2011世界体操選手権女子予選第7班レポート

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前回の雪辱を果たしたいアメリカが平均台からのスタート。一人目のMARONEYがカデット半ひねり(D難度)で大きくふらついて減点を出してしまったが、今年の全米チャンピオンのWIEBERがスタンド宙返り1回ひねり~後転とびを見事に決めて、更に終末技の後転とび連続~後方2回半ひねりをピタリと決めて15.233(D6.2)をマーク、さらにRAISMANもほぼノーミスで14.933を出すなど、トップ4はほぼノーミスといえる内容で、中国には及ばないものの、平均台でまずまずの合計点を出した。
続くゆかは得意種目。WIEBERはかかえ込み新月面、後方1回半~後方3回ひねりを決めたが、3本目の2回半~前方伸身宙で膝が曲がってしまい、14.566(D6.0)。MARONEYは非常に高い、そして軸のとれた後方3回半ひねりを披露したが、後方1回半~かかえ込みダブルでラインオーバーをしてしまい、14点台に乗らず。そして、最後の演技者のRAISMANは一本目に後方1回半~ロンダード~後転とび~アラビアンダブル~前宙という驚異的なシリーズを決めて、更に2本目も屈身アラビアンダブル~前後開脚ジャンプと繋げて抜群の構成を見せた。そして得点は14.833(D6.2)としてゆかの種目別得点でトップに立った。全体的には小さなミスが重なったが、ゆかではチーム得点としては最高得点の57.132をマークした。
跳馬では一人目のVEGAこそユルチェンコ1回半ひねりであったが、その後はユルチェンコ2回ひねりが2人、ユルチェンコ2回半ひねり(アマナール)が2人と他国にはないものとなった。特にWIEBERはポディウム練習では苦しんでいたが、見事にアマナールを決め、MARONEYはゆか同様に軸、高さともにダントツの質を誇るアマナールを決めて15.533(D6.5)、更に2本目も伸身ポドコパエワを決めて、種目別得点でトップに立った。更にチーム得点は驚異の60点越えで60.190とした。
最後の種目は段違い平行棒。RAISMANは低棒とび越し半ひねり倒立で前にバランスを崩したが14.000をマーク。その後はノーミスの演技を続けて、WIEBERはシャポシュニコワ~振り上がり倒立1回ひねり~低棒とび越し半ひねり倒立~レイと続ける素晴らしい構成で14.800を出し、更に最後のDOUGLASは閉脚シュタルダー~閉脚シュタルダー1回ひねり~トカチェフ~パク宙返りと続け、トカチェフの実施がかなり雄大で観客を沸かせた。このDOUGLASの得点が14.866(D6.4)となり、チーム得点は234.253で中国を大きく引き離してトップに立った。更に個人総合はWIEBERが60点越えの60.032となり、中国のYANGを上回ってトップになった。
日本との争いになるであろうと思われたブラジルは、スタート種目段違い平行棒で、ゆかで有名なDOS SANTOSが1番手で登場。大逆手からのイエガー、ホップターン~トカチェフを成功させ、大逆手からの前方2回宙返り下り。うまくまとめる。
2番手のDOMINGUESもミスの無い演技で伸身2回宙返りの着地までまとめる。
3番手のFERNANDES BARBOSAが大逆手イエガーの後停滞するミスを出したが、4番手KUROIWA、最終演技者MATIAS HYPOLITOが無難にまとめ、ベスト4としてはミスの無い演技でチーム得点を確保した。全体的にDスコアが低く、高い得点には至らなかった。
平均台は1番手DOMINGUESが途中後方かかえこみ宙返りでおおきくバランスを崩したが落下には至らず、トップバッターとしてはまずまずの演技。続く選手たちも、4番手のFERNANDES BARBOSAが入り技のロンダートからの後方伸身宙返り上がりで大きくぐらついたが落下には至らず、全選手が大過失なしでこの種目を終了した。ただ、宙返り技などは高さがあり迫力があるのだが、ジャンプやターンなど柔軟性に欠ける半端な実施が目立っていた。
ゆかでは2人がかかえこみ月面、2人が伸身2回宙返りで入るなど全選手ともバネの強さを感じさせるタンブリング、表情豊かな演技を披露した。最終演技者DOS SANTOSは非常に完成度の高い伸身月面(1回目の宙返りで1回ひねるタイプ)で入り、さらに後ろとびひねり前方屈身2回宙返り、屈身2回宙返りを行い、終末に伸身2回宙返りを行うという圧巻の演技を見せた。後ろとびひねり前方屈身2回宙返りの着地で大きく前に動いてしまったのが惜しまれる。ただ、平均台同様、開脚ジャンプなど体操系の技において柔軟性に欠ける印象が残ったのは否めない。
跳馬ではチーム得点に関わる跳越では伸身ユルチェンコ1回ひねりが1人、1回半ひねりが3人、最終演技者のFERNANDESが2回ひねりだった。1番手のDOMINGUESが1回半ひねりでしりもちをついてしまったが、他の選手は無難にまとめた。また、MATIAS HYPOLITOとFERNANDES BARBOSAが2本目を跳び2人とも後ろとびひねり前転とび前方屈身宙返りひねりだった。
ブラジルは現時点で8位、さらにロシアはじめ強豪国が残っているので決勝進出は厳しい状況であると言えよう。
ドイツは、ゆかは高難度の技をやっていなかったが、最低限必要なものが構成されて、それを正確に実施し、得点は維持できた。跳馬はCHUSOVITINAが前転とび前方伸身1回半ひねりで15.166をマーク、そして2本目の伸身ツカハラ1回半ひねりの着地を止めて14.833の平均点として種目別2位の得点。他の選手はSEITZがユルチェンコ2回ひねりでまとめて14.633をマークするなど、チーム得点では3位となる高得点をマークして波に乗った。更に段違い平行棒では、ミスを出さず、減点の少ない演技を行い、最終演技者のSEITZはマロニー1回ひねりとギンガー1回ひねり(フリスタキエバ)を見事に決めて14.433をマークした。最後の平均台は落下なく全員がノーミスの演技で、苦手種目を無事乗り切り。結果的に第3班で演技を終えているオーストラリアに肉薄する221.163をマークして5位につけた。やはりこの辺りが8位争いの目安とある点数となるであろう。