第70回全日本体操競技選手権大会 女子予選第2班
女子2班
第一ローテーション
野田咲くら選手(朝日生命)はゆかからスタート。3回ターン、座の2回ターン、足持ちターン等、いろんなバラエティのダンス系を組み込み、野田選手の得意な面をしっかりと押し出した構成。最終タンブリングで少し疲れた表情を見せたが、最後までアクロバットを決めきった。
同じくゆかでは大口真奈選手(大泉スワロー)14歳が目を惹く。「フワリ、フワリ」と2回目まで浮いていくような雄大な伸身ダブルでスタート。2回半ひねり+伸身前宙1回ひねり(D+C)、前方伸身2回ひねりは勢いあまって前へ大きく飛び出しながらジャンプで見せるスマートさ。そして最後に3回ひねりと、素晴らしい内容のアクロバットプラス、正確で高さのあるダンス系要素の実施と良い立ち姿勢でのダンス。若手ながら素晴らしい演技を披露する。東京オリンピック世代!
段違い平行棒では松村朱里選手(ジム・ネット体操教室)がフワリとシャポシニコワ1/2ひねり(ホルキナ)を見せるが、惜しくもシュタルダー1回ひねりからのギンガーで落下。終末技のムーンサルトをまとめる。落下があったものの、やはりシャポシニコワ系の技が入ると見栄えがする。日本の女子選手が世界と段違い平行棒で戦うには目指していかなければならない構成のスタートラインと言える。
第二ローテーション
平均台は松村泰葉選手(中京大学/中京ジムナスティッククラブ)緊張からか、序盤は少しふらつきが目立ったが、得意のキビキビとした動きでリズムをつかみ直し、2回半ひねりおりまでまとめる。松村選手からは今年も長い手足を生かした、力強い演技が期待できそう。
段違い平行棒では夏目侑香(武庫川女子大学)が棒間でのギンガーや2つ目の手離し技イエガーを雄大に決め、終末技のムーンサルトまで決めきる。
第三ローテーション
ゆか、岡田麻衣選手(戸田市スポーツセンター)。年齢のわりには大人っぽい曲だが、独特な振り付けで踊りこなす。1本目のロンダート~1回半ひねり~ロンダートバク転~2回半ひねりの組み合わせがハイライト。そしてなんと言っても今年の戸田のレオタード!!オレンジに黒のメッシュの袖が片腕。そしてなんと反対側はノースリーブ。毎年話題になる戸田市スポーツセンターのユニフォームだが、今年はさらに斬新なデザイン。この班には他に中路紫帆選手、矢田部清花選手が出場。
戸田市スポーツセンター矢田部選手の平均台。アクロバット、ダンス系共に一つ一つの技の着台を中国人選手のようなフォームでとても丁寧におさめる選手。かかえ込み前宙、羊とび、ロンダート+両足伸身宙返りなど、最後の屈伸ダブルまで丁寧に落ち着いた様子でこなした。平均台の演技台の後ろで自分が演技をしているかのような表情で見守り、演技が終わるととびきりの笑顔で選手を迎える豊島(旧姓菅原)リサコーチも印象的。
そのリサコーチと同じ世代でアトランタオリンピックチームメイトの岡崎(旧姓橋口)美穂コーチも中京大学、レジックスポーツのコーチとして選手に帯同している。こういった往年の元日本代表選手の姿をコーチとしてまた見られるのもファンにとっては嬉しいものではないでしょうか。
第四ローテーション
二宮さやか選手(ヴォラーレ体操クラブ)14歳のこちらも東京オリンピック世代。体幹から手先、足先までしっかりと意識の行き届いた身体の使い方をする選手。平均台で交差輪とびなどの難しいダンス系要素を丁寧に、かつ正確に決め、終末技の2回半ひねりでは勢いあまって前へ飛び出すほど。体線も美しく、思わず見ているこっちの背筋が伸びてしまうような体操を見せてくれている。
同じく平均台では今年大学4年生となった杉村美奈選手(国士舘大学)。前宙、2回ターン、片足伸身前宙+シソンヌ(D+A)、かかえ込み側宙、バク転スワン、交差ジャンプ+かかえ込み宙返り(C+C)、ジョンソン、2回半ひねり下りと、技を一つ一つ、淡々とこなす選手。
今年から日本体育大学へ進学した中村有美香選手。マロニー+1/2ひねり低棒移動(D+D)~フット飛び出し高棒移動、フット倒立1回ひねり+ギンガー(D+D)、ムーンサルト下り。とてもスイングが上手で倒立姿勢もきれいな選手。
平均台最後は再び大口真奈選手が目を惹く。前宙、バク転スワンなどアクロバットはまだ伸びしろがありそうな実施だが、メメルターン、交差輪とび、羊とびなどの難しい技でもおもいきりよくこなす。そして、前方の伸身前宙2回ひねりおりは技あり。思わず「うまいっ!」と言ってしまう実施。今後楽しみな選手。
そしてゆかでは戸田市スポーツセンターの中路紫帆選手が長身を生かした独特な雰囲気で会場の目を惹き、かつ、ダンス系、アクロバット共に正確な実施。しなやかに身体を動かす「ステキ」な選手。