アメリカンカップ現地レポート(男子)2
■2月20日(金) 晴れ ポディウムトレーニング
本日も午前と午後の2回、ポディウムでの公式トレーニングスケジュールとなっており、午前中はストレッチと器具を使用してのベーシックトレーニングを実施。午後のトレーニングでは、試合前日ではあるが、全種目演技内容の確認を行い、非常に良いリズムで感覚をつかむことができた。試合に向けての調整としてはまずまずの状態を作ることができたように思う。
■2月21日(土) 雪 個人総合競技
開会式が始まり、オリンピックゴールドメダリストが集結。司会者に紹介され、アメリカンカップのオープニングセレモニーが行われた。その後、選手入場があり、選手1人づつ紹介をされ、スポットライトを浴びながらゆかフロア上に入場。その後、アメリカ国家独唱があり、競技が開始された。
1種目目、あん馬。出だしの1ポメル上技を順調にこなし、流れに乗ったと思われたが、後ろ移動(馬端~馬端)でバランスを崩す。しかし、手のつくところをとっさに工夫し何とか乗り切り終末技まで持ちこたえた。ただ、演技中、旋回が崩れ、高得点には結びつかなかった。
2種目目、ゆか。1コース目、前転とびから前方伸身宙返り2回ひねりからの連続して前方かかえ込み宙返り1回ひねりを実施予定のところ、踏み切りのタイミングが合わず、前方かかえ込み宙返りひねりとなってしまった。このため、演技価値点を0.1下げることとなった。その他のタンブリングは、まずまずにこなしたが、最終タンブリングの後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりで着地が大きく1歩出してしまい、得点を伸ばすことが出来なかった。
3種目目つり輪。あん馬→ゆかと終わった時点で、競技開始時間から20分ほど。つり輪からは1班編成になるものの演技順が2番手と、息をつく間もなくアップを行い競技となった。競技進行方法は、TV放映の関係で変則的であり、オリエンテーションミーティングの時に、「つり輪から女子と男子、交互に演技を進行する」と伝達されていたが、これまでの競技進行の流れで、男女同時進行となった。種目間のインターバルが短い中、予定していた演技をこなしたが、途中「輪の高さで前方宙返り直接十字懸垂」の実施で、前方宙返りが高く上がりすぎてしまい、「ホンマ」と「十字懸垂」に分割されての技認定となった。このため、演技価値点を0.1下げることとなったが、終末技まで丁寧に演技を実施した。
4種目目跳馬、1番手。このローテーションは、女子競技から始まり、続いて男子と、1人ずつ演技することとなった。女子は段違い平行棒であり、ウォームアップ時間が長く、女子が先に演技をするため、男子の跳馬は、待たされる形となった。アップ終了後、5分ほどたった後に演技が始まり、伸身カサマツとび3/2ひねり(ドリッグス)を実施。着地を踏ん張りきることができず、大きく1歩動き、回転不足から手を突いてしまった。また、ライン減点も加わってしまい、得点を伸ばすことができなかった。
5種目目平行棒、8番手。ここにきて、ようやく一息入れる余裕が出てきた。スタートから軽快な動きを見せ、着地まで見事に決めてこの種目、出場全選手中1位の得点を獲得した。
最終種目鉄棒は、5種目終了時の順位により、あらかじめ決定されていた演技順枠にあてはめられ、競技が行われた。植松選手は、5種目終了時点で5番目の成績であったため、平行棒を最終演技者として実施したが、鉄棒では、1番手の演技順番となった。体力的に厳しい状況にあったが、得意としている種目ということもあり、のびのびと雄大な演技を実施。着地は惜しくも1歩動いてしまったが、高得点を獲得。最終演技者のFabian Hambuechen(GER)に次ぐ得点を獲得した。
最終個人総合結果は、1位Fabian Hambuechen(GER)2位David Sender(USA)3位Joey Hagerty(USA)4位植松 鉱治(日本)5位Benoit Carabobe(FRA)6位yuri Ryazanov(RUS)という結果となった。
優勝したFabian Hambuechen(GER)選手は、本来の動きではなかったものの、これからシーズンに入る時期の為、技の難易度を落とし確実な演技実施をテーマに大きな失敗なく試合を行った。シーズン中のアメリカ2選手は、身体が出来上がっており、力を出し切ったように見受けられる。
結果的に、跳馬の着地ミスが響いた形となったが、植松選手の得意種目、平行棒と鉄棒では、観客を魅了する要素が随所に見受けられ、大きな声援と喝采を受けることができた。アメリカンカップという歴史ある大会に出場し、各国の代表選手と肩を並べ、大会を行えたことの経験は、今後の競技に生きてくることであろう。
最後に、この場をお借りして、ご声援ご協力いただいた皆様に、感謝申し上げます。今後も応援よろしくお願いします。