2010ボローニンカップ報告
■期間 平成22年12月14日(火)~12月20日(月)
■場所 ロシア モスクワ / モスクワ・ディナモ体操スクール
■監督 小倉雅昭(四天王寺スポーツクラブ/男子体操競技委員会強化部員)
■コーチ
西村圭一(埼玉栄高校)、武者真司(三菱養和体操スクール)、蒲原彰吾(市立船橋高校)
■通訳 オルガ・シェストロミロバ
■選手
野々村笙吾(市立船橋高校)、武田一志(埼玉栄高校)、神津源一郎(三菱養和体操スクール)、千葉健太(四天王寺スポーツクラブ)
■競技会場 モスクワ・ディナモ体操スクール
■大会概要
今大会は17カ国から77名の参加であった。その中には、オリンピックや世界選手権、ワールドカップ種目別ファイナリストも出場しており、国際大会初出場の選手も含む日本選手4名には大変貴重な経験となることが予想された。
競技=17日(金)→団体決勝(ベスト2)・個人総合決勝及び種目別予選
18日(土)→種目別決勝
■大会レポート
□12/14(火)1日目 成田出発
成田発13:05 → モスクワ着17:25(現地時間)
到着後、送迎バスにてディナモ体操スクールへ移動し、30分程度のストレッチ及び柔軟を行った。その後、会場近辺のレストランで夕食を摂り、宿舎へ移動した。長時間の移動による疲れも予想されたので早めに就寝し、明日からの練習に備えた。
□12/15(水)2日目 本会場練習
本日は9:00~15:00までのフリー練習となっていた為、日本選手団は各自調整練習(10:00~14:00)を行った。不慣れな器具(GYMNOVA)であったが、無難に対応することができた。
□12/16(木)3日目 本会場練習(割当)
会場練習 ジュニア9:00~11:00、シニア11:00~13:00
監督会議 12:00~
開会式 16:30~
本日は班ごとの割当練習となっていた。20分ローテで調整練習を行い、順調な仕上がりを見せ、明日の試合へ自信を付けることができた。
□12/17(金)4日目 大会当日(団体・個人総合決勝、種目別予選)
~ ジュニア ~*ユースルール
会場練習→ 8:00~ 8:50
競技 → 9:00~11:30
【第1ローテーション】平行棒
( 神津 )前振りカットで足をバーに乗せ停滞してしまう。D4.7/12.50
( 千葉 )着地までまとめた、見事な実施であった。D4.9/13.85
【第2ローテーション】鉄棒
( 神津 )着地まで止める素晴らしい実施であった。D4.9/13.70
( 千葉 )実施減点の少ない素晴らしい演技であった。D4.5/14.00
【第3ローテーション】ゆか
( 神津 )後方11/2ひねり~1回ひねりが1/2ひねりになってしまい、Dスコアを下げてしまう。
D4.9/13.75
( 千葉 )後方3回ひねりでラインオーバーしてしまう。D4.7/13.60
【第4ローテーション】あん馬
( 神津 )終末技まで振りまわった見事な実施であった。D4.1/13.60
( 千葉 )美しく、勢いのある素晴らしい実施であった。D4.7/14.00
【第5ローテーション】つり輪
( 神津 )力技や倒立の決めまで、見事な実施であった。D5.0/13.75
( 千葉 )後ろ振り上がり開脚上水平が、静止できず、Dスコアを大きく下げてしまう。D4.2/12.30
【第6ローテーション】跳馬
( 神津 )伸身カサマツを実施し、小さく1歩でまとめた。D5.4/14.40
( 千葉 )伸身カサマツを実施し、1歩前へ動いてしまう。D5.4/14.10
~ シニア ~*FIGルール
会場練習→11:20~11:50
競技 →11:50~14:10
【第1ローテーション】つり輪
(野々村)倒立でふらつく場面も見られたが、まずまずの立ち上がりを見せた。D5.7/14.70
( 武田 )力技の実施が素晴らしかったが、後ろ振り上がり倒立で肘が曲がってしまう。D6.1/14.80
【第2ローテーション】跳馬
(野々村)ドゥリックスを実施し、着地をほぼ決める、素晴らしい演技を見せた。D6.6/15.90
( 武田 )アカピアンを実施し、着地までまとめた、素晴らしい演技を見せた。D6.2/15.50
【第3ローテーション】平行棒
(野々村)大過失は出さなかったが、ヒーリーでの停滞やツイストでのゆがみが目立ちEスコアを伸ばすことができなかった。D6.1/14.60
( 武田 )ティッペルトで足をバーに擦り停滞してしまったが、残りを丁寧に行い、最低限の減点で乗り越えた。D5.8/14.10
【第4ローテーション】鉄棒
(野々村)1回ひねり大逆手持ちがぶれ大逆手エンドーを実施できなかった。さらにアドラーで後ろに戻り、Dスコアを下げた。D5.4/13.80
( 武田 )アドラー1/1ひねりで停滞してしまったが、残りを完璧に実施した。D6.4/14.85
【第5ローテーション】ゆか
(野々村)前半全て着地を止める実施であったが、ラストの後方3回で大きく着地が乱れてしまう。
D5.7/14.35
( 武田 )ラスト後方3回ひねりで後ろに1歩動いたが、残りの全コース着地を止める素晴らしい実施であった。D5.8/14.60
【第6ローテーション】あん馬
(野々村)終末技まで勢いのある素晴らしい実施であった。D5.4/14.60
( 武田 )1/2前移動の難度が認められず、Dスコアを下げたが素晴らしい実施であった。D4.9/14.10
ジュニアの選手は失敗こそあったものの、残りの種目をつま先まで意識の行き届いた美しい演技を行い、個人総合1・2位という素晴らしい結果を残すことができた。シニアの選手においても、両選手、足の故障を抱え、ゆか・跳馬と満足な練習が行えない中、お互いの失敗をカバーし、チームとしてまとまりのある大変すばらしい内容であった。惜しくも目標であった団体優勝には届かなかったが、ロシアのナショナル選手をはじめ、各国のトップ選手たちと最後まで集中力を切らさず戦い、個人総合上位争いすることができた。
※野々村選手と武田選手は個人総合得点で同点3位だったが、カップの関係でタイブレイクされ、武田選手は4位となった。
□12/18(土)5日目 大会当日(種目別決勝)
ジュニア・シニアで種目を分け、2種目同時進行で行われた。(シニア→ゆか、ジュニア→あん馬)
尚、各種目間で表彰式が行われた。
会場練習→ 9:00~ 9:50
競技 →10:00~14:10
【ゆか】
~ジュニア ~
( 神津 )全コース着地をまとめた、見事な実施であった。D4.9/13.75
( 千葉 )前日の失敗を修正し、素晴らしい実施を見せた。D4.7/13.80
【あん馬】
~ジュニア~
( 神津 )いい出来であったが、伏臥で足をぶつけてしまい得点を伸ばせなかった。D4.1/12.80
( 千葉 )見事な実施であったが、終末技で停滞してしまい、Dスコアを下げてしまった。
D3.9/12.85 3位
~シニア~
(野々村)前半いい動きであったが、Dフロップで落下してしまう。D5.2/12.55
( 武田 )1/2後ろ移動で落下したが、残りはいい実施であった。D5.3/12.80
【つり輪】
~ジュニア~
( 神津 )前日に引き続き、完璧な演技で高得点を獲得した。D5.0/13.85 2位
( 千葉 )見事な実施であったが、着地で大きく前へ動いてしまう。D4.8/13.60
~シニア~
(野々村)中水平から引き上げ上水平が認定されず、Dスコアを下げてしまった。D5.7/14.00
( 武田 )力技や倒立を丁寧に行い、高得点を残した。D6.0/14.85 3位
【平行棒】
~ジュニア~
( 千葉 )棒下倒立で大きく肘が曲がってしまったが、残りを完璧に実施し、高得点を獲得した。
D4.9/13.25 2位
~シニア~
(野々村)スムーズに演技し、着地まで止まる完璧な実施であった。D6.1/15.25 2位
【鉄棒】
~ジュニア~
( 神津 )シュタルダー1/2ひねり大逆手持ちが歪み、落下してしまう。D4.8/11.50
( 千葉 )アドラーが少し流れてしまったが、残りは見事な実施であった。D4.4/13.35 3位
~シニア~
(野々村)1回ひねり片大逆手持ちになり、大逆手エンドーを実施できず、Dスコアを下げてしまった。D5.2/14.05
( 武田 )全種目の最終演技者としてふさわしい、着地まで止める完璧な実施であった。D6.4/15.10 2位
□12/19(日)6日目 モスクワ出発
モスクワ発21:15→*1時間15分送れ
□12/20(月)7日目 成田着12:45
■総評
今大会を通して、ジュニア・シニアともに失敗はあったものの、海外の流動的な試合の中、各選手が自分の演技を堂々と実施できたことは、今後に向けて大きな自信になったと感じる。また、日本の美しく正確な演技が世界の舞台で通用することがEスコアの評価から再確認することができた。
しかし、海外選手の種目別での強さや鉄棒におけるひねり系の巧みさには劣る部分を感じた。特に、跳馬に関しては、高校生年代の選手が数多く雄大なローチェやルーユーフを実施しており、今後種目別でメダルを獲得していく為には、日本も強化していかなければならない課題であるとスタッフ一同、痛感させられた。
今回の遠征で感じ経験した事を日本のジュニア強化の現場に持ち帰り、今後選手育成の更なる発展のために反映させていきたい。
最後に、本遠征に派遣していただいた日本体操協会に感謝申し上げ報告とさせていただきます。