第58回NHK杯女子レポート
第1ローテーション
跳馬
畠田瞳(セントラルスポーツ)
ユルチェンコ1回半ひねり 雄大な実施で着地小さくホップにおさえる。かなり良い実施。
寺本明日香(ミキハウス/レジックスポーツ)
チュソビチナ(転回~伸身前宙1回半ひねり) 後半ほんの少し失速するが、なんとか足をもってきて着地をまとめた。後半の減点対象になる腰折れが目立つ実施になってしまう。
松村朱里(ジム・ネット体操教室)
ユルチェンコ2回ひねり 着地直前にほんの少し失速。前へ大きく1歩。
杉原愛子(武庫川女子大学)
ユルチェンコ1回半ひねり 高さもあり、美しい伸身姿勢での実施。着地前へ1歩でまとめる。
畠田千愛(セントラルスポーツ)
ユルチェンコ1回半ひねり 着地前へ小さく動くが、スピードと迫力のある実施。
段違い平行棒
渡部葉月(中京ジムナスティッククラブ)
マロニー~1/2ひねり低棒移動、イエガー等を力強くさばき、伸身ダブル下りの着地をしっかり決める。
山田千遥(朝日生命)
マロニー~パク、マロニーハーフをギリギリの位置でキャッチ。屈身イエガーを決め、ムーンサルト下りでバーに近付く実施になってしまうが、着地はなんとかまとめる。昨年ユースオリンピックを経験した山田選手。少し背が伸びたせいか、スイングが大きく雄大性が増した印象。
坂口彩夏(ジム・ネット体操教室)
マロニー~1/2ひねり低棒移動から翻転倒立を繋げる。ホルキナとび越し(マルケロフ)を成功させるが、シュタルダー1回ひねりの途中で停滞。なんとか繋げ直し、大過失にすることなく演技をやりきる。
平均台
梶田凪(中京大学)
ロンダート~両足伸身宙返り上がり(F難度)を決める。バク転スワンと足持ちターンで少しふらつきを見せた以外は良い実施。2回半ひねり下りで着地前へ1歩。
第2ローテーション
段違い平行棒
寺本明日香(ミキハウス/レジックスポーツ)
閉脚シュタルダー1/2ひねり~屈身イエガーを高い位置でキャッチ。シュタルダートカチェフは少し真上に上がりすぎ、キャッチするときに膝が曲がってしまう。シュタルダー1回ひねり~ギンガーもかなり高い位置でキャッチ。イエガーはほんの少しつまるが、ムーンサルトの着地を見事に決める。
松村朱里(ジムネット・体操教室)
イエガー、パクと無難にきたが、マロニーで歪んでしまい、中間振動。そこからむりやり1/2ひねり低棒移動をするが肘を曲げてつぶれながらキャッチ。なんとかムーンサルト下りまでやりきる。
杉原愛子(武庫川女子大学)
屈身イエガーを成功させる。フット1回ひねり~1/2ひねり低棒移動。ひとつひとつを丁寧にこなしている印象。ムーンサルト下りは少し頭が下がる低い着地に。
畠田千愛(セントラルスポーツ)
閉脚シュタルダー、マロニー~シュタルダー1/2ひねりを決める。イエガーを決め、1/2ひねり低棒移動はしっかりと倒立にはまる。フット倒立1回ひねり~ムーンサルト下りを連続で行い加点をとる。非常に堂々とした演技。
畠田瞳(セントラルスポーツ)
最初の回転系の倒立をそつなくこなし、雄大な屈身イエガー、シュタルダートカチェフも豪快に決める。ムーンサルト下りの着地を狙ってピタリと止める。力強く、安心して見ていられる演技。
ゆか
梶田凪(中京大学)
3回ひねり、足持ち2回ターンをしっかり決める。前方2回ひねり~かかえ込み前宙でD難度+A難度の組み合わせの加点をとる。足を水平に保った2回ターン等、昨年から変えた曲と振付で最後のかかえ込みダブルまで通しきる。
第3ローテーション
寺本明日香(ミキハウス/レジックスポーツ)
交差とび上がり、2回ターン、片足伸身前宙~前後ジャンプ~左右開脚ジャンプの連続技まで丁寧にしっかりと決める。オノディ、交差ジャンプ~かかえ側宙も決めきり、安心したところでバク転スワンでのまさかの落下。側宙、2回半ひねり下りはしっかりと立て直し演技をやりきる。
松村朱里(ジム・ネット体操教室)
段違い平行棒のミスが響いているのか、平均台でも落下。
杉原愛子(武庫川女子大学)
後転とび胸支持上がり(D難度)。練習中に台に鼻をぶつけてしまうアクシデントがあったが、試合本番では成功。側宙、バク転スワン、片足伸身前宙~前後輪ジャンプ等、特に派手な大技は入れず、無難に通し、Eスコアで稼いだ。
畠田千愛(セントラルスポーツ)
片足伸身前宙、バク転スワン、交差輪とびは少しいつもより後ろ足が低くなる。スタンド宙返りから動きへ素早くさばく。側宙~前後輪ジャンプ、交差ジャンプ~B難度大ジャンプ~鹿ジャンプ輪で連続の加点をとる。終末技は2回ひねりでまとめる。
畠田瞳(セントラルスポーツ)
交差ジャンプ上がり、高い着台姿勢での前宙、片足伸身前宙…と、一つ一つ丁寧に、かつ、リズム良く決めていく。かかえ側宙、交差とび~交差とび1/2ひねりの組み合わせも正確な実施を確かめるようにこなし、屈身ダブル下りの着地を決める。熟練性が光る演技。
跳馬
花島なつみ(日本体育大学)
本来はチュソビチナ(転回~伸身前宙1回半ひねり)を持っているが、今回は転回~屈身前宙ハーフを余裕のある雄大な実施で着地を決める。
新山愛望(戸田市スポーツセンター)
ユルチェンコ2回ひねり 後半少し腰が折れて下りてくるが、着地を小さく動いただけでまとめる。
梶田凪(中京大学)
ユルチェンコ1回ひねり 余裕のある実施で着地小さく1歩でまとめる。
ゆか
山田千遥(朝日生命)
出だしの3回ターンを丁寧に行う。ムーンサルトの着地で弾かれてしまうが、なんとか大過失にせず、こらえる。3回ひねりはひねりきりがどうか。2回半ひねり~かかえ込み前宙(D難度+A難度)の組み合わせで加点をしっかりとり、最後の屈身ダブルまでまとめあげる。
第4ローテーション
ゆか
松村朱里(ジム・ネット体操教室)
出だしの3回ターンひねりきる。かかえ込みダブルも決めるが、中盤の2回半ひねりからの連続が少し詰まってしまい、低い屈身の1/2ひねりでの実施になる。松村選手、今日は我慢の試合が続いた。
杉原愛子(武庫川女子大学)
3回ターンで少しバランスを崩す。3回ひねり、2回半ひねり~伸身前宙、かかえ込みダブルと、アクロバットを丁寧にこなし、浮足水平2回ターン、足持ち2回ターンや交差輪とび等、得意のダンス系の技でアピールした。
畠田千愛(セントラルスポーツ)
ムーンサルトで勢いよく演技スタート。スピードのある足持ちターンや浮足水平ターン等、ターンでしっかりと高難度をとる。3回ひねり、2回半ひねり~かかえ込み前宙の組み合わせもしっかりと決める。
畠田瞳(セントラルスポーツ)
しゃがみ立ち2回ターンをしっかり回しきる。交差とび1回ひねりの着地でひねりきりをしっかりアピール。練習からしっかりと着地を止める確認をしていた畠田選手。かかえ込みダブルはしっかりと決めたが、2回半ひねり~伸身前宙1回ひねりの着地で勢い余って弾んでしまう。最後の屈身ダブルもいつもより高さが出て後ろへ弾み、ラインオーバーギリギリのところでこらえる。
寺本明日香(ミキハウス/レジックスポーツ)
浮足水平2回ターンから気合十分。テンポ~テンポ~バク転~3回ひねり(A難度+A難度+E難度=0.2)の間接の組み合わせだが、3回ひねりのひねりきりがどうか。後方1回半ひねり~ロンダートバク転~2回半ひねり(C難度+D難度=0.1)ここも間接の組み合わせ加点。今年新しく入れたしゃがみ立ちの2回ターンを丁寧にこなし、伸身前宙2回ひねり、最後の屈身ダブルまで通しきる。
段違い平行棒
梶田凪
伸身のフットトカチェフ(G難度)~パク宙返り(D難度)の連続技を落下せずに成功させるが、伸身姿勢をしっかりと保っていられなかったので伸身での承認ならず。屈身イエガー、シュタルダー倒立1回ひねり、ムーンサルト下りの着地を後ろ1歩でおさめる。昨年よりも質の良い演技を見せる。
跳馬
桒島姫子(朝日生命)
ユルチェンコ2回ひねり 力強い実施で着地を小さく1歩でまとめる。
渡部葉月
伸身ツカハラ1回ひねり 高さのある、きれいな伸身姿勢での実施。着地後ろへホップ。
山田千遥
ユルチェンコ2回ひねり 後半少し腰折れが入り、着地後ろへ1歩。
村上茉愛選手(日体クラブ)の試合直前での棄権という波乱の幕開けで始まったNHK杯。平均台での落下があったものの、全日本選手権の予選から強さを見せていた寺本選手が2位の畠田瞳選手に2.067の差をつけて優勝。3位に世界ジュニア代表となった畠田千愛選手が大きく成長した姿を見せた。
世界選手権代表には寺本選手、畠田瞳選手、杉原選手、梶田選手の昨年のドーハ大会代表が名を連ねた。その中で個人総合3位の畠田千愛選手と共に世界ジュニア代表となった渡部葉月選手も6位と大健闘した。