第76回全日本体操個人男子予選レポート

報告者:日本体操協会 湯浅

1位 橋本大輝(順天堂大学)
スタート種目の跳馬はロペスで若干着地が乱れ、続く平行棒では棒下宙返りひねりで落下、さらに鉄棒では見た目の大きなミスはなかったが、アドラーひねりが若干ぶれて予定の連続ができずアドラー1回ひねりも倒立から大きく逸脱してしまう。
ゆかでは、リジョンソンを見事成功、全体的にも素晴らしい実施。あん馬は正交差倒立(リーニン)で1歩動くミス、最終種目つり輪は新たに十字倒立を組み込み、中水平の姿勢など強化の跡がうかがえる実施で14。166を獲得。辛くも予選1位で決勝に進むことになった。

2位 神本雄也(コナミスポーツ)
得意の平行棒からのスタート、リチャード、前振り上がりひねり倒立などを取り入れた構成をほぼ完ぺきに実施。続く鉄棒もアドラーひねり~伸身トカチェフを実施するなど新しい規則に対応、カッシーナ、コールマンなどもしっかりこなす。ゆかも無難にまとめ、あん馬ではDでは得点を伸ばせなかったが丁寧にミスなく乗り切る。得意のつり輪は正確で力強い実施で伸身月面の着地もピタリと止め、平行棒に続き種目最高点を獲得。最終種目跳馬はシューフェルトをしっかりとまとめた。

3位 岡慎之助(徳洲会体操クラブ)
跳馬のロペス,鉄棒のリューキンなど成功させるなど,全種目でたくましさが増した世界ジュニアチャンピオン。鉄棒のチェコ式車輪後のさばきでバランスを崩しかけるなどの小さなミスもみられたが,力強さが備わってきて魅力を増した。

4位 川上翔平(徳洲会体操クラブ/星槎大学)
1種目目鉄棒でひねり系の技を倒立に収める素晴らしい実施、質の高い演技でこの種目1位の高得点を獲得。続くゆか、あん馬も安定した実施。つり輪は若干低いDスコアだが丁寧に実施。鉄棒で高得点を稼ぎ、他の5種目もしっかりまとめた。

4位 松見一希(徳洲会体操クラブ)
とりたてて高得点の種目はなかったが、全種目においてEスコア8点台という安定感の光る実施だった。

オリンピック・東京大会代表の北園丈琉(徳洲会体操クラブ/星槎大学)、谷川航(セントラルスポーツ)、萱和磨(セントラルスポーツ)については、北園丈琉があん馬の終末技がC難度、跳馬ではヨーⅡで転倒。谷川航は、鉄棒でカッシーナを成功するなど意欲的な演技を見せたが、得意のゆかで着地が決まらず、またあん馬でも落下等大きなミスはなかったが脚を開くなどのミスが目立ち得点を伸ばせなかった。萱和磨はバランディン1を取り入れ、開脚上水平を閉脚にするなど意欲的な構成に挑んだが細かい減点が重なったようで思うように得点を伸ばせず、さらに鉄棒のコールマンで落下。
それぞれ、5位、7位、10位で決勝に進むことになった。

また、日本体育大学の土井陵輔が平行棒で若干取りこぼしたものの、ゆかで全体2位、あん馬と鉄棒で6位に入るなど、得点を積み上げ6位で予選を通過した。

なお、採点規則の変更部分への対応については以下の点が目についた。

ゆか、1回宙返りのひねり技同士の組み合わせには加点が与えられなくなったが、技数を確保するためかほとんどの選手が実施、ただしD+D以上の組み合わせは見られなかった。

あん馬、3/4ショーンあるいはベズコから始まるフロップは見られなかった。

鉄棒、ヤマワキがDからCに格下げとなったが実施者あり、ただしかなり少なくなった印象。半分ひねって片大逆手になる手放し技=モズニク、リンチ、ムニョス/ポッツォ(ヤマワキひねり片大逆手)などは実施者なし。
アドラーひねり~コールマン、アドラーひねり~伸身トカチェフが一例ずつ見られた。

種目別トライアウトで注目された技、演技
ゆか
南 一輝(エムズスポーツクラブ)
後方かかえこみ2回宙返り2回半ひねり、前方伸身宙返り3回ひねり、後方伸身宙返り3回半ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり、スイス倒立、後方伸身宙返り1回半ひねり~前方伸身宙返り2回半ひねり、後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返り2回ひねり、後方伸身宙返り3回ひねり

大谷直樹(北翔大学)
前方伸身宙返り2回ひねり~前方かかえこみ2回宙返り、後方伸身宙返り3回半ひねり、前方伸身宙返り2回半ひねり、後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返り1回半ひねり、後方伸身宙返り1回半ひねり、後方伸身宙返り3回ひねり

跳馬
米倉英信(徳洲会体操クラブ)
1本目ヨネクラ、2本目リセグヮンと大技に挑んだが惜しくも2本とも転倒

平行棒
田中佑典(田中体操クラブ)
Dスコアは若干抑え気味の構成だったが持ち前の正確かつ美しい実施でEスコア9.233、種目別2位につける

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