2011世界体操選手権女子予選第8班レポート

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前回優勝のロシアがアメリカの高得点を見て登場。期待の選手が多いだけに大いに注目されたが、最初の段違い平行棒でさすがの構成を見せた。最後のAFANASYEVA以外が閉脚シュタルダー系を入れてきて、組み合わせでかなり加点を稼いだ。その中で昨年のユース五輪チャンピオンのKOMOVAが閉脚シュタルダーからのシャポシュニコワという新技を見せ、更にそこからパク宙返りに繋げた後、今度は閉脚シュタルダーからのシャポシュニコワ半ひねりを決めた。その後も閉脚シュタルダー半ひねりから伸身イエーガーなど、圧倒的な構成を見せてDスコアを6.7として15.733をマーク。ダントツの得点を出した。NABIEVAは昨年見せた伸身トカチェフは実施せず、その代り閉脚シュタルダー1回ひねり~マロニーを繋げるなど、構成を変えたがそれでもDスコアは6.4で14.883を出した。チーム得点も58.899とかなり得点を稼いだ。
平均台ではAFANASYEVA、DEMENTYEVAと落下間際となるふらつきを複数回見せるなど、非常に不安定な演技となり、点数を落としてしまった。しかし、KOMOVAは後転とび~後方開脚宙連続と今では珍しいシリーズを決めて、更には片足水平上げターン~開脚前宙~羊とび、2回ターンを決めた。前宙やアラビアンでも高い位置の着地で格の違いを見せつけこの種目でも15.400と高得点をマークした。
ゆかでもKOMOVAが場内を魅了した。一本目は後方一回半~ロンダード~後転とび~アラビアンダブルとしたがラインオーバー。しかし、ここから盛り上がり、3回ひねりをピタリと止めて、更に足上げ2回ターンもかなり軸が取れた美しい実施であった。得点は14.491であったが、場内の盛り上がりは歓声よりも感心という雰囲気のもので注目度の高さを物語っていた。しかし、BELOKOBYLSKAYAは最後のかかえ込みダブルをピタリと止めて14.133を出し、INSHINAはテンポ~アラビアンダブルを決めたが得点を伸ばせなかった。AFANASYEVAは昨年はゆかで強さを見せていたが、今年に入ってから終末技の屈身ダブルで苦しんでいるが、今回も着地が低く、前に大きく一歩動いてしまった。そして最後のDEMENCHEVAは一本目で2回半~伸身前宙にいくところで蹴りが合わずに宙返りの途中で手を着いてしまい、最後の屈身ダブルもしりもちを着いてしまった。チーム得点としてはこの種目でアメリカに差を開けられた。
最後の跳馬はBELOKOBYLSKAYAがユルチェンコ1回ひねり、DEMENTYEVAはポディウム練習から成功してなかった2回ひねりをやめて1回ひねりに抑えてきた。そして、AFANASYEVA、KOMOVA、NABIEVAはユルチェンコ2回ひねりを見せ、NABIEVAは2本目にポドコパエワで着地を止めた。KOMOVA、NABIEVA共にアマナールまで出来るだけに残念なところであろう。そして、チーム得点は231.062として、この種目で得点を伸ばしたアメリカに対しては、最終のこの種目で引き離された形となり、3.191差で2位となった。しかし、KOMOVAが個人総合予選ではWIEBERを上回り、60.157でトップに立った。
スイスは、ゆかではノーミスで演技したが、一人だけ13点台という得点で、得点は伸ばせなかったがまずまずのスタートを切った。跳馬はSTEIGRUBERが前転とび前方屈身1回半という大技を決め、2本目がツカハラ1回ひねりで種目別順位でも4位につけた。世界選手権前に引退したKAESLINという跳馬の名手がいたが、その伝統を受け継ぐ選手といえよう。段違い平行棒は2名落下、価値点も高くなく、この種目でも得点が伸びず、最後の平均台はふらつきが多かったが、落下はその中でなるべく出さないような粘りを見せて、減点を抑えようとはしていた。合計点ではメキシコに僅差で劣って13位となり、五輪テストイベント枠16位も微妙になった。