと深夜まで速報を待った。通訳のフォーレンスさんが、深夜12時近くになって吉報を届けてくれた。結果日本は、団体優勝。個人総合では優勝寺本選手、準優勝杉村選手、3位柴田選手、4位古西選手!なんと日本4選手が上位独占。コーチ達と大喜びをした。ただし表彰は、一カ国2名のルールで3位は、中国の黄如君選手となる。種目別出場者は、跳馬、古西、杉村、段違い平行棒、寺本、柴田、平均台、柴田、寺本、ゆか、古西、柴田と決定した。全員にメダルの可能性があった。
<1月18日 種目別決勝>
朝昼兼用で10:30食事、12:00バス出発。快晴、空は、雲ひとつなく澄み渡っていた。気温も上昇し、日差しも強かった。日曜という事もあり道は、空いていた。13:00よりUP開始。練習は60分間。男子との兼ね合いで、女子は、最初の30分がゆか、後の30分が跳馬と指定されていた。段違い平行棒と平均台は、時間内フリーだった。
練習終了後①男子ゆかが選手召集、審判員入場の後、試合が始まった。
次に②男子あん馬と女子跳馬。跳馬日本は、試技順1番杉村選手4番古西選手。1番の杉村選手は、同じ跳躍を2回跳ぶ。ユルチェンコ2回ひねりAスコア5.8。2回ともよく決定点12.437(同じ跳躍の場合2点減点)。4番古西選手、1本目、塚原伸身1回ひねり、2本目前転とびかかえ込み前宙、決定点13.950。2本ともいい実施だった。試合は、前半の4人がUP-試技、後半の4人がUP-試技となる。後半の選手の試技が始まった。最後に演技した香港のWONG Hiu-ying,Angel選手は、古西選手と優勝争いとなった。WONG選手は、塚原伸身1回ひねりと前転とび屈身1/2を跳んだ。古西選手より1ランク上の跳び方だった。実施もよくWONG選手が金メダル獲得。古西選手は、2位銀メダルとなった。
③男子つり輪と女子段違い平行棒、日本からは、試技順1番寺本選手、2番柴田選手が出場する。1番寺本選手ほぼ力を出し切ったいい演技で14.450。2番柴田選手前半イエーガー、パク宙返りまで良かったが、低バーのけあがりで上がり切らずダブルスイングをしてしまい、下りの着地でも大きく下がってしまった。13.950。3番目に演技した中国のHUANG Ru-jun選手の演技はAスコア6.4と高く期待されたが、途中落下があり14.225に留まった。結果、寺本選手の金メダル獲得が決定した。柴田選手3位銅メダル。
④男子跳馬、女子平均台。日本からは、試技順6番寺本選手、7番柴田選手だった。二人とも後半の演技となる、前半3番目に演技した中国のSUN Dong Wei選手の演技が美しくすばらしかった。15.325。後半6番寺本選手、ロンダートからの後方伸身開脚宙返りで台にのりすぐのオメリアンチクで大きくふらつき、途中キープターンでもふらつきがあった。14.900。7番柴田選手。香港に来てから、彼女らしさが出せず苦しんでいたが、それを吹き飛ばすようなすばらしい演技で15.125。2位銀メダル獲得。寺本選手は、3位銅メダルとなった。
⑤男子平行棒、女子ゆか。日本のゆか出場者は、前半4番の柴田選手と後半8番の古西選手だった。二人は、予選1位2位の成績でワンツーフィニッシュが期待できた。4番柴田選手、後方屈身2回宙返り、2回半ひねり~前方伸身宙返り、後方2回ひねり、ラスト後方2回半ひねりと美しい演技で14.325の高得点をマーク。そして後半8番本大会女子の最終演技となる古西選手の演技が始まった。軽快な音楽に乗ってムーンサルト、後方2回半ひねりからの前宙も決まる、リズムに乗っている感じだった、そしてラストは、3回ひねり。しっかり決めてポーズも決まった。得点を待つ。得点板が回転し、15.525! 金メダル決定! そして柴田選手が2位銀メダルとなった。その後、男子の鉄棒、そして表彰式が行われ大会が終了した。
本大会で日本女子は金メダル4、銀メダル4、銅メダル2を獲得した。本大会を振り返りジュニアナショナル合宿、事前合宿、香港国際と非常に長い日程の中で選手は、弱音を出さずよく練習し、最後までよく頑張れたと思います。これは、コーチ、審判、選手が一丸となって取り組んだ成果だと確信致します。このような機会を与えて下さった日本体操協会の皆様に深く感謝いたします。