2012フューチャー・カップ報告
派遣期日 2012年11月28日~12月3日(6日間)
場所 オーストリア・リンツ
●行動日程
11月27日(火)13:00集合 ナショナルトレーニングセンターにて合同合宿
11月28日(水)出発
11月29日(木)練習会場で器具慣らし・トレーニング
11月30日(金)本会場練習・補強・分習・通し練習
12月1日(土)開会式・試合
12月2日(日)出発
12月3日(月)帰国
●所感
この度のフューチャーカップは選抜選手が全員初参加ということで、入念にミーティングや練習を行って望むことになった。移動日はルート等を事前に確認してから行ったことと、飛行機が全て予定より早く着いた為、時間に余裕をもって移動を行うことができた。また時差対策を選手に周知して飛行機での睡眠時間等を調整していったため、ほぼ全員時差ボケになることなく日程を消化できた。
練習会場では器具にいち早く対応するため、基本練習を入念に行ってから試合の練習に取り掛かったため、器具の調整に苦戦した様子はなかった。ひとつ現地での変更点として、神本選手が出発2週間前に中指の付け根を骨折したため、天野選手をもともとカテゴリーⅢから繰り上げてカテゴリーⅡで出場するように準備を行っていたが、跳馬の高さの変更に苦戦していたことと、神本選手が驚異的に回復することができ、順調に練習を行っていたので現地でスタッフミーティングを行い当初の予定通りカテゴリーⅢに出場することにした。また練習後宿舎にて海外のコーチ、審判達と連日ミーティングを行い、様々な情報を得ることができた。
本会場練習では午前中に入念に器具との調整を行い、特にあん馬が練習会場の器具と形が違い苦戦することになった。そして跳馬も陸上トラックの上に助走路が置かれていて、助走や踏切の違いを合わすのに時間をかけ調整した。午後の通し練習では試合を想定して審判席に向かって挨拶を行い、ローテ順も試合通り行うことで、試合と同じ景色での練習を行った。また審判席から通し練習をビデオ撮影し、夜のミーティングで審判席から見える自分の演技の確認をして少しでもEスコアの向上に努めた。
試合当日、午前中は練習会場も使用出来なかったので、本会場のスペースを使用してザリを行った。またスタッフで午前中の試合を視察し、得点の傾向や周りのレベルを確認した。内容はDスコアの認定はほぼルール通り行われていて、印象的だったのは下り技の認定は厳しく多くの選手が認定を受けていなかった。Eスコアは白黒がはっきりしていて、実施の良いものには点数出していて、悪いものには抑えた点数と全体的に良い採点がされているように感じた。
競技は鉄棒から開始し、国際初挑戦の緊張からかやや演技が固くなりミスが多くなったが、中半から日本選手が演技する度に歓声と拍手が流れ、よいムードで演技を行うことができた。またキャプテンの府殿がチームを牽引して、選手達が声を掛け合い鼓舞しながら試合を行った日本のチームワークは素晴らしかった。
結果としては見事日本は団体優勝を成し遂げ、府殿はカテゴリーⅠで3位、神本はカテゴリーⅡで準優勝、カテゴリーⅢでは天野4位、小学生の石澤は大健闘の3位となった。
スピース製の非常に不慣れな器具ながら選手達は本当に一生懸命練習を積み重ね、また神本を除く3名は直前まで日韓合宿に参加し、神本も出発2週間前に骨折という最悪の事態から選手、スタッフの皆があきらめずに最後まで努力を尽くした結果が今回の団体優勝に繋がったと思われる。
今後の課題として、今回は惜しくも個人総合は無冠に終わったことがあげられ、会場練習から試合まで視察を行ったが、他国の強化が進んできていることを実感した。また、他国の先生達とミーティングでは日本チームを大変評価して頂き、態度、礼儀、挨拶、チームワーク、フェアプレー精神、基本技術、これらはジュニアナショナル強化で一貫して教育しているもので、他国の先生から高い評価を得ることができた。また、これらは所属の先生方の常日頃の指導の賜物であるといえる。印象的だった事柄として、海外の試合ながら選手達は非常に大きな声で挨拶を行っていて演技前の整列後に審判に問いかけられ、何と言っているのか、どういう意味かと質問を受け説明をすると審判席の皆が選手達へ拍手を送ってくれた。試合終了後のレセプションでも多くの関連した質問を受け、日本の選手への教育を持ち帰ってやらせたいと多くの先生がおっしゃってくれた。
団体優勝という結果以上に試合を通して日ノ丸を背負って試合を行う重みや礼儀、態度を教育し、海外の選手とのコミュニケーションをとり影響を受け合い選手達は素晴らしい経験を得ることができた。このような素晴らしい経験を与えて下さり、サポートして頂いた日本体操協会のみなさまに感謝をし、所感とさせていただきます。
提供 フューチャーカップ組織委員会
提供 フューチャーカップ組織委員会