体操W杯後半、女子レポート

報告者:

【平均台】
IZBASA(ルーマニア)
 前方伸身開脚宙返り系と側方宙返り系をふんだんに取り入れ、シリーズとしてくるが、やや停滞気味の印象。ジャンプで一箇所バランスを崩すが、最後の後方伸身3回ひねりはほぼ着地を止めた。
MITCHELL(オーストラリア)
 今日の会場練習に一番に乗り込み、順調な仕上がりを見せていたが本番でもそれをキープ。交差ジャンプと前方開脚伸身宙返りなどで小さくバランスを崩すが、今大会はこの選手だけの演技となった台に近い位置での2回ターンを見事に決め、後方開脚伸身宙返り~後方宙返り両足立ちや、前方開脚伸身宙返り両足立ち~後方かかえ込み宙返りもうまくまとめてAスコアを6.6としてトップに立つ。
CHENG(中国)
 F難度の後方かかえ込み宙返り1回ひねりは後ろに一歩動いただけでうまくまとめたが、羊とびで落下し、その他も前方かかえ込み宙返りで台に手を着くなど、アクロバット系のミスが続き、かなり不安定な演技となった。
HYPOLITO(ブラジル)
 入りのロンダード~後方開脚伸身宙返りで落下。羊とびや片足を水平に上げたターン~後方かかえ込み宙返りでもバランスを崩した。
LI(中国)
 後転とび連続~後方伸身宙返り~コルブトを見事に決めて会場を沸かせたが、前方開脚伸身宙返りでバランスを崩し後に予定していた技につながらず、価値点を下げてしまった。結果的にMITCHELL選手に及ばず2位。
LOZHECKO(ロシア)
 後ろとびひねり前方宙返り、後方かかえ込み宙返りを最初に続け行ったが、両方ともにバランスを少し崩した。大きな乱れはなく、アクロバット系の強さを見せるとともに、体操系の高難度技であるカテッテジャンプ半ひねりも見せた。価値点がMITHCELL選手に及ばずに惜しくも2位にとどまった。
ZGOBA(ウクライナ)
 両足を180度に開いたターンを決めて会場を沸かせたが、終末技が後方伸身宙返りということで、Aスコアが低くなり得点を伸ばせず。
 MITCHELL選手が見事にオーストラリア女子初の金メダルを獲得した。2位にはLI選手を抑えてLOZHCKO選手が入った。今のルールではバランスを崩すことはBスコアのみならずAスコアにも大きく影響するため、ちょっとしたミスが勝敗を分ける結果となる。その点では、MITCHELL選手は非常に好調な状態で試合に臨んできて、優勝するにふさわしい演技をしてくれた。
【女子ゆか】
RUIZ(スペイン)
 後方宙返り3回ひねりで後ろに動いてしまい、後方屈身2回宙返りでは前にはじかれる着地となった。しかし、ワイルドカードによる地元スペイン女子で唯一出場し、十分に観客は盛り上がりを見せた。
HARMMES(オランダ)
 2005年の世界選手権の後に結婚し、現在はママさん選手。最初の屈身月面宙返りから着地が不安定で、最後は前転とびからのシリーズを予定していたが、前転とびの後にすべってしまったような状態でしりもちをついてしまった。
鶴見虹子
 不安な箇所であった後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返りをきれいに決めたものの、中技の後方伸身宙返り2回ひねりで前に大きく動き、最後の後方屈身2回宙返りでは前に崩れてしまった。失敗はしたものの、この大きな国際舞台で得たものは大きいはず。今後の活躍を更に期待したい。
ZAMOLODCHIKOVA(ロシア)
 曲を変えて、ダンス要素がさらに強まった。後方宙返り3回ひねりは着地を止めて、観客にも多くのファンがいるのか熱烈な声援を受けた。しかし、最後の後方屈身2回宙返りで大きく前に一歩動いてしまい、Bスコアを下げてしまった。しかし、演技後にはすがすがしい笑顔で声援に答え、非常に印象的であった。
HYPOLITO(ブラジル)
 最初の後方宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返りで、やや膝を曲げてしまった。しかし、最後の後方屈身宙返りはぴたりと着地を決めて場内の観客は喜びであった。得点が伸びなかった為に観客からはブーイングまで出ていた。
GARCIA(メキシコ)
 表情と動きのよさを兼ね備えた選手で、振り付けもかなり美しさを感じた。しかしながら、タンブリングは、入りのうしろとびひねり前方かかえ込み2回宙返りを着地一歩でまとめた以外はかなり不安定となってしまい、Bスコアを一気に下げてしまった。
IZBASA(ルーマニア)
 これまで14点台が一人という状態で、北京五輪でこの種目の金メダルを獲得したこの選手に注目が集まった。そして、演技自体はその期待通りのものであった。若干の着地減点や姿勢欠点はあったものの、かかえ込み月面宙返りから入って、2本目に後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返り1回ひねり、後方宙返り1回半ひねり~前方伸身宙返り1回半ひねりといったシリーズを見事に決めた。15.000をマークしてこれまでの選手を大きく上回りトップに立つ。
CHENG(中国)
 入りは新月面宙返りを見せずに屈身月面宙返りに落としてきたものの、宙返りの高さはさすがであった。途中のシリーズである後方宙返り1回半ひねり~前方伸身宙返り1回ひねりで大きく前に跳んでしまう着地となったものの、着地以外の減点をほとんど見せない美しい演技であった。BスコアでIZBASA選手を大きく上回り、トップに立った。
JIANG選手(中国)
 普段からも笑顔の絶えない選手で、演技中も愛嬌のある笑顔と、それを生かす振り付けで場内を盛り上げた。タンブリングでは、最初に後方宙返り1回半からの後方宙返り3回ひねりの間接的なシリーズで加点を取り、2本目にかかえ込み月面宙返りを見せるといった構成。IZBASA選手を上回り2位に入った。
 中国とルーマニアの選手が格の違いを見せて大きく差を開けてメダルをそれぞれ獲得した。最近はタンブリングが5本入る選手もいるなど、非常に着地が大きく影響して、Bスコアが大きく勝敗の鍵を握る。その点で安定した演技を見せた選手が順当に上位に入った。中国選手の二人に関しては、素晴らしい演技を見せてくれ、北京五輪を思い出させるものであった。最後となる大会に花を飾ってくれた活躍であった。