第44回全日本社会人大会男女1部レポート

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 9月2日、山形・酒田市国体記念体育館にて第44回全日本社会人体操競技選手権大会男女1部が開催され、男子は団体でKONAMIが、個人で田中和仁(徳洲会体操クラブ)が優勝した。女子は個人で田中理恵(日本体育大学大学院)が優勝。団体は1チームの出場だった朝日生命が全日本団体総合予選の成績でみると、インカレ覇者日本体育大学(256.400)、全日本ジュニア覇者京都ジャンピング体操クラブ(252.850)につぐ、団体得点252.400を獲得した。
 男子は2つの班に分かれ、6チーム、70名が出場した。最初の班では会場半分ほど観客の中、近くの幼稚園児が集団で一部のブロックを埋め尽くし、宙返りやひねりを行うたびに歓声が沸いた。そして1班終了時点、太田晃輔(KONAMI)が、鉄棒の「アドラーひねり~デフ」で落下の大過失を出したものの、他の種目で堅実な演技を続け、84.350を獲得してトップに立った。
 男子2班は、世界チャンピオンの内村航平(KONAMI)が出場するとあり、立ち見の出るほど会場は満員に。その中にあって、内村は右足首負傷の影響でゆかと跳馬を演技しなかったが、他の4種目の着地をすべて決める実施で会場を盛り上げた。
 優勝した田中和は、あん馬の一把手上旋回でバランスを崩して落下。平行棒でもツイスト後に倒立で身体を大きく反らすなどのミスもあったが、挑戦した鉄棒のコールマンは安定した実施で成功。つり輪の終末技も伸身月面の着地を決め、世界選手権に向けて積極的な調整ぶりをアピールした。
 山室光史(KONAMI)はコールマンの成功、沖口誠(同)はロペスの成功など、他の種目でミスはあったが、その成果を口にした。小林研也(同)はアキレス腱痛のため練習不足や演技構成を変更したこともあったが、世界選手権までの間、演技する種目での貢献を誓った。
 代表以外では、水鳥寿思(徳洲会体操クラブ)、中瀬卓也(徳洲会体操クラブ)、山本翔一((財)岐阜県体育協会)らがそれぞれの持ち味を出し、アピールした。
 女子は、ユニバーシアードで自信をつけた美濃部ゆう(朝日生命)は疲れを口にするものの大きなミスなく集中力の高い演技を披露した。田中理はマロニーの落下、飯塚友海(朝日生命)は平均台の着地での両手つき、そして大島杏子(同)は側宙での落下の大過失があったが、それぞれその失敗の原因を理解しており、次へのステップアップを前向きに語った。
 会場は、世界選手権で初めて使われる新しいカラーの器械が並べられた。その器械を使って行われる選手の熱い演技をみて、大会までのカウントダウンの音が大きくなっていることを感じた。