2011世界体操選手権女子予選第10班レポート

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決勝進出、五輪団体出場権獲得を目指す日本女子が最終班にいよいよ登場。平均台からのスタートであった。この種目を無事乗り切れば残る種目で楽に戦える。そんな中の演技開始はまず新竹。滅多に落下することのない新竹であるが、さすがに緊張感を隠せず、ふらつく箇所が2か所あった。しかし、大過失なく無事演技を終え、13.933とまずまずのスタート。五輪出場確実となるラインの目安、オーストラリアを上回るには13.9という平均点でいいのだが、その基準でいえば文句ない。続く寺本。2回ターンを決めた後、にっこりと笑顔が出て、落ち着きを感じさせ、その後、オノディ~後転とび~後方開脚宙もピタリと決めた。その後も全く不安な箇所がなく、14.366という高得点を出した。その後の田中はウルフとび、オノディ、交差とび半ひねりでふらつきが出てしまい、不安定な演技となってしまったが、Eスコアで8.1をキープ。その後、美濃部はロンダード~伸身宙をピタリと決めたが、開脚前宙と片足水平ターンでバランスを僅かに崩すシーンがあった。しかし、Eスコアは8.533をキープして13.933。そして最後は鶴見。開脚前宙の後やオノディの後の連続は続かなかったが、ふらつきを出さない演技で寺本に続く14点台となる14.266をマーク。チームトータルは56.498。目標の55.600を約0.9上回った。
ゆかは新竹が最後の屈身でラインオーバーとなるミスを出したが、13.366と何とか踏みとどまった。しかし、美濃部が目立ったミスがなかったもののEスコアが伸びず13.033。鶴見は後方2回半~伸身前宙の一本目で最近苦しんでいたが、今日はそれをきれいに決めた。その後の前方2回ひねり~鹿とびではやや歪みが出たものの、最後の屈身ダブルをピタリと決めて、日本選手最高の13.666をマークした。4人目の田中は一本目の伸身前宙2回ひねり~伸身前宙半ひねりでラインオーバーとなるミスを出したものの、その後は落ち着いた演技で13.400。最後の飯塚も一本目の月面でラインオーバー。結局ラインオーバーが3人出るということになってしまい、得点を伸ばしきれなかった。この段階で53.598。平均台とは対照的に目標より2点近く目標を下回った。
続く跳馬で予期せぬアクシデント。跳馬得意の飯塚がアップの際に、ロンダードに入るのをやめて、そのままロイター板に向かって転んでしまい、そしてそのまま立ち上がれなくなって車椅子で退場。跳馬のポイントゲッターだけに日本にとっては大きな打撃。その代りに寺本が急きょ演技をすることになった。
チームに暗雲が立ち込める中、一人目の新竹は落ち着いて演技をしてユルチェンコ1回ひねりで13.500をマーク。美濃部は同じユルチェンコ1回ひねりであったが13.333。鶴見はユルチェンコ1回ひねりで後ろに一歩動いて13.500。そして田中はいつも通りの雄大な演技でユルチェンコ1回半を決めて13.966。最後はアップなしの演技となった寺本。しかし、見事にユルチェンコ1回半を決めて、窮地に立たされた日本を救う演技をした。トータルは54.932と予定通りには稼げなかったが、得意種目の段違い平行棒での巻き返しに向けて、何とかキープできている位置につけた。この段階で日本は同じ組のイギリスに負けている状態。合計点は165.028。イギリスを上回れずとも五輪決定圏内になるには7位のイタリアを上回る必要があるが、それには54.550が最終の段違い平行棒で必要となった。
そして最終種目。本当の意味でノーミスの演技をしないと五輪出場は見えない。そんな中でスタートした新竹は全く危なげない演技。そして前宙ダブルが見事にピタリと止まって14.233と最高のスタート。続く田中はシャポシュニコワから続く連続もきれいにきめて、これまた伸身ダブルをピタリと決めて14.466。更に今年のユニバで優勝した美濃部も不安な箇所であった終末技の前宙ダブルもうまくまとめて14.433。ここまでの点数で、イタリアを上回るには12点で十分となる中、鶴見は2009年の銀メダリストの実力を如何なく発揮し、今年から構成している片手軸1回ひねりの連続~イエーガーという高難度の組み合わせも見事に決めて、14.933と種目別3位となる得点をマーク。この段階で日本は五輪団体出場権獲得!!更に最後の演技者の寺本は今日の調子のよさ、本番での強さを見せて、閉脚シュタルダー系の組み合わせでDスコアを稼いで14.683。寺本も種目別決勝で8位に残る得点をマークした。
この結果、段違い平行棒の抜群の58.515は団体種目別得点としてもロシアに続く2位の得点となり、一気にオーストラリアまで上回ることとなり、223.543で5位に入った。決勝でもこのままの勢いで、目標と掲げたメダルに向かってほしい。
また、同じ組のイギリスも8位で出場権を獲得。更に、選手席から緊張の面持ちで結果を待っていたドイツも7位に入り、同じく出場権を獲得した。
予選結果
1位 アメリカ 234.253
2位 ロシア 231.062
3位 中国 230.370
4位 ルーマニア 227.228
5位 日本 223.543
6位 オーストラリア 221.846
7位 ドイツ 221.163
8位 イギリス 220.553
(以上が五輪団体出場権獲得)
9位 イタリア 219.578
10位 フランス 216.827
11位 カナダ 215.328
12位 スペイン 214.028
13位 オランダ 212.828
14位 ブラジル 212.497
15位 韓国 211.930
16位 ベルギー 208.828
(以上が五輪テストイベント出場。残り4枠を争う)