2016環太平洋選手権大会報告

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■選手団
団長 水口晴雄
コーチ 三宅裕二,梅本英貴,稲川峰士
審判員 田沼寛文,笠松昭宏
選手 山根直記(清風高校)、寺地祐次郎(K.R.M体操センター),天野敢太(日本体育大学荏原高校/鶴見ジュニア体操クラブ),迫龍登(日本体育大学荏原高校/鶴見ジュニア体操クラブ),若狭康佑(富山体操クラブ)、土井陵輔(おかやまジュニア体操クラブ)
■派遣先 アメリカ・エバレット
■競技会の概要
競技規則:Code Of Points 2013を適用
使用器具:AAI社製の器具を使用
・参加国 13か国
・参加人数 58名
・チーム構成 各チーム6人(団体総合は6-5-4制)
・本来、この大会はチーム6名のうち必ず3名はジュニアが参加しなければいけない。しかし、今年はオリンピックイヤーということで6名ともシニアでも構わない。日本は6名の内、シニア2名,ジュニア4名(全てジュニアナショナル選手)のチーム構成
■現地でのトレーニング、コンディション
<5日(火)> 移動
男子・女子体操競技、トランポリンの三選手団で14:30成田集合。16:40発のフライトでシアトル現地時間9:30に予定通り到着。その後、大会運営のバスでホテルへ向かった。
この日は体育館が使えないため、昼食後、近くを散歩し、ホテルでストレッチを行い軽く身体をほぐした。

<6日(水)> 会場練習
この日は午前中に2時間(20分ローテー)でポディウム練習が行われた。初めての器具、時差など不安要素もたくさんあったがコーチ陣で話し合い、ユニホームを着て1本通しを行うことにした。内容はミスもあったが、ここで1本通したことにより器具の状態やそれぞれの課題がはっきりと分かったので非常に良かった。午後からは2時間のサブ会場でのフリー練習を行った。午前中での課題や明日のポディウム練習に向け、各自しっかり準備をした。

<7日(木)> 会場練習
午前中にサブ会場で2時間程度のフリー練習を行った。ここでは各自トレーニングや基礎練習を中心に行い、午後のポディウム練習に備えた。
午後のポディウム練習では昨日の続行練習の反省を踏まえ、各自課題に取り組んだ。
全員が昨日の不安箇所をしっかり練習し、試合に向けていい状態で練習を終えた。

■競技会の報告
〔試合内容〕
<4月8日(金)>
試合開始のセレモニーではアメリカらしくライト演出、DJなどで会場を非常に盛り上げ体育館がコンサート会場のようであった。国歌斉唱、選手入場、選手紹介全てが今回の選手たちにとって初めての感覚であった。種目移動の際も観客にマイクを向けたり、今大会スポンサーのTシャツを観客席に投げ入れたり、ダンスをしたり観客を飽きさせない工夫がなされていた。
試合が始まり1種目のあん馬はチームとして一番不安を抱えている種目であった。また、全員がポディウム初めての経験で非常に硬く見えた。その緊張感を払拭できず、スタート種目ではミスを重ねてしまった。2種目ではミスもなく全員が自分の力を発揮し、選手たちの雰囲気も変わったように感じた。ここからは、チームとして全種目ベスト4を揃え、最終種目までいい雰囲気で緊張感を切らさず最後までやりきることができた。しかし、最初のあん馬の失敗が結果的にメダルを逃してしまう原因となった。色々な原因は考えられるがスタート種目の難しさ、またすべての種目においてベスト4をきっちり揃えていく大切さを改めて痛感した。
<成績>
団体総合 4位
シニア個人総合 山根直記 6位、寺地祐次郎 10位
ジュニア個人総合 迫 龍登 1位、若狭康佑 2位

<4月9日(土)>
女子団体・個人総合 応援

<4月10日(日)>
【種目別決勝】
≪ジュニア試合形式≫
10:00-10:30オープンストレッチ
10:30-11:05 跳馬、平行棒、鉄棒 本会場練習
11:10-11:45 床、あん馬、つり輪 本会場練習
試合は各種目8人一斉に入場後、4人ごとに2分アップを行う。
ゆか)若狭-少し硬い演技ではあったが無難にまとめた。
土井-団体とは演技構成を変え、着地を丁寧にまとめ銀メダル獲得。
あん馬)若狭-終始安定したほぼ完璧の演技で、金メダル獲得
土井-後半少し苦しい演技となったが最後まで通しきった。
つり輪)迫-最初の力技で少し静止が短かったが、最後着地まで綺麗にまとめ銅メダル獲得。
天野-力技を2つ行い、力強い演技で金メダル獲得。
跳馬)天野-アカピアン着地1歩 銅メダル獲得。
土井-ユルチェンコ2回ひねり 着地1歩。
平行棒)若狭-落ち着いた演技で着地までまとめ金メダル獲得。
迫-体線の美しい演技でほぼ完璧の演技を行っていたが、下りで転倒。
鉄棒)天野-実施減点のない雄大な伸身コスミックを決め着地も1歩でまとめ銀メダル獲得。
迫-ひねり系の質が高く美しい流れで着地までまとめ、金メダル獲得。

団体戦より全員が落ち着いて演技を披露し、準備や試合運びなど短期間での成長も見れた。
金メダル4つ、銀メダル2つ、銅メダル2つと最高の結果でジュニアの試合をしめた。

≪シニア試合形式≫
16:00-16:30オープンストレッチ
16:30-17:05 跳馬、平行棒、鉄棒  本会場練習
17:10-17:45 床、あん馬、つり輪   本会場練習
試合は8人一斉に入場後、ジュニアと違いアップなしで試合開始。
ゆか)山根-1コース目から硬い演技となり2度転倒。ノーアップでの試合の難しさを感じた。
つり輪)寺地-倒立で少しぐらついたが、しっかり着地までまとめた。
跳馬)寺地-リザーブ1からの出場となった。30秒アップもなく、なおかつ最終演技者ということもあり、1本目に確実なアカピアンを跳んだ。ラインオーバーはあったものの着地1歩でまとめた。そして、2本目にローチェを跳び、完璧な跳躍で着地をまとめた。どの選手も足を開いて実施する中、寺地選手は足をしっかり閉じて3回まわり評価が高く見事、銅メダル獲得。
鉄棒)山根-最終種目、会場も盛り上がる中トップバッターでの演技であった。緊張感の高まる中、先ほどの床の経験を活かし、落ち着いてコスミック、コールマンと見事離れ技を決めほぼ完璧な演技で後続の選手にプレッシャーを与えた。アメリカ代表のオロズコ選手に抜かれたものの、見事銀メダル獲得。

〔課題〕
他国がシニアでチーム構成を組む中、日本はジュニアナショナルチームでの参加となった。体格差は否めないもののやはりアメリカチームの迫力のある演技は圧巻であった。宙返り系の高さ、各種目においての回転系の技術など日本も見習わなければいけない。ジュニア期のうちからトランポリンなどでひねり系同様、回転系の強化の必要性があると感じた。力技に関しても中国は若いチームであったが質の高い力技を行っていた。日本も成長期との関係性を考慮しなければいけないがもっと高校生の時期から力技強化に取り組むべきである。

〔総評〕
今大会はジュニアナショナルチームでの参加となったが、ジュニアナショナルの選手たちにとってアメリカのオリンピックチームと試合をできたことは非常に良い経験となった。また、試合形式が正式なポディウムを組み、シニア種目別決勝では入場後アップなしで試合をするなど、今まで感じたことのない緊張感の中、試合を行えたことはジュニア選手の将来に必ず役に立つものである。また、中国チームは大学生ぐらいの若い年齢中心のメンバーであったが、レベルの高い演技を行っていた。中でもあん馬、つり輪、平行棒は素晴らしいものがあり、現中国ナショナルチームに引けを取らない質の高さであった。今後、このメンバーが東京オリンピックの中心になるであろうと思われる。あと4年しかない中、ジュニアナショナルにおいても更なる強化をジャパンチーム一丸となって取り組んでいく必要性を強く感じた。東京オリンピック金メダル獲得に向け、強い危機感を持って強化に取り組んでいきたい。
最後になりましたが、日本体操協会はじめ本遠征に携わって頂いた方々に感謝し報告といたします。image002

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