第41回全日本社会人体操競技選手権大会レポート

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◎男子1部
1班終了時点で団体は相好体操クラブが427.800で、個人では水鳥豪敏選手(徳洲会体操クラブ)が88.850で暫定トップ。
2班は優勝を争うと見られる徳洲会体操クラブ(以下徳洲会)とKONAMIが、それぞれゆかとつり輪からのスタートで競技が始まった。
1種目目
徳洲会は西村隼選手が3連続宙返りで0.50のライン減点となったが他に大きなミスを出すことなく、中瀬卓也選手の15.550を筆頭にチーム得点は74.750。上々のスタートとなった。
KONAMIも大きなミスなく小林研也選手の15.450を筆頭に74.450。
徳洲会が0.300リード。
2種目目
徳洲会はあん馬、中瀬卓也選手が落下、水鳥寿思選手が終末技で中欠点程度のミスを出しC難度になってしまったが、西村隼選手、田中和仁選手が素晴らしい実施でカバーし72.050。
KONAMIは跳馬、関口栄一選手がヨーホンチュル2(Aスコア=7.0)で大きなミスを犯したものの、他の選手が素晴らしい実施でカバー、小林研也選手の16.200(ヨーホンチュル2)を筆頭に実に4選手が16点台をたたき出し79.650。
KONAMIが逆転し7.300リード。
3種目目
徳洲会はつり輪、最も低い得点でも14点台中盤、中瀬卓也選手の15.750を筆頭に15点台を3つそろえ76.200の高得点を獲得。水鳥寿思選手は終末技に後方伸身2回宙返り2回ひねりおりを成功させ、15.450。
KONAMIは平行棒、馬場亮輔選手にミスが出たものの、森赳人選手の15.650を筆頭に3選手が15点台を獲得。75.450。
少し差がつまり、KONAMIが6.650リード。
4種目目
徳洲会は跳馬、桑原俊、仲里隆太の2選手が得点を伸ばせなかったが、西村隼(ドリッグス)、中瀬卓也(伸身ユルチェンコ2回半ひねり)、水鳥寿思(ドリッグス)の3選手が16点台をマーク、特に水鳥選手は着地を止め16.250の高得点を獲得。79.300。
KONAMIは鉄棒、関口栄一、森赳人の2選手が15点台を出したものの、鈴木良太、上田和也、馬場亮輔の3選手にミスが出て73.150。
一気に差がつまりKONAMIのリードが0.500に。
5種目目
徳洲会は平行棒、水鳥寿思選手が屈身ベーレで詰まり、直後の前振り上がりでダブルスイングする大きなミスを出してしまったが、田中和仁選手が15.850、桑原俊選手が15.800の高得点を獲得するなど他の選手がカバーし、76.450の高得点を獲得。
KONAMIはゆか、上田和也、関口栄一の2選手が大きなミスを犯し13点台。他の選手も得点を伸ばすことができず71.450。
ここで徳州会が一気に逆転し4.500リード。
最終種目
徳洲会は鉄棒、この種目も大きなミス無くまとめ、水鳥寿思選手の15.800を筆頭に4選手が15点台を獲得。チーム得点も76.250をマーク。
KONAMIはあん馬、関口栄一選手にミスがあったものの他の5選手が踏ん張り、この種目の比較では徳州会を1.100上回る73.150を獲得したが、6種目合計得点ではさらに3.100差を広げられ、徳州会が455.000、KONAMIが447.300。7.700の大差をつけて徳州会が昨年の雪辱をはらし、通算6回目の優勝に輝いた。
3位には1班で競技を行い427.800を獲得した相好体操クラブが、4位には仙台大学OBでチームを結成した爽秋会体操クラブが426.800で入った。
この2チームの得点は先に行われた全日本学生体操競技選手権大会(インカレ)5位の筑波大学の424.900を上回ったため、社会人大会とインカレのチーム得点を高い順に並べてそれぞれ7位、8位となり、8位以内に与えられる全日本体操競技選手権大会(以下全日本)への団体出場権を獲得した。
相好体操クラブはチーム結成1年目での全日本団体出場権獲得となった。
爽秋会体操クラブはチームメンバー5人でのエントリーのため、すべての得点がチーム得点に反映するという不利な状況の中で健闘し、弟分の仙台大学(インカレ3位)とそろっての全日本団体出場が実現することとなった。
個人総合では、平行棒でダブルスイングのミスがあったものの、高得点を積み重ね団体優勝にも貢献した水鳥寿思選手が91.950で優勝。
2位には、あん馬で落下があったものの他の種目はすべて15点台以上を積み重ねた中瀬卓也選手が91.150で、3位にはゆかで得点を伸ばせなかったが、他の5種目で安定した演技を見せた森赳人選手が91.100で入った。森選手は、鉄棒でアドラーひねり~伸身ピアッティの組み合わせを成功。
以下、4位:田中和仁=90.850、5位:小林研也=90.650、6位:塚原直也(朝日生命)=90.500、7位:星陽輔(セントラルスポーツ)=90.350、8位:西村隼=89.850と続き、実に上位7選手が90点越えを果たすハイレベルな戦いとなった。
田中和仁選手は、屈身ベーレを織り込んだ平行棒で15.850の高得点をマークするなどほぼノーミスの出来だった。
小林研也選手は、跳馬でAスコア7.00のヨーホンチュル2を成功して16.200、つり輪、平行棒で得点を稼いだ。
塚原選手は、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねりの着地をまとめたつり輪で15.700、平行棒、跳馬でも15点台を獲得。他の種目も素晴らしい実施でまとめ、ほぼノーミスの演技で90点台をクリア、復活をアピールした。
星選手は1種目目の平行棒の着地(後方屈身2回宙返りおり)で転倒、あん馬、跳馬、鉄棒で15点台を獲得。特に跳馬では伸身ユルチェンコ2回ひねり(Aスコア=6.20)の着地を止めて15.900。
西村選手は90点にわずかにとどかず。鉄棒でリバルコ~伸身イエガーを成功させるなど6種目を通じて大きなミスが無かっただけに、ゆかのライン減点(-0.50)が惜しまれる。
○男子個人総合優勝 水鳥寿思選手のコメント
NHK杯の後はもう体操をやめようかとも思いました。
しかし、また動き始めてみると非常に楽しかったので、またやってみようという気になりました。こうして復帰できたことはよかったと思います。
優勝したことに関しては、出ていない人もいるので手放しで喜ぶことは出来ないですが、今後の自分の体操にはつながっていくと思います。心配してくれた、応援してくれた方々に元気なところを見せることができてよかったと思います。
優勝したとはいえ、少しミスもあったので、全日本ではそういう部分もでないようにして優勝めざしてがんばっていきたいと思います。
   男子個人総合優勝 水鳥寿思選手
◎女子1部
女子に関しては、残念ながらチーム出場は無く、個人総合のみの争いとなった。
やはりオリンピック日本代表の3選手が強く、1位:大島杏子(朝日生命)、2位:上村美揮(朝日生命)、3位:美濃部ゆう(朝日生命)と順当に上位を占めた。
4位の椋本啓子選手は、1種目目のゆかで得点を伸ばせず、続く跳馬、段違い平行棒、平均台では上位3選手と遜色無い得点を重ね追い上げたが、上位3選手の中に割って入ることは出来なかった。
○女子個人総合優勝 大島杏子選手のコメント
オリンピックの後、練習量が少なくて少し心配はあったのですが、オリンピックで良い演技ができたことが自信につながって、今回は自信をもってのびのびと演技することができました。
1日も早く手首を治して、1日1日を大切に頑張っていきたいと思います。
                     
                      
女子個人総合優勝 大島杏子選手