スポーツ選手活用体力向上事業報告:山口
1)講師 笹田弥生
2)場所 山口県山口市立大殿小学校
3)期日 平成23年11月7日(月)
4)対象 小学5年 99名
5)趣旨
子供たちの体力低下が危惧され、各地で体力向上に向けて様々な取り組みが学校教育を中心に行われている。しかし、子供たちを取り巻く諸問題が複合的に絡まり、子供たちの体力向上が上向くことを阻んでいる現状がある。
本事業では、この様な社会状況を踏まえ、スポーツ選手の実技指導を通して、運動・スポーツへの楽しさを体感し、意欲的かつ継続的に取り組む姿勢を養い、ひいては体力の向上につなげるために本事業を開催したい。スポーツ選手と直接触れ合い、指導を受ける機会を設け、学校教育における児童の体力向上を図ることを目的に本事業を開催する。
6)事業内容(プログラム)の紹介
講師紹介後すぐに実技指導ということで、緊張をほぐす意味でも音楽をかけてリズム体操を準備運動として取り入れた。4分ほどの軽い体操を含む、その場ジャンプや駆け足を繰り返して行う簡単なエアロビクス風のものであるが、最初はぎこちなかった動きが段々と大きく動けるようになった子も見られた。少々恥ずかしさもあり余り動けない子も見られた。
<基本運動>
正座から両手を床に着き、手のひらすべてをしっかり付けること。四つん這い姿勢で手首をほぐすように色々な方向へ動かしながら、少しずつ体重を移せるようにした。両手を床に着いた姿勢でアキレス腱を伸ばしたり、簡単な柔軟運動も交えて行った。前屈運動では背筋を伸ばすだけでも十分なこと、両手を上高くに上げること、転がってお尻を手で支えての首倒立などを行った。
最後には、カエルの足たたきを課題としてこれからも挑戦してもらえるように、両手で身体を支える力が器械運動に重要なことを説明し、生活の中でもたくさん両手を着く体験を増やして欲しいとお願いした。
<マット運動>
くまさん歩きや、ばったさん歩きなどの体つくり運動を交えながら接転系を中心にマット運動を行った。動物等を真似た四つん這いの運動ではなかなか慣れないせいか指だけしかマット上に着かない生徒も多く見られ、手のひら全部をしっかりマットに着ける事を注意した。跳び箱の1段をマットに乗せ高低差をつくって足を台に置いたままマットに両手を着く、負荷をかけた四つん這いも体験しながら前転を中心に練習をした。手の支持がきちんとできる子たちは簡単にコロンとスムーズに回転でき立てるが、指だけの支持の子や、高いところからの両手着きに躊躇する子達は、なかなかスムーズに回転が出来なかった。
跳び箱1段では、開脚でとびこしたりとマットの練習でも跳び箱運動に関係することを体験した。
最後に倒立系運動への発展として3点倒立に挑戦し、片足のばったさん運動を経て側転に挑戦した。脚の振り上げを利用して上手に側転が出来る子もいたが多くの子供たちが小さな回転であった。しかし、側転は正式名称が「側方倒立回転」であり、しっかり練習すると倒立を含む大きな技になることを模範を見せて説明した。
7)報告・感想
周囲に緑が広がるのどかな山口市の中心地で開校100年を越える歴史ある、比較的地方では規模の大きな小学校であった。校庭もかなり広く身体を動かせる環境は十分に整っている感じがしたが、実際に動き出してみると器械運動は3年目であるはずの5年生であったが、今年度初めての器械運動の授業ということもあり基礎的な手を着いての四つん這い系の運動、及び跳び箱の高低差を利用した前転等でもやっとの生徒も見受けられ、少々環境のすばらしさの下ではもったいなく残念な気がした。
10班に分かれてマットの練習を行ったが、学年全員で行うにはマットの保有数が少なく、数を多く出来ないなど少々運動量が足りない感もあった。クラスごとの授業では是非長くマットをつなげて、上半身を使う運動や遊び、そして転がる等の経験をさらに増やして、脚の高い側転へ挑戦して欲しいと感じた。
また学校内の木登りが許可されているということで、よじ登る・ぶら下がる・飛び降りる等を多く経験して器械運動に適した運動能力を、遊びの場面で養って欲しいと感じた。
今回の事業をきっかけに器械運動を好きになり、苦手意識を持たずに挑戦していって欲しい。
最後に、準備や計画等からお世話になった山口徳地青少年自然の家の皆様、及び学校関係者の皆様ご協力ありがとうございました。