リオデジャネイロオリンピック体操男子出発会見レポート
7月19日に都内ホテルで開催されました「リオデジャネイロオリンピック体操男子出発会見」での選手のコメントをご紹介します。
Q:出発する心境は?
【山室光史選手】
いよいよ出発だなって感じています。
【田中佑典選手】
4年前より落ち着いた気持ちで出発を迎えられているのかなと思います。あとは忘れ物がないかどうか、というのが心配なくらいです。
【内村航平選手】
あまり「出発するんだな」という感じがなくて、「本当にこれからオリンピックに行くんだろうか」というぐらい自分の中で落ち着いています。でも現地に入れば自ずと気持ちは上がってくるだろうと思っているので、とくに心配はしていません。とにかく飛行機が無事に着いてくれることを祈っています。
【加藤凌平選手】
リオに向けてモチベーションは少しずつ上がってきていて、「明日出発だな」とまた少しずつモチベーションが上がってきています。こんなに飛行機に長く乗るのが初めてなので、あっちへ行って体調がどうとか、体の動きがどうとかの心配が少しあります。
【白井健三選手】
代表選考が厳しかった分、代表が決まってからはすごく「あっという間だったな」という印象です。僕はブラジルに3年前に1回行っているので、3年前と比べて街並みがどうなっているかとか、そういった変化も楽しみです。
Q:代表決定から今日までの状況と現在の調子は?
【山室選手】
代表が決まってからここまで来る間に1回調子が落ちて、そこから考えて今が一番試合モードがいいので、すごくいい状態で現地に入れるかな、といま思っています。
【田中選手】
選考会が終わって、合宿を3回やって、試合を想定した流れの演技というのもこなしてきて、これまでにないぐらい自分の中で「いい準備ができてきた」と思っています。これから体調面を気をつけて、現地に入っていきたいなと思っています。
【内村選手】
NHK杯が終わってから、全日本種目別あたりで1回調子が落ちていっていて、それから合宿を3回やっていく中で、徐々に調子が上がっていって、いまはNHK杯の前と同じぐらいの調子だと思います。いつもの世界選手権前と同じような状況だと思います。
【加藤選手】
NHK杯では、自分の中でもなかなかいい試合ができたので、なおかつ本当に競って競って緊張感の中での試合だったので、それが終わってからなかなか自分を奮い立たすことができずに、少し調子が落ちていたんですけれど、だんだん調子が上がってきて、技のキレなどもここ数日でどんどん上がってきています。ブラジル入りしたり会場入りしたりすれば、自然とモチベーションも上がって、体の調子も上がってくると思います。
【白井選手】
種目別大会が終わってから、試合という形で通しをこなしたことはないんですけれど、大学での部内選考だったり代表でのチェックだったり、試合着を着て試技形式でやることがすごく多くて、その度に演技の出来栄えとか自分の気持ちも上がっていっていると思います。調子も落ちていないですし、すごくオリンピックが楽しみです。
Q:リオに入る前のサンパウロでの練習で注意するポイントは?
【山室選手】
飛行機に乗っている時間がいままでで一番長かったりすることもあって、現地に着いた時にどういう状況に体とかがなっているかがわからないので、できるだけ早く体を元に戻して、その間に器具にも慣れつつ、リオに入れればいいかなと思っています。
【田中選手】
30時間の移動の疲れを取りつつ、時差調整しつつ、気合もだんだん入ってくると思うんですけれど飛ばし過ぎずで、体の反応を出していって、動ける体でリオに入れるようにしていきたいと思います。
【内村選手】
まず長時間の移動で体がどうなるのか。そこで判断しようかなと思っているんですけれど、たぶん動けないだろうなと思っているので、まずサンパウロでしっかり体の調子を整えて、リオに入ってからいままで練習してきたことと同じぐらいのレベルにまで戻していければいいかなと思っています。
【加藤選手】
僕も時差調整と、体の調子を整えることをまず優先します。あとはロンドンの時は事前合宿だったり現地へ行ってから会場練習、ポディウム練習で、器具は同じメーカーでも感触がまったく違いました。ポディウムに乗ってしまえば苦労していた技が簡単にできたりなど、そういう微妙な差もあるので、そういうところを見極めながら、少し悪い体調でも通し練習をして、そういう流れをつかめればいいかなと思っています。
【白井選手】
僕はどんな試合の会場練習でも、やり過ぎてしまう癖があります。サンパウロで本番を行う訳ではないので、多少感覚がずれている技があっても、練習をやり過ぎないことに気をつけたいと思います。
Q:オリンピックでパワーの源として持っていくものは?
【白井選手】
大学の同期の男子から色紙をもらって、女子からは旗をもらって、すごくいろいろな仲間に支えられているなって出発前に思ったので、それを現地でも持っておきたいと思いますし、やはり支えられているなと実感するので、それは力の源だと思っています。
【内村選手】
僕は奥さんにもらった手作りのぬいぐるみというか人形です。熊が金メダルをかけているようなぬいぐるみなんですけれど、これを「一緒に戦ってますよ」っていう感じでつけてと言われたので、そんな感じでいくと思います(笑)。
Q:監督はどんな監督でしょうか?
【内村選手】
アテネオリンピックの団体金メダリストですので、団体戦において難しい部分というのを、すごく伝えてくれているなと思っています。一度団体の金メダルを取ったことがある人に、そういったことを言っていただけるというのは、すごくいい教えをもらっているんだなと思いますし、僕たちも同じところに立ちたいと思っているので、そこは団体の「金メダルバイブル」みたいなものを受け取ったような気がします。
練習の中でたくさんアドバイスをもらっていますが、チームの試技会などをやっている時に、チーム戦をやる上でローテーションが速くなったり長くなったりという部分があるので、そこは試合と同じようにやるというところは、すごくためになりました。あとは「本番でいかに同じことをできるか」ということを言われたので、皆すごくいい教えをもらったんじゃないかなと思っています。
Q:内村選手、3度目のオリンピックの位置づけは?集大成的なものはありますか?
【内村選手】
今回で終わりではないので、集大成ではないだろうなというのと、やはり団体の金メダルというのが一番近い状態で臨めるオリンピックだと思うので、確実に取りたい、それができるメンバーがそろっている、安心してできるオリンピック、だと思います。
Q:この選手のこの技が決まればより確実になるなというのは?
【内村選手】
チーム戦はみんなで協力してやるので、誰が欠けてもダメだし、この技というよりかは、全員一致団結して、いい演技ができる雰囲気をつくるというところが、一番大事だと思います。
Q:お父さんとして初めてのオリンピックですがその辺の心境は?
【内村選手】
最近、跳馬のルーティン的な格好を物まねされるので、かなり「この人は体操をやっている人なんだな」というのを、わかってきている年齢になってきたと思います。父親としてというよりか、「体操選手としてこういうことをやっています」ということを示していければいいかなと思っています。
Q:白井選手、新技3回転半、やりますか?
【白井選手】
現地に入ってからのコンディションもありますし、いま「やる、やらない」というのは到底言えることではないですけれど、日本で種目別大会のあとずっと調子を落とさずに飛べているという事実はあるので、前向きに考えていきたいなと思うんですが、「それが団体決勝に必要か」と言われるといまは「そうではない」と考えているので、団体決勝は優勝に近い方を選びたいなと思います。
Q:30時間のフライトをどうクリアにしていきますか?
【内村選手】
明日の午前中に飛行機に乗って、アメリカのダラスに朝着いて、それからダラスを夜の10時ぐらいに出て、サンパウロに9時ぐらいに着くんですけれど、最初のダラスまでは、寝られると思うんです。そこでしっかり寝て、ダラスに着いたらそこからは流れに身をまかすというか、どうなるかわからないので、それでいいじゃないかなと思います。無理矢理こうやった方がいいと言ってやってみるより、そうやって流れに身をまかすのが一番いいのかなと思っています。
Q:飛行機の中でストレッチとかやることは?
【内村選手】
考えていないです。いつもやらないので。いつもやらないし、だいたい寝ているので、寝られればいいですけれど、もともと飛行機が苦手なので、飛ぶ前に寝ちゃいたいというか、ぜんぶ寝ていたいです。
ダラスに着いてからは10時間以上あるので、ストレッチというよりか、トレーナーの方にケアをしてもらおうと思います。長時間飛行機に乗ると体がかたまってしまうので、そこを1回ほぐしてもらってから、また飛行機に乗ったら、あまり変わらない状態でサンパウロに着けるんじゃないかと思います。
【白井選手】
僕も航平さんと同じように、「長いフライトだからこうした方がいい」とあまり決めつけずに、移動で疲れるという概念を捨てて、長いフライトなので「移動を楽しむ」というぐらいの感じでいこうかなと思っています。1回行ったことがあるので、それほど心配していないです。
Q:田中選手、ロンドンではチームメートにお兄さんがいて3きょうだいでのオリンピックでしたが、今回1人で田中家を代表して出る心境は?
【田中選手】
「田中家代表」という訳ではないんですけれど、兄はリオを目指してやってきて最終選考まで出て、ロンドンから4人はメンバー変わらずで健三が入ったので、悔しい思いはあると思います。それも頭の隅に置いておきながら、自分は演技したいなと思っています。姉に関してはリオに来るということなので、向こうでそんなに会わないかもしれないですけれど、会った時は一言、二言、しゃべりたいなと思います。
Q:最近みなさん髪を切りましたか?心境は?
【山室選手】
数日前に切りました。だいたいみんな同じ時期に。今回長いこと行っているということで、それでみんないつもより短めにしていると思います。試合を迎える時に長くなくだらしなくないようにしてきたので、ふつうに頑張りたいなと思うのと、横を刈り上げている選手がいるので、現地でもたぶんそれを維持すると思うので、刈りたいなと思っています。
【田中選手】
NHK杯までは少し長めの髪型だったんですけれど、オリンピックに行くというところで、髪を短くして、見栄えを見られるとなると体線とかも見やすくするために、頭を小っちゃくということも少し考えました。そういう部分で横を少し刈って、上は刈れないので伸ばして、という心境です。
【内村選手】
今年からこの髪型でだいぶ浸透してきたので、あまり気合を入れた感じはないです。2週間後ぐらいに試合ですから、刈り上げている部分が伸びてくるはずなので、山室選手にお願いして、自前のバリカンを持ってこうと思っています(笑)。
【加藤選手】
僕は正直あまり短いのが好きではなくて、高校の時とかは頭髪検査で絶対に短くしなければいかなかったので、その時の嫌な思い出がよみがえります。でも、試合を想定するといつもより長くいますし、いままで同じぐらい長かった航平さんが短くなってしまったので、また周りの無言のプレッシャーなどもあって、結構短くしなければなと。それで気合も入ったので、結果よしとします。
【白井選手】
僕は凌平さんと逆で結構短い方が落ち着くので、かなり短めにしましたし、同期とか先輩からは「まぁ、ほぼ坊主だね」と言われたんですけれど、坊主も高校生の頃を思い出すといいかなと思ったので、期間も長いですしちょっと短めにしました。
Q:あらためて出発を前にした大会への抱負を
【山室選手】
いま出発前で体の状況がすごくいいので、あっちへ行ってからよりよいものを早い段階で作って、チームとしてもみんなでいいものを早い段階でつくって、ちょっと気が楽なぐらいで試合に臨んで、やるべきことをみんなでやれればいいかなと思います。その状況までしっかりと作り上げて、みんなで笑顔で帰ってこれたらなと思っています。
【田中選手】
ここまで自分の中で気負わず、まずは自分のことを考えて、調子を上げて来て、いい準備ができてきたと自分で思っています。代表経験を積み重ねて、団体金への思いというのは、すごく強くなっているんですけれど、それを一旦、まず平常心で自分の演技をして、チームにいい流れを作って、最後はみんなで胸を張って帰ってこれるような結果を残してきたいなと思います。
【内村選手】
団体の金メダルを取るために必要な準備は、5人ともやってきたし、これ以上はないというぐらいの練習を合宿でもやってこれたので、準備としては本当に万端だと思っています。あとはブラジルに入ってから、しっかり体の調子さえ整えば、間違いなくいい演技ができると思います。結果は気にしないで、練習と同じように楽しんで「繋いでいく演技」というのを大事にしてやっていければいいかなと思っています。
【加藤選手】
僕は現地入りしたら、自然と気持ちも上がって体も動いて、そういう経験がいつもなので、楽しみで仕方ありません。あとはみんながだんだん気持ちが上がっていって、団結力が生まれてくると思うので、それを試合で出し切りたいです。あとは治安が悪かったり病気などもあるので、そういうところだけに気をつけて、万端で試合に臨めれば、間違いなく結果はついてくると思います。
【白井選手】
これだけ厳しい代表選考を勝ち抜いてきて、間に大学の試合なども入ってきて、どんな状況でも試合ができる体はもう作っていると思います。初めてのオリンピックになりますが、どんな状況になってもどんな練習でも、あせらずに対応していければ、自然といい演技がオリンピックでできると思います。安心して、ここまで来て自分を含めた5人を信じて試合をするだけだと思っていますし、また唯一の学生として、練習以外も盛り上げていきたいなと思っています。