2013スタンフォード大学海外合宿・対抗戦報告
■期日 2013年2月25日~3月5日
■場所 アメリカ/カリフォルニア州・スタンフォード大学
■参加者
コーチ:原田睦巳、土屋純、畠田好章、大川和行
選手:瀬島龍三、武田一志、久永将大、横山聖、綿崎啓太、金子健三、市瀬達貴、吉岡知紘
■現地での調整
2月25日の17時すぎに成田を出発し、目的地であるアメリカ/サンフランシスコのホテルに到着したのは、現地時間で13日の11時過ぎであった。事前の情報通りに非常に良い気候で、日中は車の中では汗ばむほどの気温であった。到着当日は、現地での生活のセットアップに1日を費やし、翌日からの練習に万全の態勢で臨めるようにコンディションを整えた。
2月26日はスタンフォード大学で10:30-12:00,14:30-18:00の二部練習を行った。選手たちは時差に悩まされることなく、3月2日の競技大会に向けて器具及び技の確認を行った。
2月27日は,スタンフォード大学で12:00-16:00の練習を行った。当初の予定では、二部練習を実施する予定であったが、女子チームがゆかフロアを優先的に移用する日に設定されていたため、こちらの練習が思うように実施できない可能性が生じたため時間を早めての一部練習への変更を余儀なくされた。練習の内容としては出場する種目の1本通しを行った。疲れや不慣れな器具の影響により,多少ミスが見られたが,実際に競技を行う器械・器具に慣れるために積極的に練習を行った。
2月28日はスタンフォード大学で10:00-12:00まで軽めの練習を行った。選手たちは軽くストレッチ・トレーニングを行い、明日の本会場練習に万全を期す準備を整えていた。
3月1日はスタンフォード大学で13:00-17:00まで練習を行った。選手たちは現地の生活にもようやく慣れ,本来の動きを取り戻した。試合の前日ということもあり,選手はそれぞれの課題を入念にチェックしていた。
■競技
3月2日:Collegiate Challenge競技大会(16:00会場入り 19:00試合開始 21:00試合終了)
出場大学が4大学、および我々大学生強化チームの計5チームで競技が行われた。我々は平行棒からのローテーションで競技を行った。以前までは12名のチーム登録、6名が演技を実施し、ベスト4の方式での競技であったが、今年度から12名のチーム登録、5名が演技を実施し、ベスト5の方式に変更され、誰も失敗のできない厳しい方式に変更がなされていた。
<平行棒>
1種目の緊張する中,1番目の演技者である綿崎啓太がいい演技を行い,流れを作った。続いて金子健三もまずまずの演技を行ったが,3番目に演技した武田一志が最初の棒下宙返りひねり倒立でバランスを崩してしまい落下するという痛恨のミスがあった。その後の吉岡知紘、横山 聖と良い演技を実施し74.800と高得点を獲得した。
<鉄棒>
1番の市瀬達貴が前半は良い演技であったが、アドラー1回ひねりで器具上落下のミスが出てしまった。その後は無難に演技を実施したが、痛い1番手のミスであった。次の綿崎啓太も良い演技であったが終末技で大きく前に動いてしまった。3番の吉川知紘も素晴らしい実施であったが、終末技で前に手をつくミス。なかなか本来の演技が実施できない中、続く武田一志、横山聖は非常に良い出来で71.550のチーム得点を獲得した。
<ゆか>
1番の久永将太は,非常に素晴らしい実施で終末技の着地も決め、素晴らしいトップバッターを務めた。2番の市瀬達貴も良い実施であったが、ラストでラインオーバーが出てしまった。3番の綿崎啓太は2コース目の終末技で転倒するミスで点数が伸ばせなかった。その後の金子健三、瀬島龍三とも素晴らしい演技でチームを盛り返してくれた。結果、74.150とまずまずのチーム得点であった。
<あん馬>
あん馬はなかなか調整がうまくいっていなかったが、市瀬達貴、武田一志、横山聖の3名は非常に良い実施であったが,4番の金子健三が観客の大きな歓声に惑わされたか、痛恨の落下。非常に厳しい環境ではあったが、メンタル的な課題を浮き彫りにした。残る、吉岡知紘は何とか踏ん張って演技を終え、70.200のチーム得点であった。
<つり輪>
1番の横山聖は無難に演技をまとめたが、2番の久永将太が素晴らしい実施であったが,終末技で後ろに転倒してしまうミス。流れができそうな状況であっただけに、悔やまれる失敗であった。その後の瀬島龍三,吉岡知紘,武田一志の3名とも非常に良い実施で74.150とまずまずの出来であった。
<跳馬>
ラスト種目の跳馬は,綿崎啓太,久永将太,市瀬達貴,瀬島龍三の4名は非常に良い実施であったが、最終演技者の金子健三が前に手をつくミスが出てしまった。チーム得点は74.000を獲得し,総合では438.850で2位のStanfordに約7 点差をつけて優勝した。
■総評
今回の遠征は、大学生(Under-21)の派遣としては5度目のスタンフォード大学への海外遠征となった。大学生強化選手は全員で12名の選手がいるが、先行順位の上位4名は昨年に行われたチャレンジャーカップ・チェコ大会に派遣をしており、加えて、アジア選手権に所属大学から許可されたメンバー3名が出場(中国開催であったため、情勢不安からの措置)、今回の遠征は上記以外の5名に加えて、先行順位の上位3名を加えた8名での遠征とであった。
競技会の総括としては、5月から始まる競技会シーズンの前ということもあり、まだ粗削りな感は受けたが、各所属での試技会ではなく、実際の競技会を行ったことで、本格的なシーズンを迎えるにあたり、良い導入ができたと感じている。加えて、海外での競技会ということで、環境・器械器具・言語・食事等、様々な変化の中で練習および競技会を行ったことは、今後の選手の競技力向上に確実に好影響を与えるものであると感じている。
アメリカの大学生と実際に競技会及び練習を経て感じるところとしては、技術面や体操競技の美しさにおいて、日本の選手は秀でていることを改めて感じることができたが、練習に対する体力面や筋力、瞬発力においては改めて差を実感した。根本的な人種の問題のみならず、練習前後のトレーニングや練習内容にも差が生じている可能性も否めず、より高難度化に傾斜している現在の採点規則の下で傷害なく練習を継続できることの有意差を真摯に受け止めなければならない時期に来たように感じた。
今回で5度目となったスタンフォードでの合宿において、常に快く我々を受け入れて頂き、今回は我々のスケジュールを考慮して競技会の時期を調整まで加えて頂いたスタンフォード大学男子体操機競技部監督のThom Glielmi氏、また様々な面でサポートをお願いしている中森翔氏に感謝を申し上げ、今遠征の報告とする。