NHK杯女子2日目レポート

報告者:

 NHK杯初日が終わった段階で、代表争いは非常に混沌としていた。まず、個人総合で選考される2枠は、1位の鶴見虹子(朝日生命体操クラブ)が一人抜けていたが、2位に田中理恵(日本体育大学)、新竹優子(羽衣学園高校)が同点で並び、それをわずか0.175の差で上村美揮(朝日生命体操クラブ)が迫っていた。
 そして種目別ポイントによる代表2枠。これは、2次予選2日間でトップだった上村の跳馬、鶴見の平均台とゆかがNHK杯初日でトップをとれず、第一条件である4日間当該種目でトップにつく選手がいなくなったことで、第2条件で選ばれる展開となった。
第2条件は、2種目以上でポイントを獲得し、1種目は1位を獲得した選手。NHK杯初日終了時点で該当するのは鶴見、新竹、上村、大島杏子(朝日生命体操クラブ)、美濃部ゆう(朝日生命体操クラブ)の5名。個人総合で2位につけていた田中は1位の種目がなく、また7位の小沢茂々子(戸田市スポーツセンター)は跳馬で1位を獲得したが、他の種目でポイントを獲得できていないため、田中は1位種目の獲得、そして小沢は跳馬以外の種目でポイントを獲得することが代表争いに加わる条件となっていた。
いずれにしてもNHK杯初日が終わった段階でのポイント獲得は鶴見28、大島24、上村23、新竹16、美濃部10、田中8、小沢6。第2条件での序列は、すべての種目のポイント合計の上位2選手が選ばれるため、第2条件を満たしたポイント上位者が代表にもっとも近い位置にいる。
 
 1班は1種目め跳馬。最初の演技者田中はポイントが低く、種目でも1位種目がないため、ミスの許されない状況で、ユルチェンコ1回ひねり、前転とび前方かかえ込み宙返りひねりをまとめる。次の新竹がユルチェンコ1回ひねり、ユルチェンコ1回半ひねりをまとめ、田中を上回る。鶴見は1本目のユルチェンコ1回ひねりをまとめるが2本目のユルチェンコ2回ひねりで着地ミス。美濃部、大島はユルチェンコ1回ひねりでまとめたが、上村は1本目のユルチェンコ1回半ひねりで大過失を出し、種目別ポイント獲得を断念し、同一技を跳んで成功させた。上村が跳馬の種目別ポイントを獲得しなかったことで、田中が跳馬1位で第2条件をクリアする可能性を残し次のローテへ。
 2種目め段違い平行棒。新竹、鶴見ともに最高の出来ではないがまとめる。美濃部、大島、上村と落ち着いた演技を披露していたが、田中がイエガーで落下。個人総合争いから大きく後退する。
 3種目め平均台。鶴見は昨日より安定した演技で着地を止める。美濃部、大島、上村と演技を通すが、先ほど大過失を出した田中が後方伸身宙返りで落下。個人総合で争う新竹は危なげない演技でまとめる。
 最終種目ゆかはそれぞれが持ち味を出していたが、新竹が最初の後方宙3回ひねりでライン減点。最終演技者の鶴見は、昨日不安定だった着地を修正し、代表選考争いを締めくくった。小沢はゆかでポイントを獲得して第2条件を満たし、跳馬で1位を獲得したが及ばず、結局、個人総合枠に鶴見と上村、種目別ポイント枠で大島と新竹が選ばれた。大島は世界選手権6回目の出場となり、達成すれば日本女子として最高出場回数となる。
 なお、7月18、19日に幕張メッセで開催される体操JAPAN CUP女子日本代表は、前述の世界選手権代表4名に美濃部を加えて戦うことになった。