2012スタンフォードオープン報告

報告者:

1.期日 2012年2月13日(月)~2月21日(火)
2.場所 アメリカ/サンフランシスコ州・スタンフォード
3.参加者
<コーチ>原田睦巳(大学生強化部長・順天堂大学)、斉藤卓(大学生強化部員・筑波大学)、鈴木良太(大学生強化部員・仙台大学)、大川和行(アンチドーピング医科学委員会委員)
<選手>大槻匠吾(順天堂大学)、安田康平(福岡大学)、遠藤正紘(筑波大学)、吉岡知紘(順天堂大学)、長野託也(日本大学)、小山仁寛(鹿屋体育大学)、吉本日月(仙台大学)
4.報告
<2月13日>17時すぎに成田を出発し、目的地であるアメリカ/サンフランシスコのホテルに到着したのは、現地時間で13日の11時過ぎであった。事前の情報では気温はあまり低くないとのことであったが、空港到着時は雨のため肌寒い気温であった。また、出発の前日に日本大学所属の川崎が両肘脱臼のアクシデントに見舞われ、スタッフ4名、選手7名での出発となった。
<2月14日>スタンフォード大学で10:00-11:30,14:30-18:00の二部練習を行った。選手たちは時差に悩まされることなく、18日の対抗戦に向けて器具及び技の確認を行った。
<2月15日>スタンフォード大学で10:00-11:00,13:30-17:00の二部練習を行った。選手は試合に出場する種目の1本通しを行った。疲れや不慣れな器具の影響により,多少ミスが見られたが,実際に競技を行う器械・器具に慣れるために積極的に練習を行った。
<2月16日>スタンフォード大学で10:00-12:00まで軽めの練習を行った。選手たちは軽くストレッチ・トレーニングを行い、明日の本会場練習に万全を期す準備を整えていた。
<2月17日>スタンフォード大学で12:30-16:00まで練習を行った。選手たちは現地の生活にもようやく慣れ,本来の動きを取り戻した。試合の前日ということもあり,選手はそれぞれの課題を入念にチェックしていた。
<2月18日:競技報告>
16:30会場入り 19:00試合開始 21:00試合終了
競技は,まず,前半3種目をローテーションしてから,後半の3種目をローテーションする形式で行われた。
<つり輪>
1種目の緊張する中,1番目の演技者である吉本日月がいい演技を行い,流れを作った。続いて遠藤正紘もまずまずの演技を行ったが,3番目に演技した吉岡知紘が着地で後に転んで痛恨のミスがあった。その後は大槻匠吾,長野託也,小山仁寛と無難にまとめ,59.00と高得点を獲得した。
<ゆか>
ゆかは,吉川知紘,遠藤正紘,小山仁寛,長野託也,吉本日月,大槻匠吾が演技を行った。小山仁寛が終末技で手をついてしまったが,その他は非常に良い出来で60.10の高得点を獲得した。
<あん馬>
あん馬は,器具に慣れることが出来ず,調整に苦労していたが,やはり,失敗が重なってしまった。1番手の安田康平は,最初のリーニンでスムーズに上がらず難度不認定になり,その後のEフロップも出来ず,価値点を大きく下げた実施となった。2番手の遠藤正紘も前とび移動で落下した。3番手の吉岡知紘は非常に良い出来で高得点を獲得したが,4番手の小山仁寛は下りの前で落下した。そして5番手の吉本日月は無難に通したが6番手の大槻匠吾はリーニンでミスしてしまい,落下こそなかったもののEスコアがあまり伸びずに合計57.00と課題を残す結果となった。
<鉄棒>
鉄棒は,遠藤正紘,安田康平と無難に通したが,3番手の吉本日月が下りの伸身新月面で前転する失敗。その後は吉岡知紘,長野託也,大槻匠吾と見事な演技を行い,60.30の高得点を獲得した。
<跳馬>
跳馬は遠藤正紘,小山仁寛,安田康平,長野託也,吉岡知紘の5名が演技した。5名とも着地までまとめて58.50とまずまずの出来であった。跳馬はNCAAルールにより,1点分価値点が低く設定されていた。
<平行棒>
ラスト種目の平行棒は,遠藤正紘,安田康平,小山仁寛,吉岡知紘,吉本日月,大槻匠吾が演技を行った。全員ミスなく演技し,59.80を獲得し,総合では354.70で2位のCalBerkeleyに約10点差をつけて優勝した。
5.総評
 今回の遠征は、大学生(Under-21)の派遣としては4度目の海外遠征となった。大学生強化選手は全員で13名の選手がいるが、先行順位の上位5名は昨年に行われたチャレンジャーカップ・スロベニア大会及びチェコ大会に派遣をしており、今回の遠征は上記以外の8名での遠征となる予定であった。しかし、先に述べたように川崎大輔(日本大学)の出発直前の負傷のため、急遽7名での派遣となり、出場種目やオーダーの変更を余儀なくされた。
 競技会の総括としては、4月から始まる競技会シーズンの前ということもあり、まだ粗削りな感は受けたが、各所属での試技会ではなく、実際の競技会を行ったことで、本格的なシーズンを迎えるにあたり、良い導入ができたと感じている。加えて、海外での競技会ということで、環境・器械器具・言語・食事等、様々な変化の中で練習および競技会を行ったことは、今後の選手の競技力向上に確実に好影響を与えるものであると感じている。
 アメリカの大学生と実際に競技会及び練習を経て感じるところとしては、技術面や体操競技の美しさにおいて、日本の選手は秀でていることを改めて感じることができたが、あん馬においてはアメリカ選手の旋回力・旋回のスピードは我々も学ぶべき点であろう。
 今回で4度目となったスタンフォードでの合宿において、常に快く我々を受け入れていただいているスタンフォード大学男子体操機競技部監督のThomGlielmi氏、また様々な面でサポートをお願いしている中森翔氏に感謝を申し上げ、今遠征の報告とする。