インカレ体操競技団体1部レポ
男子は予想通り、順大と日体大が優勝争い。しかし順大は最初の種目ゆかで順大1年生のホープ北條が終末の3回ひねりの着地でアキレス腱を負傷して退場する事態に。東インカレの覇者は2種目めから一人のミスも許されないチーム戦へと突入する。対する日体大は初のチーム入りを果たした中島が大過失を出したが最終演技者の内村が着地を決め、最初の種目平行棒を乗り切る。なお、もう一人のオリンピック代表坂本は順大ゆかの最初の演技者として登場。危なげない演技で帰国後の第一声を両者ともいい形で表現した。その他、鉄棒スタートの仙台大は落下者が複数出る苦しいスタートとなった。日大は跳馬の着地を決めて77.300を獲得する好スタート。
2種目め、順大あん馬。5人となったプレッシャーもありぎこちない演技。一人の落下者を出してしまうが坂本がいい演技で引き締める。日体大は鉄棒種目別の全日本チャンピオン太田がヤマワキでバーに足をぶつけるミスを犯したが大過失なく乗り切る。順大142.000、日体大147.000。跳馬から入った日大が149.050でトップ。
3種目め、順大つり輪。最後の坂本が見事な演技で15.500を獲得。日体大ゆか。最初のシリーズの3つ目の前宙ひねりができず。最後の3回ひねりの着地を決めたが15.450。順大215.550、日体大221.500。日大はコールマンで2名が落下しトップを日体大に譲る。
4種目め、順大跳馬。最初の演技者に小さなミスがでたが、チームとしてカバーし78.600(294.150)。一方、日体大はあん馬が鬼門。最初の演技者太田のミスを後続が払しょくできず、6名中4名が落下。内村は落下こそなかったもののEフロップを除いて演技。チーム得点67.150は6チーム中最下位。合計288.650で順大に逆転される。
5種目め、順大平行棒。トップバッターの1年生田中が素晴らしい演技。坂本は倒立でバランスを崩すが何とか踏みとどまる。日体大は寺尾、内村といい演技をしたが、岡村はケーブルが揺れてしまい得点を伸ばせず。順大369.450、日体大362.750。その差6.700で最終種目を迎える。3位争いは日大359.850、仙台大358.600と1.250差。
最終種目、順大鉄棒。一人の失敗も許されない状況から坂本、田頭と演技をまとめる。田中はアドラーひねりで大きくバランスを崩すが持ち直し、最後の伸身新月面の着地を止める。渡辺がコバチで落下。勝敗の行方がわからなくなる。日体大は跳馬。しっかり着地を止めきれず得点を大きく伸ばすことができなかったが、最終演技者内村が着地を止め16.200をマーク。チーム得点441.500で順大鉄棒最終演技者新島の演技を待つ。アドラーひねりで前に倒れるがそのまま順手エンドーで切り抜ける。コールマンを持ち、最後をまとめる。15.150。この結果、442.000を獲得し、日体大をわずか0.500上回り優勝した。また、仙台大が最後にきて日大を1.650上回り3位になる。
女子はBグループの国士館大が石坂真奈美を中心に堅実な演技を続ける。石坂は平均台で側宙で落下し、着地でも尻もちをつくなどしたが、他種目でチームをけん引し、団体2位となった。優勝は垣谷真理子、田中理恵らがひっぱった日体大。団体3連覇を達成した。なお、オリンピック代表の黒田は各種目とも着地の乱れなどあったが大過失なく演技を終え、57.000で個人総合予選トップ通過となった。
多くの観客が訪れたくまがやドーム
<オリンピック代表、競技終了後会見>
黒田真由(中京大学)
■大会を振り返って
事前練習ではよくなかったので少し不安がありましたが大きなミスなくできてよかったです。ただ通すのに精一杯で細かなところまで気を配れませんでした。
■帰国してからの調整
北京オリンピックでの競技は13日に終わり、帰国する20日まであまり緊張感を持った練習ができませんでした。なので、20日に帰って3日間は自由だったのですが毎日練習場に通ってこの大会に備えました。
■次の目標は
自分の体操人生にとって大きな大会が終わったので、今はまず、目の前の試合でしっかり演技をするような目標を持って取り組んでいます。
■国内大会を終え、今、北京で得たものを振り返ると
6-3-3の団体決勝では、これまでに味わったことのないプレッシャーを感じました。北京五輪で得た経験でそれが一番大きいと思います。そうした場面でもしっかり自分の演技ができるよう、日ごろの練習から取り組む必要性を感じました。
坂本功貴(順天堂大学)
■大会を振り返って
平行棒の倒立で動くなど、細かい点でミスはありましたが、全体的に大きな失敗なくよかったです。
■帰国してからの調整
北京オリンピックの団体決勝後10日間は何もやっていませんでした。帰国してからの練習では、インカレ優勝に向けてがんばっているチームに引っ張ってもらったという感じでした。
■帰国してからの周りの雰囲気は
歩いていてもがんばってと声をかけてくれる人がいることが変わりました。
■国内大会を終え、今、北京で得たものを振り返ると
6-3-3の団体決勝で、失敗できない状況を経験したことが大きかったです。今日も最初の種目でチームメイトの一人が負傷退場して失敗できない状況になり緊張感が高まりましたが、優勝できてよかったです。
内村航平(日本体育大学)
■大会を振り返って
出だしの種目(平行棒)がよかったです。ゆかは予定していた技ができなくて、あん馬も技を抜きました。着地はまずまずよかったと思います。
■帰国してからの調整
左手首の違和感は北京ですでにあったのですが、帰国してから少し状態がよくなくて、チームに合流したのはインカレ出発前日でした。
■帰国してからの周りの雰囲気は
小さい子供に声をかけられるようになってうれしいですね。
■国内大会を終え、今、北京で得たものを振り返ると
団体決勝で、チームのミスをカバーするということが北京で得たことです。今日もそれができたかなと思います。