第20回国際ジュニアチームカップ報告

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■期間 平成27年3月24~30日
■場所 ドイツ・ベルリン 競技会場 Sports Forum Berlin
■選手団
監督 西岡康正(関西高校)
コーチ 西村隼(名城大附属高校)、陰山誠(大泉スワロー体育クラブ)、詫摩俊介(フジスポーツクラブ)

審判近藤昌夫(日本体操協会審判部)
選手横井君宇(名城大附属高校)、前田航輝(関西高校)、天野敢太(大泉スワロー体育クラブ)、村山覚人(フジスポーツクラブ)

■スケジュール

3月24日(火)関西国際発機内泊

3月25日(水)ベルリン到着、練習会場練習

3月26日(木)本会場練習

3月27日(金)競技(団体総合、個人総合)

3月28日(土)競技(種目別)

3月29日(日)ベルリン空港発

3月30日(月)成田空港着

■大会概要

ヨーロッパ圏を中心に15カ国、23チームが参加。年代ごとにカテゴリー分けされており、1997年生~1998年生をカテゴリーⅠ、1999年生~2000年生をカテゴリーⅡ、2001年生以下をカテゴリーⅢとしている。競技は初日に団体総合と個人総合が行われ、団体総合はカテゴリーⅠに1名のエントリーを必須とし、各国4名で上位3人の得点で争う。日本はカテゴリーⅠに1名、カテゴリーⅡに3名というチーム編成とした。2日目は各カテゴリー上位6名による種目別(各国1名まで)が行われる。競技規則は2013年版FIG採点規則ユースルール(8技)が適用された。

■大会レポート

□3月24日(火)【集合、結団式、出発】

広島での全国高校選抜大会を終え、閉会式終了後、直ちに関西国際空港へ向かった。西岡、西村、近藤、横井、前田の5名と、羽田空港から関西国際空港に向かった陰山、詫摩、天野、村山の4名が21時20分に関西国際空港に無事集合した。結団式を行い、団体優勝を最大の目標に掲げ、全体の意識を高めた。予定より1時間25分遅れの0時45分に出発した。

□3月25日(水)【到着練習会場練習】

トルコ・イスタンブール空港を経由し、現地時間10時20分ごろベルリンに到着した。大会事務局2名による送迎があり、約45分でホテルに到着した。日本を出発してから約20時間の移動であった。チェックイン後、少し休憩をとり、午後からの練習に備えた。ホテルより徒歩15分ほどの距離にある練習会場で、14時から17時まで各自調整練習を行った。練習会場は暖房もきいており、ピットやトランポリンも常設されたすばらしい施設であり、調整練習には申し分のない環境であった。練習内容は、高校生2名は選抜大会直後ということもあり、軽めの調整やSPIETH製器具の確認を行った。中学生2名は長時間の移動の疲れも見せず、精力的に練習を行っていた。

□3月26日(木)【本会場練習】

ホテルロビーに大会事務局のデスクが設けられており、資料を受け取った。日本はロシアと同組で2班の跳馬スタートとなった。9時にホテルを出発し、練習会場で約2時間ウォーミングアップ、トレーニングを行った。昼食後、14時から本会場練習を行った。18時半までのフリー練習であったが、日本チームはチームワーク向上のため平行棒から正ローテーションで練習を行った。各種目1本通しを基本に、入念に確認、調整を行っていた。近藤審判員による難度の確認を行いながら、各選手とも良い練習ができていた。ゆかもスプリング式であったことなどから、器具に対する不安もあまりなさそうであった。21時よりホテルで監督会議が行われ、競技進行や時間の確認を行った。ゼッケンもここで配布された。

□3月27日(金)【競技団体総合、個人総合】

日本が出場する2班は、本会場練習が16時30分~17時50分、競技が18時00分~21時00分と遅かったため、高校生は午前中に練習会場でウォーミングアップ、トレーニングを行った。中学生は午後から練習会場でウォーミングアップ、トレーニングを行い競技に合わせた。各種目の内容は以下の通り。

【第1ローテーション跳馬】

1.村山;伸身カサマツとび(Dスコア4.4)姿勢、着地もまとめ良い実施。得点13.750
2.天野;伸身カサマツとび1/2ひねり(Dスコア4.8)姿勢、着地もまとめ良い実施。得点13.900
3.前田;アカピアン(Dスコア5.2)着地で後ろに一歩動く。得点14.400
4.横井;アカピアン(Dスコア5.2)着地で横に少し弾む。得点14.550

大きなミスなく好スタートを切る。
●チーム得点・・・42.850

【第2ローテーション平行棒】

1.村山;ティッペルト、棒下倒立、車輪など良い流れで後方かかえ込み2回宙返り下りを決める。

得点13.550
2.天野;棒下倒立、車輪、モイ、ティッペルトなど倒立のキメも良く後方屈身2回宙返り下りをまとめる。

得点13.950
3.前田;ヒーリー、棒下倒立、モイ、ティッペルトなど順調に決めるが、後方屈身2回宙返り下りで転倒してしまう。得点12.450
4.横井;ホンマ倒立、棒下倒立、車輪ディアミドフ、バブサーなど順調に決めるが、ティッペルトでバーに乗ってしまい、後方屈身2回宙返り下りで前に大きく着地が乱れる。得点12.500

大過失を2名出してしまい、チーム得点を下げてしまう。
●チーム得点・・・40.000

【第3ローテーション鉄棒】

1.村山;コスミック、ホップターン、ホップターンひねり、アドラーなど丁寧に捌き、伸身ムーンサルトの着地で大きく前に一歩出すが、こらえる。得点13.050
2.天野;トカチェフでバーに近づき車輪の勢いを失い、停滞してしまう。その後はホップターン、アドラーなどを実施し、伸身ムーンサルトでまとめる。得点12.450
3.前田;アドラーひねり、トカチェフ、ホップターン、伸身ムーンサルトの着地で後ろに一歩。まずまずの実施。

得点13.200
4.横井;コスミック、アドラー1回ひねり、大逆手エンドーなど良い実施で捌き、伸身ムーンサルトの着地を止める完ぺきな演技。得点14.200

一人ミスが出るが、ベスト3を確保した。
●チーム得点・・・40.450

【第4ローテーションゆか】

1.村山;後方3回半ひねり~前方宙返りひねり、後方2回半ひねり~前方1回ひねりなど得意のひねり系で難度をとり、終末技の後方3回ひねりの着地で少し弾かれた感じになるが、まとめる。得点14.2500
2.前田;前方1回ひねり~前方2回ひねり、後方2回半ひねり~前宙ひねり、終末技の後方3回ひねりの着地を前に一歩で抑える。得点14.300
3.天野;最初の前方1回ひねり~前方2回半ひねりで前にお手つき、後方1回半ひねり~前方2回ひねりで尻もち。終末技の後方3回ひねりの着地を小さくまとめる。2か所の着地が悔やまれる。得点12.400
4.横井;後方3回半ひねり~前方宙返りひねり、前方2回ひねり~前方1回半ひねり、終末技の後方3回ひねりの着地をまとめ良い実施。得点14.500

一人ミスが出るが、崩れずベスト3を確保。

●チーム得点・・・43.050

【第5ローテーションあん馬】

1.村山;正交差、前移動、シュテクリBなど大きな旋回で実施し、良い演技でトップバッターの役割を果たす。

得点12.850
2.天野;マジャール、シバド、シュテクリB、終末技のシュテクリA倒立下りで少し力を使った捌きになるが、大きなミスなく次につなげる。得点12.850
3.横井;Eフロップ、前とび移動、シバド、シュテクリA倒立下り3部分移動を決める。得点13.250
4.前田;逆交差倒立、Dフロップ、前移動、シバド、逆リア倒立下り360°ひねり3部分移動を決めガッツポーズ。得点13.400

あん馬を大過失なく乗り切り、チームの雰囲気も盛り上がる。
●チーム得点・・・39.500

【第6ローテーションつり輪】

1.村山;振り上がり開脚上水平、ほんてん倒立、ジョナサン、ヤマワキ、ムーンサルト下りの着地を止める。

得点12.700
2.天野;け上がり十字懸垂、ホンマ十字懸垂、ジョナサン、ヤマワキ、伸身ムーンサルト下りの着地を止める。得点13.800
3.前田;振り上がり十字懸垂、ほんてん倒立、ヤマワキムーンサルト下りの着地を後ろに一歩でまとめる。

得点13.100
4.横井;ホンマ十字懸垂、振り上がり十字懸垂、ジョナサン、ヤマワキ、後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りの着地を止める。得点14.450

最終種目も大過失なく良い演技で終える。
●チーム得点・・・41.350

●結果

・団体総合・・・優勝日本247.200

2位フランス242.350

3位ロシア239.900

・個人総合(カテゴリーⅠ)…優勝AndreiMakorov(ロシア)83.950

2位横井君宇(日本)83.450

3位Cameron-LieBernard(フランス)80.750

・個人総合(カテゴリーⅡ)…優勝前田航輝(日本)80.850

2位村山覚人(日本)80.150

3位天野敢太(日本)79.350

●競技初日を終えて

団体総合では最大の目標であった優勝をすることができた。多少ミスはあったもののお互いにカバーし合い良いチームワークで試合を進めることができた。個人総合では、カテゴリーⅠで2位、カテゴリーⅡにおいて表彰台を独占し、日本の強さをアピールすることができた。翌日の種目別決勝には、ゆかに横井、前田、あん馬に横井、前田、つり輪に横井、天野、平行棒に天野、鉄棒に横井、前田が残った。

□3月28日(土)【競技種目別】

12時30分~13時50分まで会場練習を行い、14時からカテゴリーⅠはゆか、カテゴリーⅡはあん馬、カテゴリーⅢはつり輪からスタートし、正ローテーションで行われた。内容は以下の通り。

【ゆか】

横井…後方3回半ひねり~前方宙返りひねり、前方2回ひねり~前方1回半ひねりなどうまく決めるが、後方2回半ひねり~前方宙返りひねり(繰り返し)になってしまい予定していたDスコアを下げてしまう。

得点13.900結果2位

前田…前方1回ひねり~前方2回ひねり、後方2回半ひねり~前宙ひねりなど良い流れだったが、後方3回ひねりがひねり不足で転倒してしまう。得点13.350結果4位

【あん馬】

横井…Eフロップ後の前とび移動で落下、その後シバドでも落下してしまう。得点10.850結果5位

前田…予定していたEフロップがDフロップになってしまうが、その後冷静に対処しミスなく通す。

得点13.250結果2位

【つり輪】

横井…前の演技者がミスを重ねる中、最終演技者でミスなく通す。得点14.100結果優勝

天野…け上がり十字懸垂、ホンマ十字懸垂、ジョナサン、ヤマワキ、伸身ムーンサルト下りの着地を止め、完璧な実施。得点13.800結果優勝

【平行棒】

天野…前半はいい流れだったが、ディアミドフで前に戻り停滞してしまう。得点12.000結果5位

【鉄棒】

横井…団体同様の演技構成で着地も止め、ミスのない演技。得点13.950結果優勝

前田…トカチェフをよい位置でつかみ、着地も後ろに一歩でまとまる。得点13.200結果2位

●種目別を終えて

競技2日目で疲労もピークの中、各選手は残った種目でよく健闘した。各カテゴリー各国1名という制限により村山選手の出場はなかったが、献身的に応援、サポートしていた。

□3月29日(日)、30日(月)【出発・帰国・解団式】

ベルリンを19時に出発し、3時間でトルコ・イスタンブールに到着。イスタンブールから約11時間後に成田空港へ到着。解団。

9日本の大会成績

団体総合優勝
個人総合(カテゴリーⅠ)横井2位、(カテゴリーⅡ)前田優勝、村山2位、天野3位
種目別(カテゴリーⅠ)横井;ゆか2位、あん馬5位、つり輪優勝、鉄棒優勝

(カテゴリーⅡ)前田;ゆか4位、あん馬2位、鉄棒2位

天野;つり輪優勝、平行棒5位

■総評

高校生2名は選抜大会直後という厳しい日程でありながらも、全員が団体優勝という共通目標に向け、練習から良い雰囲気で試合に臨めた。ほとんどの選手が初の海外試合であったが、現地での時差調整、食事、器具慣れなど大きな問題なく対応できたように思う。試合はロシア、ウクライナなどの強豪国も参加していたが、団体戦を意識し、お互いがカバーし合いながら日本の強さを十分にアピールできた。個人総合もカテゴリーⅡにおいて表彰台を独占、カテゴリーⅠでも2位と全員が表彰台に上がることができ、自信になった。

解団式では、西岡監督より、この経験を各所属に戻ってからも忘れず、日本代表としての誇りと自覚を持ち行動してほしいということが伝えられた。

最後になりましたが、本大会への参加にあたり、日本体操協会並びに現地大会事務局をはじめ、多くの関係各位に心より感謝申し上げ報告とさせていただきます。

2015ドイツ国際ジュニアチームカップ