全日本体操競技選手権3日目

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 11月2日、団体総合決勝が行われ、男子は日本体育大学が、女子は朝日生命体操クラブが優勝した。3日間競技を続けてきた選手にとっては非常に苛酷な状況にあり、男子6-4-4(6人の中から4人が演技し、その4人の全得点がチーム得点になるシステム)、女子6-5-5のプレッシャーがかかる中、失敗やけがの目立つ戦いとなった。
 日本体育大学(男子)は最初の種目鉄棒を落下なく行ったが、アドラー1回ひねり~ヤマワキなどを続けられずに取りこぼしの部分があった。ゆかでは中島選手が着地で大過失、あん馬では寺尾選手らが落下するなど、前半は苦しい展開。しかし、跳馬において内村選手が着地を止め、斉藤選手が「ヨー2(前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり:A得点7.0)」を成功させるなど大きく挽回し、最終種目の平行棒でトップを走っていた徳洲会体操クラブを抜いて、劇的な逆転勝利を収めた。
 朝日生命体操クラブは最初の種目段違い平行棒で最初の演技者の中島選手が落下。個人総合3連覇を果たした鶴見選手は素晴らしい演技をみせたが、その他の選手にミスが出て、重苦しい雰囲気のスタートとなった。平均台では野田選手の落下もあり、男子の日本体育大学同様、苦しい前半種目の戦いとなった。しかしチームはあきらめずにゆかで日本体育大学を逆転し、跳馬で突き放して団体3連覇を達成した。
 体操競技は基本的に個人競技であり、集団競技や対人競技と異なり、自分のミスは自分だけに降りかかる。しかし、この団体戦は自分のミスはチームに降りかかるため、どれだけ仲間のミスをカバーし合い、戦っていくかが鍵となる。いずれにしても、喜びあえる仲間がいる団体総合の優勝は、内村、鶴見両選手にとって、個人総合の優勝とは一味違った大きな喜びを与えたはずだ。
内村選手(個人決勝の演技)
撮影 山下昭雄
鶴見選手(個人決勝の演技)
撮影 山下昭雄