ロッテルダム世界選手権・女子ポディウム練習2日目レポート&フォト
ポディウム練習2日目。一般の観客も少数ではあるが入り、選手は本番に近い雰囲気を味わっての練習となった。
最初に登場したのは優勝争いの筆頭に立つアメリカ。昨年の個人総合チャンピオンのスローン選手、今年の全米チャンピオンのブロス選手、そして北京五輪代表で、2005年のゆかのチャンピオンで、今年代表復帰したサクラモネ選手といった豪華な顔ぶれは、非常に質の高い演技を見せた。タンブリングでもそうだが、ジャンプでも完全にひねり切れる、そして開脚でも180度しっかりと開く脚力を見ることができた。今日に関しては難度、実施ともに世界トップを印象付けた。
続いて、第8班にカナダ、第9班にスペインと入り、日本女子が常に争ってきたライバル国の演技が注目されたが、若干、難度・実施ともに見劣りする選手も見られ、予選で5人の演技、トップ4の得点のカウントとなると日本の方が優位に立っていると思われる。やはりイギリス、フランス、ブラジル、イタリアとの決勝ライン争いという展開になる可能性は高い気がする。
第10班では跳馬のヨーロッパチャンピオンのケスリン選手率いるスイスが演技をした。ケスリン選手は2本目の技をユルチェンコ2回ひねりにグレードアップしてきており、跳馬の優勝候補に名乗り出た。
第11班は昨年アキレス腱断裂の大怪我をしたチュソビチナ選手のいるドイツが注目された。チームとしては難度や実施の点でやや劣るものの、サイツ選手に関しては目を引く演技をしていた。特に段違い平行棒ではデフ、フットトカチェフ、そして終末技もフット1回ひねりからの月面と、他の選手にはない構成であった。今日、関係者、一般観客共に一番大きな拍手を受けていたかもしれない。チュソビチナ選手は平均台と跳馬のみ演技をし、跳馬は今まで行ってきた屈身クエルボ1回ひねり、ツカハラ1回半ひねりを行った。怪我の後の見事な復帰・・・という以上に、今年35歳になる彼女の驚異の回復力には脱帽する。
最終班には地元オランダが登場。9年前の大会では5位に入ったことのあるチームではあるが、全体的に高難度技が不足している。その中で大いに盛り上げたのはウェバース選手の平均台。片足を水平に上げた2回ターンを行って驚かせ、その後に片足を水平に上げた1回ターン~軸足を変えて1回ターン~軸足を変えて2回ターンという個性的なシリーズを見せた。2回ターンは何度行ってもゆかでやっているように完璧な軸で回っていた。そして、最後には通しでやらなかった3回ターンまで見せた
この数年、南米勢の力が上がっているが、その中で昨年の大会でゆかの決勝に残りながら、宙返りで頭から着地してそのまま病院に運ばれたコロンビアのヒル選手も元気な姿を見せていた。そして、ベネズエラも驚くほどレベルが上がっていた。1人は跳馬でユルチェンコ2回ひねりをすばらしい実施で演技しており、本番での活躍も楽しみなところである。
ところで、会場のセッティングもどんどん完成に近付いているものの、驚くことに、一部で内装工事を行っているところがあり(画像参照)、演技中にも工事の音が聞こえてきて、あと3日後にはどうなっているのだろうかと、不安がよぎる。しかし、それ以外は落ち着いた雰囲気となっており、あと2日で更に観客を迎え入れる準備が進むことであろう。また、観客席入り口前には早くもグッズのショップが開設され、選手たちは早速土産探しを始めている。
また、今回、「スパイダーカム」という、天井から四本のワイヤーで吊るされたカメラが縦横無尽に会場の中を動き回っている(画像参照)。このカメラの映像がどれだけ演技の面白さを伝えるか、期待したい。
※画像の下三つはオリンピックのスターの顔ぶれ(敬称略)。一枚目は76年と80年の金メダリストであるネリー・キム(現FIG女子技術委員長)と、北京五輪女子個人総合チャンピオンのナスティア・リューキン(今回は選手代表という立場で参加)。二枚目(左)は80年の個人総合チャンピオンのエレナ・ダビドワ(カナダ女子コーチ)。そして三枚目(右)は91年の世界チャンピオンで、92年バルセロナ大会メダリストのキム・ズメスカル(アメリカ女子コーチ)。