ロシアジュニア国際報告
■期間:2012年6月21~24日
団体決勝・個人総合決勝・種目別予選(22日)、種目別決勝(23日)
■場所:ロシア・ペンザ スポーツコンプレック Burtasy
■監督:水口晴雄(ジュニア強化部員・鶴見ジュニア体操クラブ)
■審判員:森直樹(審判委員会男子体操競技部部員)
■選手:白井健三(鶴見ジュニア体操クラブ)、湯浅賢哉(同)
■参加国数:12カ国
■参加人数:男子35名、女子31名
■大会概要
ロシアのペンザで2012ロシアジュニア国際「オリンピックホープス」が開催され、日本からは男子3名をエントリーしていたが、今年の全国高校選抜チャンピオンである川本稜馬選手(鯖江高)は、ロシア出発前日に北信越大会で負傷し、ロシア行きを断念することとなった。
■大会レポート
宿舎と試合会場がひとつの大きな建物となっており、外観からは大きな試合会場があると思えない。ポディウムが組まれた素晴らしい会場(40m×80m)であった。しかも、宿泊している部屋から試合会場アリーナまで徒歩30秒という便利さであった。
【団体・個人総合決勝、種目別予選】
【第1ローテーション】ゆか
(湯浅)後方かかえ込み2回宙返り、後方宙返り5/2ひねり、側方宙返り1回ひねり、伸腕屈身倒立、脚上挙支持、前方宙返り1回ひねり~前方宙返り1/2ひねり、後方宙返り2回ひねり。着地を止めるためにDスコアを少し下げ、素晴らしい演技であったが、タイムを知らせる音が聞こえずタイム減点をされた。[D:4.7 E:9.00 タイム-0.3 得点13.40]
(白井)後方宙返り4回ひねり、後方宙返り5/2ひねり~前方宙返り2回ひねり、側方宙返り1回ひねり、十字倒立、後方宙返り3/2ひねり~前方宙返り5/2ひねり、テンポ宙返り~後方宙返り3回ひねり。着地もかなりまとめることが出来、会心の演技であった。後方宙返り4回ひねりの際には会場からどよめきが起こり、演技終了と同時に凄い拍手喝采となった。[D:6.1 E:9.20 得点15.30]
【第2ローテーション】あん馬
(白井)正交差、Eフロップ、マジャール移動、シバド移動、一把手旋回、下向き転向、DSB、DSA倒立下り(途中で止まり技不認定)。下向き転向のあたりから何度かバランスをくずしそうになり、最後の下り技で失敗したしまった。[D:4.0 E:7.5 得点11.50]
(湯浅)逆交差、Eフロップ、マジャール移動、シバド移動、一把手旋回、下向き転向、下向き逆移動倒立下り。最初から最後まで自分のリズムで演技が出来た。[D:4.7 E:9.00 得点13.70]
【第3ローテーション】つり輪
(湯浅)け上がり十字懸垂、ほん転逆上がり倒立、ヤマワキ、ホンマ、開脚前挙支持、伸腕屈身力倒立、後方車輪、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり下り。無難に演技したが、ヤマワキで前日痛めた肩が悪化してしまった。[D:4.4 E:8.80 得点13.20]
(白井)後ろ振り上がり開脚水平支持、ほん転逆上がり倒立、前方車輪倒立、ジョナサン、ヤマワキ、ホンマ、屈腕伸身力倒立、後方かかえ込み2回宙返り3/2ひねり下り。まずまずの出来であった。[D:4.9 E:8.40 得点13.30]
【第4ローテーション】跳 馬
(湯浅)かかえ込みカサマツとび。つり輪で悪化した肩痛のため腕を振ることが出来ず3分アップをせずにアイシングを行った。そして演技を行ったが、突き手が十分に出来ずにかかえ込み姿勢になってしまった。[D:4.6 E:8.65 得点13.25]
(白井)1本目はシューフェルト。着地半歩。非常に良い跳越であった。[D:6.6 E:9.45 得点16.05]種目別のための2本目は伸身カサマツとび。着地半歩。[D:5.4 E:9.30 得点14.70]
【第5ローテーション】平行棒
(白井)棒下振り出し腕支持、ホンマ、後方車輪倒立、モイ、ティッペルト、前振りひねり倒立、ディアミドフ、後方屈身2回宙返り下り。大過失はなかったが、倒立姿勢が不安定で高得点を得られなかった。[D:5.0 E:8.10 得点13.10]
(湯浅)跳馬同様3分アップをせずにアイシングを続け、出番を待った。開始技の棒下振り出し腕支持で姿勢を保持することが出来なかったため、演技続行不可能と判断し、やむを得ずリタイア。
【第6ローテーション】鉄棒
(白井)アドラー、伸身イェーガー、シュタルダー、シュタルダーひねり片大逆手、前方車輪1回ひねり片大逆手、エンドー、エンドーひねり倒立、後方伸身2回宙返り2回ひねり下り。着地1歩。良い実施であった。[D:4.6 E:8.80 得点13.40]
出発前に川本が怪我し、試合中に湯浅が負傷してしまうというアクシデントの連続のため、団体金メダルを取ることが出来なかったことに責任を痛感している。しかしながら、白井があん馬では痛恨のミスをしたものの、ゆかと跳馬で高得点を連発し、個人総合金メダルを取ってくれたことで日本の強さを見せられたと思う。
団体総合・個人総合結果
団体総合 9位
個人総合 優勝 白井
種目別予選通過順位
ゆか 1位白井 4位湯浅
あん馬 1位湯浅
つり輪 5位白井 6位湯浅
跳馬 1位白井
平行棒 3位白井
鉄棒 2位白井
【種目別決勝】
男女同時進行で行われた。(男子ゆか、あん馬-女子跳馬、つり輪-段違い平行棒、男子跳馬-平均台、平行棒-女子ゆか、鉄棒の順)
湯浅は、予選1位のあん馬だけでも出たいということで、試合直前までアイシングをして肩の回復を図ったが、痛みが収まらず棄権した。
【ゆか】
(白井)後方宙返り4回ひねり、後方宙返り5/2ひねり~前方宙返り2回ひねり、側方宙返り1回ひねり、十字倒立、後方宙返り3/2ひねり~前方宙返り5/2ひねり、テンポ宙返り~後方宙返り3回ひねり。予選と比べると着地が動き、何とか乗り切ったという演技であったが、他の選手とのレベル差が大きかったので圧勝した。個人総合に続き2個目の金メダル獲得。[D:6.1 E:9.00 得点15.10]
【つり輪】
(白井)後ろ振り上がり開脚水平支持(身体が揺れてしまい技不認定)、ほん転逆上がり倒立、前方車輪倒立、ジョナサン、ヤマワキ、ホンマ、屈腕屈身力倒立、後方かかえ込み2回宙返り3/2ひねり下り。力技の失敗により7位に終わった。[D:4.1 E:8.40 得点12.50]
【跳馬】
(白井)1本目はシューフェルト。着地半歩。まずまず良い跳越であった。[D:6.6 E:9.30 得点15.90]2本目はアカピアン。跳越が低くなったが、何とか成功した。[D:6.2 E:9.00 得点15.20] 跳馬も強さを見せつけ、3個目の金メダルを獲得した。
【平行棒】
(白井)棒下振り出し腕支持、ホンマ、後方車輪倒立、モイ、ティッペルト、前振りひねり倒立、後方屈身2回宙返り下り。予選で良くなかったディアミドフを抜いて演技したが、あまり良い演技ではなかった。しかし何とか銀メダル獲得。[D:4.8 E:8.35 得点13.15]
【鉄 棒】
(白井)アドラー、伸身イェーガー、シュタルダー、シュタルダーひねり片大逆手、前方車輪1回ひねり片大逆手、エンドー、エンドーひねり倒立、後方伸身2回宙返り2回ひねり下り。着地軽く跳ねる。まずまずの演技であった。優勝候補のロシア選手はグループⅢの技がなく、点数が低くなり、白井がセルビア選手と同点優勝。今大会の最後を4個目の金メダルで飾った。[D:4.6 E:8.45 得点13.05]
種目別決勝結果
ゆか 優勝 白井(15.10)
つり輪 7位 白井(12.50)
跳馬 優勝 白井(15.55)
平行棒 2位 白井(13.15)
鉄棒 優勝 白井(13.05)
【総評】
選手の怪我等で団体戦金メダルを獲得出来なかったことが最大の反省点である。しかしながら、白井健三が個人総合、ゆか、跳馬、鉄棒で金メダルを獲得したことは賞賛に値すると思う。今回の選手たちが将来日本代表選手として金メダルを取ってくれることを楽しみにしたい。この遠征で得たことを日本体操の更なる発展のために寄与できるようにしていきたいと思う。
結果