第26回ユニバーシアード体操女子個人総合現地レポート

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一昨日の団体戦で上位6名に入った選手たちが第1班に入り、団体戦ではメダルを獲得できなかった韓国のJOが予選トップということで、優勝候補の筆頭になった。そのJOに日本の美濃部、山岸がどこまで追い上げるか、また、個人参加となっている中国のXAIOも予選では本調子でなかったがどこまで調子を戻せるか、この辺りが優勝争いの見所となった。
第1ローテーション、第1班は跳馬。山岸、中国のXIAOはユルチェンコ1回ひねりをきれいにまとめ、ロシアのPOLYANは前転とび屈身前宙半ひねりをきれいに決めてまずまずの点数を出した。美濃部はユルチェンコ1回ひねりで大きく前に1歩でかなり減点されてしまい、ウクライナのDEMYANCHUKは伸身ツカハラということでDスコアが低く得点を伸ばすことができなかった。そして、跳馬を得意とするJOは伸身ポドコパエワを着地後ろ一歩で抑えて14.050を出した。第2班で段違い平行棒の演技をしたチェコのSIKULOVAはホルキナとび越しなどを決め、得意種目で上位に食い込み、同じくチェコのPALESKOVAは低棒でのほん転1回ひねりでやや倒立が反ったがうまく立て直して、14.050を出してJOと共にトップに立った。
第2ローテーションは波乱の展開となった。段違い平行棒の第1班で、団体戦でこの種目の最高得点を出した美濃部が終末技の前方かかえ込みダブルでしりもちを着く大過失。更に、DEMYANCHUKは片足フットトカチェフで落下。そして、トップに立っていたJOが、豪快にリチナを決めた後、シュタルダーで片手がはずれ、非常に危ない落ち方をしてしまい、しばらく起き上がることが出来なかった。そして、そのまま担架に運ばれて退場。大きなチャンスであっただけに、非常に悔しい思いをしたに違いない。(※記者会見上で無事チームに戻っているとの報告を受けた。)そんな中、中国のXAOは予選で調子の出なかったこの種目で抜群の実施を見せ、中国らしい大逆手系のひねりを見事に決めて、15点を出して一気にトップに立った。また、山岸も直前にJOのアクシデントがあったものの、見事にプレッシャーを跳ね除けてノーミスの演技を行い、この時点で2位につけた。第2班のチェコのPALESOVA、SIKULOVAはかかえ込み前宙でふらつきがあったものの無難にまとめてそれぞれ3位、4位と続いた。
第3ローテーション、第1班は平均台。POLYANはノーミスの演技を行い、続いてXIAOはかかえ込み前宙半ひねり、屈身前宙と高難度の技を連発。脚力の強いところを見せてこの種目でも高得点で引き続きトップに立った。美濃部は開脚前宙と側宙でバランスを崩してしまったが、山岸は非常に集中した演技でミスを出さずに、XIAOとの差を縮めて2位を保った。そして、団体戦で15点台を出したDEMYANCHUKはこの種目で前半のロスをカバーしたいところであったが、かかえ込み後方宙1回ひねりを決めたものの、その後に後方伸身宙で落下。しかし、開脚前宙~交差とび~後方宙、片足水平ターン~側宙など、Dスコア6.5という驚異的な構成で明日の種目別に期待が持てる内容であった。ゆかのPALESOVA、SIKULOVAは得点を伸ばせず、POLYANと美濃部に逆転を許し、3位POLYAN、4位美濃部、5位PALESOVA、6位SIKULOVAとなって最終ローテーションを迎えた。
最終ローテーション、第1班はゆかで、トップに立っているXAIOからの演技。地元の大声援を受けての演技開始。予選ではこの種目も調子が出なかったが、今日は各タンブリングの着地が止まり、更に3回ターンも完璧に決めるなどかなりいい演技で、14点こそ出なかったものの、13.800で2位の山岸に対して大きなプレッシャーを与えた。続く美濃部は後方1回半~前方1回の着地で低くなったが落ち着いて演技を行い、メダル獲得に向けて後の選手の演技を待った。そして山岸。XIAO同様団体戦ではいい出来ではなかったが、今日は彼女らしい動きの素晴らしい出来で、最後の屈身ダブルもぴたりと決めて会場を沸かせた。得点は13.900。XIAOには及ばなかったがほぼ2位を確定させる得点であった。この間、第2班のPALESOVAとSIKULOVAはユルチェンコ1回ひねりで二人とも着地で手を着いてしまう大過失を犯し、美濃部が3位をキープ。そして最終演技者のPOLYANとなった。POLYANは3回ひねりで後ろに2歩動くミスこそあったが、体操系でジャンプが素晴らしく、また振り付けでも非常に素晴らしい動きを見せて観客を魅了。14.200という高得点を挙げて、見事に美濃部を上回り、XIAO、山岸に続いて3位に入った。
予選トップのJOの途中退場というアクシデントの中、地元中国のXIAOの活躍は会場を大いに盛り上げ、中国に今大会の体操における最初の金メダルをもたらした。2位に入った山岸も団体戦よりもいい出来の演技を続け、非常に頼もしい存在となったといえよう。世界選手権に向けて大いに自信になったはずだ。美濃部に関しては残念な結果ではあったが、明日の種目別は段違い平行棒での優勝に期待がかかる。明日の好成績に期待したい。